「生みの苦しみ」 | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。

 

オリジナルムーブメント製作のプロジェクトが進んできた。

 

何年も前から進めては中断、また手を着け始めては中断、を繰り返してきたこのプロジェクト。

 

最終決定に至らず仮のデザインで製作していたメインのホディである地板や受け板の形状も、ようやく決定。

 

歯車やカナ、アンクルやスプリング類の製作も終え、岩田が作ったムーブメントは元気よく動いている。

 

 

もっとも 「快調に動いている」 と言っても、ペースメーカーであるテンプとヒゲゼンマイはまだ仮のもの。

 

つまり心臓部分の仕様設計が、まだ決まっていない状態なのだが、、。

 

 

テンプに関しては、当初ここまで苦労すると予想していなかった。

 

「ちゃんと動いて時間が合ってさえいればいい」 ということなら、さほど難しくはない。

 

それならスイスの部品メーカーが売っている出来合いのテンプを購入し、そいつを取り付けてしまえば済むことだ。

 

しかし出来合いのテンプは、最近のどの時計でも目にするもので、つまらない。

 

全体としてアンティークムーブメントに近い仕様にしているうちのムーブメントには、どうにも雰囲気も合わないのだ。

 

 

やたらな材質のもので作ると、特許に抵触する可能性もある。

 

そうかといって、アンティークムーブメントと同じ 「鋼と真鍮のバイメタルのカットバランス」 にブルースティールのヒゲゼンマイのコンビネーションにすれば雰囲気は最高だが、、、そうなると耐磁性能がなくなって時計が磁気帯びする。

 

携帯電話のカバーやカバン、バッグの留め金のような身の回りのマグネットを極力避けて使用してくれるアンティーク時計の愛好家にとっては問題ないかもしれないが、、、せっかくこれから作るのだから、磁気を気にせず使える時計にしたい。

 

それに、そもそも鋼のヒゲゼンマイなど既に製造されていないし。

 

うーーん、、。

 

と、こんな感じで、まだ 「これだ!」 というものが出てこないのだ。

 

 

言い訳に聞こえるかもしれないが、スイスあたりの汎用ムーブメントを買って改造を加えるような時計であれば苦労はないし、もうとっくに完成していたと思う。

 

でもそれは本当に 「オリジナルムーブメント」 と言えるのだろうか?

 

実際のところ、現在スイスにしろ国内にしろ 「独立時計師」 と呼ばれる者の製作している時計の多くはこういう手法で作られているが、、、驚いたことにこういった時計もテレビなどのマスコミにかかると、「〇〇氏が1から10まで製作」 に紹介されてしまう。

 

私の知る限り、国内で本当に高品質なオリジナル時計を製作しているのは、ASAOKA TOURBILLIONで知られる 「浅岡 肇氏」 くらいではないだろうか(あくまでも私の知っている限り、の話だが)

 

 

勿論、ユニークな機能を 「後載せ」 するのも、相当な苦労があるのは間違いない。

 

でも本当に1から10まで自力で作る難しさは、全く別次元のものなのだ。

 

これを分かりやすく言うと、、片や5人乘りのオートマチックのカローラを買ってきて、マニュアルシフトの7人乘りに改造する感じ。

 

それはそれで大変だが、、、でももう一方は、シャシーからエンジンやミッション伝送系からボディー等を全て自分で設計し、一台の自動車を最初から完成させる感じ、、、とでも言えばいいだろうか。

 

 

やや話しが逸れたが、、、そんな訳で、遅ればせながらパスタイムのオリジナルムーブメントは 「いい線」 まで来ている。

 

手を着け始めたのは少なくとも5年以上前になるから 「修理が忙しいだのなんだのと言い訳しながら、本当は全然やってないんじゃー?」 とか 「飲みにばっかり行ってっからだろー」 と言う声も聞こえてきそうだが、、。

 

水前寺清子の唄よろしく 「3歩進んで2歩下がる~」 みたいなペースながら、確実に前進。

 

今は存分に 「生みの苦しみ」 を味わっているところなのだ。

 

 

 

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