吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


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忘れもしない、1990年の夏。

 

その夏のロサンゼルスの暑さは特別だった。

 

 

宝探しの始めは日曜日。
 

先ずは、Pasadenaのローズボウル(アメリカンフットポールの球場)のフリーマーケットから。
 

 

強烈な陽射しの下、広大なマーケットを練り歩き、めぼしいものを見つけては、買って回る。
 

ここは、家庭の不要品を持ってきて並べているようなアマチュアから、キッチリ品揃えをした専門の業者まで、みんなごちゃ混ぜ。

 

実際、品物の全てに目を通すのは大変なのだが、、、たまに普通のオバチャンが持ってきている荷物に 「ジッポーライターの初期型」 とか 「ビリケンの貯金箱」 なんかが紛れ込んでいたりするから、気が抜けない。
 

 

ちなみにアマチュアがそんな 「レア物」 を持っていた場合、、、それとは知らずに全くの捨て値で売っているか、反対になまじっか調べて盛り上がり過ぎ、法外な値をつけているかのどちらかだ。
 

前者の場合は黙って有り難く頂戴するだけだが(笑)、、、後者はちょっと手間が掛かる。
 

先方は、きっと 「目の利くお客が来て買っていく筈だ」 と期待しているから、、、朝の早いうちに大幅な値段の交渉をしても、まず応じてはもらえない。
 

 

この場合、値段を確認したら一旦はにこやかに、そして礼儀正しく引き下がり、 「好印象」 だけを残しておく。
 

で、他の買い物を済ませた一日の終わり、店を片付け始める頃合いでもう一度そこに戻り、改めて品物を見せてもらう。

 

 

大きなフリーマーケットには、例外なくプロのピッカー(掘り出しものを見つけ、業者に売りさばいて生活している連中)が回っているから、、そのレア物が素通りされることは、まずあり得ない。
 

にもかかわらず売れ残ったのだから、、先方も、「やっぱり値段が高過ぎたかな~」 という気持ちになっている頃だ。

 

そんなタイミングで、 「貴方の持っているその素晴らしい品物を〇〇ドルで譲ってもらえませんか?  残念ながら私はもう日本に帰るので、これが最後のチャンスなんですが、、」 などと、勝負に出る。

 

 

この場合大事なのは、「安くして」 ではなく、「〇〇ドルで買う」 とハッキリ金額を提示すること。

 

一日出店している先方は、いくら安くしても 「もっと安く」 とか 「もうちょっと考えます」 などと言われるのにウンザリしているから、、、当初の希望よりは大分安くなったとしても、「買う」 という言葉が聞きたいのだ。

 

 

もっとも、そんなことが判ってきたのは何年も経った後の話しで、、、この時の私はひたすら目を皿のようにして欲しいものを探し、「安くしてー」 などとやっていたのだが、、。

 

 

 

結局、ロウズボウルのフリーマーケットは、かなり厳しかった。

 

欲しいものがなかなか見つからず、、、あればあったで、、値段が合わない。

 

少々高くても買わなきゃ品物が揃わないが、、、そう思って無理して買っているうち、段々懐が寂しくなって来る。

 

 

翌日からは、あちこちの街に点在するアンティークショップやサルベーションアーミー(救世軍)巡りをして、、、残りのお金で買えるだけのジャンクを買い、レンタカーに詰め込んでゆく。
 

翌日も、その翌日も、その繰り返し。

 

で、最終日に寄ったサンタモニカのアンティーク屋で何本かの腕時計に出っくわし、、、本当にスッテケテンになってしまった。

 

月末の支払いの分までかき集めてきたのに、、。

 

 

 

その夜、戦利品を全部モーテルの床に広げてみて、、、「あれ、、」。

 

全然買えていないじゃん!!

 

大事に梱包した品物は、いくつかの段ボールにアッサリ収まってしまう始末、、。

 

まずい、、。

 

 

「弊社のアンティークバザールの会期は2週間ですから、かなり長期の催事になるんですけど、商品量の方は大丈夫ですか?」

 

課長の言葉が蘇る。

 

品物を気に入ってくれたのは確かなようだったが、、商品量に関してはちょっと心配していた風だった。

 

これじゃあ2週間分どころか、、、そもそも与えられた売り場がちゃんと埋まるのだろうか?

 

 

「中島さん! これじゃ困りますよ! 商品は充分にあるってお話しだった筈ですが。」

 

そんなことになったら、、どーしよー、、。

 

目を瞑っても全然眠れない。

 

 

その晩、まだ見ぬプランタン銀座 「アンティークバザール」 の光景を繰り返し思い浮かべた私は、、、安モーテルの汚いベッドで、小鹿のように怖れ慄いていたのであった。

 

 

 

(続く)

 

 

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