先週(2016/11/25)の当ブログで、弁理士会から実用新案制度に関するアンケートのお願いがあったことについて書いた。


巷では、「実用新案権なんて取っても無駄だよと言うのは弁理士の間では共通認識」という人もいる。


権利行使の観点からみると、言い過ぎではないかと思いつつも、否定できない。


2013/06/26の当ブログでも、実用新案法第29条の3の存在が、実用新案制度活用の阻害要因の一つではないのかと書いた。

 

では、権利行使以外の観点からみると、どうなのか?

例えば、掃除用具についての斬新なアイディアを思いついた。

そのアイディアを権利化せずに製品化して販売したところ、性能の良さで評判になり、売り上げが増加した。

ところがある日突然、第三者から特許権侵害と警告された。

調べてみると、特許出願日はアイディアを製品化した掃除用具の販売後で、クレームは販売している製品の特徴を捉えていることが判明。

そこで、特許無効審判の請求、侵害訴訟での無効の抗弁、先使用権の主張などで対処することにした。


果たしてこれはどうなんだろう。


証拠によっては、特許無効審判の請求、侵害訴訟での無効の抗弁、先使用権の主張などが認められないリスクがある。その時には製品の販売ができなくなる。


アイディアを思い付いた段階で、出願をしておけば、こんな面倒なことをしなくても済んだのに。

例えば、特許出願をしておけば、1年6か月後に公開特許公報が発行され、その後に第三者が出願をしても新規性無しなどとして拒絶される。


出願をすれば特許無効審判の請求などで対処するよりも費用が安くて済む。


第三者から邪魔されずに実施を確保するだけならば、特許出願で済む。


そうすると、あえて実用新案制度を存続させる必要はないと言い切れるのか?


特許出願をしても権利化されなければ、第三者も自由に実施できる点を見逃していないのか。

資金力、技術力のある第三者に市場を奪われないとも限らない。


どうすればいいの。


特許出願の代わりに実用新案登録出願をすればよい。


実用新案では無審査で登録されるので、第三者の自由な実施は一応制限される?


権利行使に際しては、実用新案技評価書の提示が義務付けられ(実用新案法第29条の2)、後で無効審決が確定して初めから存在していなかったとされたときは、権利行使により相手方に与えた損害について損害賠償責任が課される(実用新案法第29条の3)等の制約があるとはいえ、実用新案権の存在は第三者にとって脅威になることがある?


それは、実用新案権といえども、権利の内容は、他の特許権や意匠権と何ら変わるものではないからである。


具体的には、実用新案権者は、業として登録実用新案の実施をする権利を専有し、その侵害に対しては、差止請求権、損害賠償請求権、不当利得返還請求権などを行使することができ(実用新案法第16条、第27条等)、この点で特許権や意匠権と何ら変わるものではない。


第三者にとって制約があるとはいえ、権利行使されるリスクがある。


そう考えると、実用新案制度の存在意義もあると言い得る?


オイオイ、お前、頭大丈夫か?


実用新案制度、権利行使に関して問題を抱え、「実用新案権なんて取っても無駄」といわれ、廃止論が議論されているのに、実用新案権を取得すれば権利行使が可能だから存在意義があるというのは、何か矛盾していないのか?

 

実用新案制度の問題は一筋縄では行かないということ。

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