鑑定について広辞苑第五版では
 物の真偽・良否などを見定めること。めきき。
 〔法〕学識経験を有する第三者が、裁判官の判断能力を補助するため、専門的見地 からの判断を報告すること。
 との解説があります。


 弁理士による特許鑑定は依頼者の求めに応じて作成する私的鑑定であって、法的な効力はありません。最終的な判断は司法の場(裁判)に委ねられます。


 では何故弁理士による鑑定があるのでしょうか。


 弁理士法第4条第1項には鑑定業務が含まれております。


 それだけの理由なんでしょうか?


 だって、最終的な判断は司法の場(裁判)に委ねられるのだから弁理士による鑑定など全く必要ないとの意見があります。


 確かにその通りです。


 企画・研究開発中の新製品が特許発明の技術的範囲に属するか否かについての鑑定(抵触鑑定)についても、最終的に侵害事件に発展して裁判で争われたときに決着ががつきます。


 でも裁判をすると結構費用がかかりますよね。
 決着するまで時間がかかりますよね。


 そうすると、できれば裁判ではなく、ほかの手段で判断してもらいたいですね。


 では特許庁に判定請求するのはいかがでしょうか?


 判定の特徴として
 中立・公平な立場での判断
 すばやい結論(最短で3ヶ月)
 安価な費用(特許庁への判定請求料は1件4万円)
 簡単な手続き(審判手続きと同じ)
 行政サービスの一種(法的拘束力なし)
 事実上、十分尊重され権威ある判断
 などが挙げられています。


 判定の結果については法的拘束力がないので、最終的には裁判で決着をつける点で弁理士による特許鑑定と何ら変わりはありません。


 ただ留意しなければならいことがあります。


 それは、特許庁に判定請求すると、相手方がある場合、判定請求書の副本が被請求人である相手方に送付され、指定された期間内に答弁書を提出する機会が与えられることです(特許法第71条第3項で準用する特許法第134条第1項)。


 判定請求したことが相手方(特許権者)に知られてしまうことです。


 判定請求書には判定対象であるイ号物件(例えば企画・研究開発中の新製品)を特定するためにその内容を記述する必要があり、これが特許権者側に知られてしまいます。


 特許庁への判定請求では既に市場に出回っているものや特許出願済みのものをイ号物件とし、これが他人の有する特許権の特許発明の技術的範囲に属するか否かにについて判定を求めることには一応差し支えありませんが、市場にも出ておらず、特許出願もしていない状態で判定を求めることは如何でしょうか?


 現在企画・開発中の新製品の場合、秘密にしておきたいのでは?


 弁理士による特許鑑定が存在する意義がここにあるのですね。


 そうなんです。

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