「回想」 その49 | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


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Oさんと岩田、そして私の3人体勢になって、2年ほどが経過。
 

気が付けば、かつて 『ジャンクヤードのお兄ちゃん 』 だった私も、、、四十路目前の 『パスタイムのおじさん』 になった。
 

 

 

有難いことに、その間、店の経営状態は、比較的安定していた。
 

おかげでそれまで休みも何も関係なしだった私も、、、休日には子連れで行楽に出掛けたり、釣りに行ったり。
 

それなりに 「世間並み」 の生活が出来るようになったのだ。

 

 

 

一方、時計修理の仕事は年々増え続けていて、修理に関して言えば人手不足は相変わらず。
 

今は何とかなっているが、このままいけば、いずれ私と岩田だけでは手に負えなくなるのは明らかだった。

何とか職人を増やさないと、。
 

 

 

私は知り合いに頼んだり、行く先々で若者に声を掛けたりしては店に呼び、、、興味を示した者には、時計をいじらせた。
 

その頃実際に時計をいじったのは、女性一名を含め、総勢5~6人くらいいたろうか。
 

中には一度っきりの者もいたし、何度か来る者もいたが、、、なかなかその先に進む者はいない。
 

それもそうだろう。
 

授業料は要らない代わりに何度来てもアルバイト代も出ない訳だから、、余程本気で時計屋をやってみようという気にならない限り、続きはしない。
 

そんな中、初めて本格的に 「研修」 に入ったのが 「Sくん」 だった。
 

 

 

その当時、私達家族は、五日市街道から少し入った東町のアパートで暮らしていた。

 

南町にあるパスタイムからアパートまでは、直線距離にしておおよそ500mくらいか。

 

普通に歩けば15分かそこらで帰り着くのだが、、あいにく、その帰り道の中間くらいのところには、「STUN」 という怪しげなバーがあって、、、時計いじりに疲れた私は、どうしてもそこが素通りできない。

 

結局、毎日のようにその店に寄っていたのだが、、、近所に住む 「Sくん」 も、そこの常連客の一人。

 

まだ成人したばかりの若者だった。

 

 

 

SUTUNで時計の話しに目を輝かせたSくんは、直ぐにパスタイムに顔を出した。

 

さっそく空いていた修理台に座らせて、ウォルサムの懐中時計を渡すと、、、何やら夢中になって、ムーブメント(時計の機械部分)を覗き込んでいる。

 

「お、もしかして、イケるかな?」

 

私は秘かに期待が膨らませつつ、基本的な時計の構造を、サラっと説明。

 

1から10まで事細かに教えてしまうよりも、自分で見て、考えて、触れてが一番と信じている私は、、、練習用に渡したウォルサムの懐中時計を自力で完全に分解するよう彼に告げ、自分の仕事に戻った。

 

その日、結局私達と同じ時間まで作業を続けたSくんは、帰りにみんなとラーメンを食べた後、、、私と2人でSTUNへ。

 

 

 

「マサさん、やばいっすよー。 時計、メッチャ面白いっす」

 

「そうか。 そんじゃー良かったな。 時間があるなら、毎日でも来いよ」

 

「マジっすか? 俺、本当に行っちゃいますよー」

 

カウンターで話していると、私よりちょっと年下の髭面のマスターも入ってきた。

 

「時計師かー、S, 格好いいじゃん。 でもマサさん、俺はコイツ見込みあると思いますよ。 見た目によらず意外に真面目なところあるし。」

 

「マスター、意外、って何すか、意外ってー!」

 

 

 

朗るくて話し好きなSくんは、本当に、翌日から毎日来るようになった。

 

そしてそれは1ヶ月、2ヶ月続き、、、「研修」 3ヶ月目には私が渡したウォルサムの分解・組立てを卒業して、いよいよ部品の製作に挑戦する段階に入ったのだった。

 

 

 

(続く)

 

 

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