「キズミ」 続編 | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


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先週ご紹介させていただいた 「マサズ パスタイム オリジナルキズミ」

 

いくらなんでもそんなに酔狂な方はいないよなー、という思いでいたのだが、なんと翌日よりポツポツとご注文が!

 

今週に入っても更に追加注文が続き、、、ちょっと残りの在庫数が気になりはじめる始末。

 

 

いくら厳選した花梨のコブで作ったとは言え、「キズミ」 というある種専門的な道具にそれほど多くの方が興味をお持ちとは予想していなかった。

 

大変有難いことに間違いはないが、私としてはむしろ  「おみそれいたしました」 というのが正直な気持ちだ。

 

 

 

さてさて、ゴールデンウィークが終わったと思えばもうすぐ5月もおしまい。

 

月末に納期が迫った時計の整備に全力を上げなければいけないが、、、今週はちょっと本調子が出なかった。

 

 

月曜日、全身3か所のデキモノの摘出手術を受けた。

 

手術などというと大げさだが、、、一つは左足の太もも、もう一つは首の左側、最後の一つは左の眉のところ。

 

最初の2つは今年になって気が付きこのところ急激に大きくなってきたのだが、眉のところのはもう10年以上前からすこしづつ成長してきた古株だ。

 

 

病院で診てもらうとどうやら2つは脂肪の塊、眉のは何だがという名前で、ほくろの親戚のようなものらしい。

 

別に痛くも痒くもないからそのままでもいいようなものだが、どんどん大きくなるから気味が悪い。

 

手術自体は局所麻酔の簡単なものだからということで、まとめて取ってもらうことにしたのだが、、。

 

 

太もも、首、は本当に簡単だった。

 

麻酔の注射がいくらかチクっとするくらいで、その後は痛くもなんともない。

 

時間的にも、それぞれ30分くらい。

 

 

問題は、眉のやつ。

 

こいつは大雑把に取りっぱなしにすると周辺の眉毛がなくなってしまうから形成的なテクニックを要するようで、若い執刀医の先生は一旦教授を呼びに行き、指示を仰いでいる。

 

「うん。 周りを丸く切りとって、巾着法で上に寄せてね。 」

 

なるほど、丸い切り口を巾着をしぼるように縫ううんだなー、、、私にもそのイメージは沸いた。

 

「はい。 わかりました」

 

年の頃まだ30くらい、うちの寺田や真下と変わらない年頃の先生は素直に応じ、手術を開始したのだが、、。

 

 

「ちょっと痛いですよー。 頑張って下さーい。」

 

太ももや首とちがって頭に近いためあまり強く麻酔を掛けたくないとのことで結構痛いが、、、若い看護婦さんもいるし、、、ここは我慢。

 

しばらくすると小指の先ほどのほくろの摘出が終わり、縫合が始まった。

 

「もう少しお時間下さいねー。 今縫合してますからねー。」

 

あちこちから眉間のあたりが引っ張られる感触がしばらく続くと、、、「うーん、、。」

 

ため息交じりの小さな唸り声ののち、手が止まった。

 

「少々お待ち下さい、。」

 

 

若い先生はそう言い残して部屋を出てゆき、手術室にはしばらくの静寂が訪れた。

 

時折看護師さんが出血を拭き取ってくれるが彼女も特に話しはしないし、聞こえるのは隣室の無機質な物音だけ。

 

 

ドタドタドタ。

 

「あーー、なるほどね。 うん。 わかった。 電メス(電気メス)持って来て。」

 

先生とさっきの教授が戻ってきて、今度は教授が執刀、若い先生が助手みたいな感じになったようだ。

 

 

パチパチパチ。

 

教授は患部を縫合していた糸を切り始め、「はい。電メスやって」

 

どうやら再度周りを切りそろえはじめたようだが、、「あたたた」

 

時間が経って麻酔が切れてきたせいか、さっきよりも痛い。

 

「はい。電メス。 あー、ダメダメまだ充電されてないから。 ほれ、赤いランプがついてない時はそのままじゃダメなんだから」

 

「あ、はい!」

 

んー、、大丈夫かなー、、。

 

傷みよりも、、、段々と心配になってきた。

 

 

「はい、終わりましたよ。 鏡、持って来て」

 

自分で手に持った鏡を覗くと、片方の眉が腫れあがってひきつったオジサンがいた。

 

かなり人相が悪い。

 

「眉毛は極力残すようにしましたからね。 まあ気になるようだったら眉の上を切って寄せる手もありますけど、、まあそれはいずれ患部が落ち着いてから、ね。」

 

気の毒にも、面目を失った若い先生は最後までうつむいたままだった。

 

 

今さら少々の傷跡は気にしないし、眉が欠けるのもいい。

 

けれど私にとって不都合なのは、患部の部位なのだ。

 

私の効き目は左目。

 

必然的にキズミは左目にはめ込んで作業するのだが、、これがまともに傷口に当たって痛い。

 

仕方なく針金状のホルダーにキズミをつけて頭から掛けたがそれでもカサカサと擦れて気になるし、すぐに出血して絆創膏を取り換えなきゃいけなくて煩わしいことこの上ない。

 

せっかくお気に入りのキズミが出来たのに、、。

 

 

思う存分時計いじりができるのは、水曜日の抜糸が済んでからになりそうだ。

 

 

 

 

 

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