以前(2014年05月22日)ブログで、実用新案の出願件数が2013年度には7,622件まで減少していることを書いた。


 確かに実用新案制度は出願件数の減少から分かるように余り(殆ど?)利用されていない。


 無審査で、出願から6か月位で登録されるものの、権利行使に際しては種々の制約(例えば実用新案法第29条の2、第29条の3等)があるからである。


 巷では、たかが実用新案、権利化して何の意味があるのか、とささやかれている。実用新案の出願件数が減少し続けていることが、これを裏付けているのではないのか。


 まさにその通りである。


 でも、実用新案制度、必要ないかといえば、そうではない。


 実用新案権の存在は第三者にとって脅威になることがあるからである。


 それは、実用新案権といえども、権利の内容は、他の特許権や意匠権と何ら変わるものではないからである。


 具体的には、実用新案権者は、業として登録実用新案の実施をする権利を専有し、その侵害に対しては、差止請求権、損害賠償請求権、不当利得返還請求権などを行使することができ(実用新案法第16条、第27条等)、この点で特許権や意匠権と何ら変わるものではないからである。


 そうすると、開発中の新製品について、それに先行する技術を調査したところ、技術的に非常に似ている存続中の実用新案権が存在していたとしたら、それを無視することができるのか?


 制約があるとはいえ、権利行使されるリスクがある。


 では、まずしなければいけないのはなんであろう。


 まず思い浮かぶのが、開発中の新製品(イ号物件)が登録実用新案の技術的範囲に属するか否かの鑑定である。


 でもその前にすることがある。


 それは実用新案技術評価の請求である。


 評価書で評価6(特に関連する先行技術文献を発見できない。実用新案登録請求の範囲の記載内容などが不明で、関連先行技術を発見できない場合を除く。)があった場合、一応権利が有効に存続していると仮定した上でイ号物件が登録実用新案の技術的範囲の属否について抵触鑑定を行う。

 (ここで一応有効に存続していると仮定したとしたのは、評価書でたとえ評価6であったとしても無効審判請求が可能だからである。)


 では誰が実用新案技術評価の請求をするのだろう。


 この場合、実用新案技術評価の請求を行うのは新製品を開発中の第三者であろう。実用新案権者が新製品の開発を事前に察知している場合は必ずしも第三者が請求するとは限らないが、それ以外は第三者の請求とみて間違いないであろう?


 このように、実用新案技術評価の請求を行い、その評価結果、評価6の場合に抵触鑑定を行うことを考えると、第三者にとっては結構手間がかかる。


 換言すると、実用新案権者は、第三者に対し実用新案技術評価の請求を強いることができ、評価結果によっては抵触鑑定を強いることができる。


 場合によっては、さらに鑑定結果によって(抵触回避が難しいとの鑑定結果)無効審判の請求を強いることができる。


 これは実用新案権の第三者に対する牽制効果とみることが出来ないであろうか?


 また、実用新案権者は、実用新案技術評価の請求の通知(実用新案法第13条第2項)と評価結果の謄本の送達(実用新案法第13条第3項)があるので、第三者の動向が手に取るように分かり、場合によっては第三者の新製品の開発を邪魔するような行動をとることが可能である。

 例えば、第三者の動向を先読みし、新たな実用新案登録出願をして実用新案権の取得を目指すことも無きにしも非ずである。


 たかが実用新案、されど実用新案、ではないのか???

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