吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


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シカゴに行くようになって以降、ジャンクヤードはだんだん時計屋らしくなっていった。
 

現地の仲間に勧められて米国時計協会に入会し、催事の合間を縫っては年に三回ほど全米各地の会合に参加し、時計を買ってくる。
 

ヴィンテージの腕時計に加えて懐中時計も増えていって、必然的にお客さんも時計ファンが多くなっていった。
 

 

バブル崩壊後の不景気は間違いなく日本経済に影を落としていて、実際に高額な時計を扱ういくつもの有名店がこの頃に閉店したのだが、、幸いなことにせいぜい数万円~30万円位までの時計しか無かったジャンクヤードでは、その影響は限定的。
 

というよりもバブルが弾けてから始めた店だったから、はなっから不景気が当たり前だったとも言える。
 

 

一方、時計を主体に扱うようになって売り上げは伸び始めたが、、頭痛の種も増えていった。
 

当時、ジャンクヤードでは商品の整備を同じ商店街の古い時計屋さんに持ち込んだり、「I」 さんを通じて都内の職人さんにお願いしていたりしていたのだが、、これがなかな簡単にはいかない。
 

何しろお願いする時計は新しくても1950年くらいまでの年代物。
 

皆さん何とかしようと頑張ってはくれるのだが、、、「部品がないから、これ以上は無理だよ~。」 とか 「この時計は私と同じでお爺ちゃんなんだから、時間だってそう合わないし、たまには止まることもあるんだよ。』 と言った感じで、、、結局諦めなければいけない時計も少なくなかったのだ。
 

 

そんなある日、プランタン銀座のアンティークバザールで、ジャンクヤードでは最も高額だった 「30万円の腕時計」 が売れた!
 

売り上げが不調な日だっただけに、有難い。

 

しかし、、、こいつは何がなんでも調子良くならないとまずいぞ。

 

という訳で、この時ばかりは同業者の間で 「値段は高いが腕は確か。 部品もなんでも作ってしまう」 という評判の職人さんを紹介してもらい、整備依頼したのだった。
 

 

しかし返ってきた時計を納品するとほどなく 「この時計、動かないわよ!」
 

丁重にお詫びした上、慌てて再度修理に持ち込むも、今度はなかなか直って来ない。
 

待ちくたびれたお客さんからは 「まだ直らないんですか?」
 

恐縮しつつ、待つこと2ヶ月。

 

ようやく上がってきた時計を改めて納品したところ、後日、再び電話が鳴った。

 

「この時計1日に3分も狂うの。 もっとちゃんと直してもらわないと使えないわよ!」

当然だろう、、。

 

 

マイったなぁ。 今度こそちゃんと直らなかったら返品になっちゃう、、。。

 

しかし、お客さんから時計を受け取ったその足で再び職人さんのところを訪れると、、、予想外の言葉が返ってきた。

 

 「1日3分狂うって? そのくらいで文句言われちゃ困るなー、古い機械式時計なんだから。 あんたもプロなら、ちゃんとお客を教育しなきゃ。」
 

大事な時計の手直しを拒まれた上に説教をくらい、若かった私は頭に血が昇った。
 

「 ああそうかい。 じゃ、もういいよ。 でもな、出来ないなら余計なこと言わずに出来ないって言やぁいいんだよ!!」

 

 

腹立ちが収まらない私は近所の時計屋さんに立ち寄り、、、経緯を話した上で、時計を見せた。

 

すると子供の頃から見知ったご主人は、ちょっと苦し気な表情でこう言った。

 

「そうですか。 いくらなんでもそんな言い方はちょっと酷いねぇ。 でも、確かにここまで古い時計だとそれ以上は無理かなぁ。 なんとかしてあげたいけど部品もないし、、、残念ながら私も自信ないよ。」

 

「そうですか、、。 でも、ありがとうございました。」

 

 

ジャンクヤードに戻った私は、お客さんに電話を入れ、、、せっかく気に入って買っていただいた時計が直らないこと、プランタン銀座を通じて速やかに返金差し上げたいことを伝え、お詫びした。

 

腹立ちはとうに治まっていたが、、今度は途方に暮れる。

 

評判の職人に預けてもこんな有様じゃ、一体どうすればいいのだろう。

 

ましてや職人さん達は既にみんな高齢で、、、将来もっと困ることになるのは目に見えているのだ。

 

 

返品になった腕時計をポケットから引っ張り出した私はナイフで裏蓋を外し、機械を覗いてみた。

 

時計はチクタク チクタク動いているが、、どことなく元気が無いし、錆びの浮いたネジもある。

 

素人目にも、あんまり綺麗に手入れされた機械には見えなかった。

 

 

よし。 バラバラにしてやろう。

 

どうせ直らないなら、ぶっ壊れたっていいや。

 

ヤケクソになった私は、、、順番もくそも構わず、一気に時計を分解してしまったのだった。

 

 

 

(続く)

 

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