「回想」 その48 | 吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


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私と岩田の男所帯に紅一点の0さんが加わって、パスタイムのバタバタは大分落ち着いた。
 

彼女がメールの返信や商品の管理、ディスプレーや接客等、幅広く対応してくれるから、その分、岩田も私も時計に向き合う時間が長くなる。
 

自ずと、遅れがちだった時計の納期は短縮された。
 

 

 

更に、彼女の人柄もあって、馴染みのお客様の来店頻度が上がった。

 

Oさんは、決して商品を積極的に売り込みようなタイプの人ではなかったが、、、来客が増えることによって店の雰囲気は賑やかになり、それが自然にお取引の増加に結びつく。

 

人手不足の解消だけでなく経営的にも余裕が生まれて、、、私としては大助かりだった。
 

 

 

もっとも、真面目で律儀、でも決して堅苦しくない上に明るくて美人、と完璧に見えるOさんも、そこは人間、、、意外な一面があった。

 

 

「お世話になっております。 私、〇〇銀行の~」
 

ある日の午後、下北沢の銀行から店に電話が。
 

その日Oさんは休みを取っていて、店にいるのは私と岩田だけだった。
 

うちと取り引きのない銀行が、何の用だろう?

 

不思議に思いながら話しを聞くと、、、要件は、Oさんの 「忘れ物」 に関してだった。

 

 

 

先方の話しを要約すると、その日休みだったOさんは、昼前に下北沢の銀行のATMで結構な額の現金を引き出したらしいのだが、、、何と、引き出した現金と財布を、そのままその場に置いて立ち去ったようだ。

 

どうやらその日は銀行が空いていたようで、次にATMを使おうとした人がその忘れ物に気が付いた時には、Oさんはもう周りに見当たらない。

 

非常に幸運なことに、その人はその取得物を銀行の窓口に届けてくれたようだが、、、受け取った窓口の行員さんは、当然、気付いた当人が慌てて戻って来ると思い、それをしばらく預かり置いていた。

 

しかし予想に反して、、、午後になっても、当人は一向に戻って来ない。

 

仕方なく、財布の中に彼女の名刺を見つけたその女性は、パスタイムに電話してきたという訳だった。

 

 

 

話しを聞いた私は、その状況がハッキリと目に浮かび、、、そして、ちょっと可笑しくなった。

 

何故なら、そこまでのことは初めてにせよ、彼女は店でもちょこちょことした忘れ物やウッカリをやっていてその度に周りからからかわれていたし、、彼女自身も、それを自覚していたからだ。

 

かく言う私も昔からおっちょこちょいで忘れ物の多い方で、、、財布の置忘れは、何度かの前歴がある。

 

しかしその私ですら、、さすがにそこまで長いこと気付かずにいることは無いと思った、。

 

 

 

行員さんからの電話を切った私は、さっそく彼女の携帯電話に電話を入れた。

 

「もしもし、お疲れさま。 中島です。 休みのところゴメンね。」

 

「あ、中島さん、お疲れさまです。 どうしたんですか? 」

 

 

 

案の定、彼女はまだ気付いていない、、。

 

可笑しさを堪えていた私は、、ちょっと意地悪したくなった。

 

「うん。 あのさー、、、Oさん、今日は、どこかにお出掛けかな?」

 

「 いいえ、特に、、。 でも後で買い物にでも出ようかとは思ってますけど、、。」

 

なんでわざわざ電話してきてそんなこと聞くのかな? と訝う調子はあるが、、まだ気付く気配はない。

 

 

 

「あのさー。 Oさん、なんか、大事な忘れ物してない? 」

 

「えっ? 私、何か店に忘れてきてますか? あっ、今日、私、お休みでしたよね? あれ? 違いましたっけ?」

 

もう駄目だ。 可笑しさを堪えるのも限界だった。

 

「今朝、銀行に行かなかったかなー? 今さっき、電話があったよ。」

 

「え! 行きましたけど、、でも、何でですかね?」

 

驚いたことに、、、まだ気付かない。

 

「おろしたお金と財布、 忘れてるって。」

 

「え?!、、、 あっ、いけない、本当だ。 すみません!!」

 

 

その後も私たちは、そんな彼女の 「天然ボケ」 に、何度も笑わせられることになったのだった。

 

 

 

(続く)

 

 

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