吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


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『シャラーン』 という鐘の音に続いて、軽快なフランス語のアナウンス。

 

それに重なる、優美なBGM。
 

プランタン銀座本館催事場で、アンティークバザールは始まった。
 

 

 

前日の用意が完全でなかった私は、手伝いに来てくれた悦ちゃん(今のカミさん)と朝から 「値札付け」 や 「ディスプレイ」 の続きで、バタバタ。
 

商品はどうやってもボリューム不足で、とても準備万端とは言えない状態で開店を迎えてしまった、、。
 

 

 

『お客様、入店されまーす』
 

担当の課長の声に、それまであちこちで世間話しなどをしていた業者達が一斉に持ち場に着く。

 

ほどなく、第一群のお客様が来場した。
 

私は、まずは皆さんゆっくり全体に見て廻る感じなのかなーと想像していたのだが、、、実際にはお目当ての業者のところに真っ直ぐ向かい、挨拶がてら話しをしている人が多かった。

 

 

『こんにちは。 パリの方はいかがでした?』
 

『はい。おかげさまで、今回はとてもいい買い付けが出来ました。 このカメオのリングをご覧下さい。 こちらなんか滅多に出ない品物です。 是非お勧めですよ!』
 

『あら、素敵ねー! それにサイズもぴったり。 これいただくわ。』
 

『かしこまりました。 いつもありがとうございます。』
 

 

 

そんな風に、馴染みのお客様と商談が進む業者が多い中、、、Gケースの前に突っ立った私や彼女は、何をどうしていいか分からなかった。
 

自分たちのブースの前を通過するお客様に、ひたすらお辞儀を繰り返すのみ。
 

時折、Gケースの前で立ち止まり、中の商品を覗き込むお客様もいるにはいたが、、、、

どういう訳か、皆、首をかしげたり眉をしかめたりニヤニヤっとしたりした後、、、黙って立ち去るのだった。

 

 

 

ここでは、商談が成立した業者が顧客から代金やカードを預り、レジに来て 『◯◯アンティークで10万円』 といったようにして精算するシステム。

 

そして幸か不幸か、ジャンクヤードのブースはその真ん前。
 

だから、会場全体が自ずと目に入るし、、、「うちはもう100万越えたよ」とか 「〇〇さんのところ、絶好調ですねー」 などという、業者と社員のレジでのやり取りも丸聞こえだった。

 

 

どうやら、アンティークバザール初日の出だしは、概ね好調のようだった。
 

「バブルが弾けた」 と言っても、世間一般的にはまだまだバブルの名残りが続いていたし、今とは違って、百貨店でのアンティークショーはまだまだ新鮮味があった頃だったのだ。

 

もっともジュエリーから家具まで20以上の店が出店しているから、自分の店とレジの間をひっきりなしに行き来している大繁盛の業者が居れば、たまーにレジに姿を見せるくらいの店も、、それから、うちと同じように、朝から突っ立ったままで、すっかり手持無沙汰の業者もいて、様々だったが、。
 

私にとっては、他にも未だに売り上げのない 「同士」 がいるのがせめてもの救いだったのだが、、そんな連中も、昼になる頃には 『いやー、やっと売れたよー。 はい、◯◯アンティークで30万円』 などとレジの女の子に軽口を叩き始め、、、ジャンクヤードは、いよいよ取り残された格好に。

 

 

 

まずい。

 

月末の支払いがやっとの状態のまま、ここに参加しているのに、、。

 

2週間もの間、東村山の店は閉めている訳だから、、、ここである程度は売れてくれないと、本当に困るのだ。

 

 

 

じっとしてはいられなくなって、、、一度決めたレイアウトやディスプレイを、再びいじり始めた。

 

「そんなんじゃダメだよー。 もっと高級な感じにしないとさー!」

 

自分で解ってもいない癖に悦ちゃんの飾りつけに文句をつけ、、、Gケースをあっちにやったりこっちに戻したり、、。

 

でも焦っても焦っても、、、時間だけが過ぎてゆく。

 

何も売れない。

 

 

 

「ご来店、誠にありがとうございました。 当店は、間もなく閉店時間となります。」

 

続いて、同様の意味のフランス語のアナウンスがあり、、、初日が終わった。

 

 

 

屈辱の 「0」 ゼロ、ぜろ、零。

 

商品に布を掛け、クタクタになって有楽町駅に向かった。

 

途中のどっかで悦ちゃんとラーメンか何かを食べたような気もするが、、、よくは憶えていない。

 

ハッキリ憶えているのは、、、「ジャンクヤードさん、明日は頑張って下さいよ!」

 

哀れみとも叱咤とも取れるような、課長の一言。

 

 

 

でも結果から言うと、、翌日も、翌々日も、その次の日もダメだった。

 

確か、その数日間で売れてくれたのは、、、¥500円のバッジや¥1000均一の時計のバンドのみ。

 

何をどうしていいか分からず、、、出口は全く見えなかった。

 

 

 

 

(続く)

 

 

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