吉祥寺の時計修理工房「マサズパスタイム」店主時計屋マサの脱線ノート

東京都武蔵野市吉祥寺でアンティーク時計の修理、販売をしています。店内には時計修理工房を併設し、分解掃除のみならず、オリジナル時計製作や部品製作なども行っています。


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「ここにあるもの、全部貰うよ。」

 

オジサンは、なんでもないことのように言った。

 

「えっ?!」

 

 

私は一瞬耳を疑った、、、というか、その身なりのあまりよろしくないオジサンにからかわれたように思ってムッとしたのだったが、、、、しかしオジサンは、大真面目にこう続けたのだ。
 

「いくらになるかな? 計算出来たら、郵便局に行ってくるよ。」
 

 

「ありがとうございます!!」

 

冗談でないことが判ると、、、急に胸がドキドキしてきた。

 

何しろ開店してから2ヶ月以上、知り合いのお付き合いと、常連の高校生が時折買ってくれるバッジくらいしか売り上げが無かったから、、。

 

 

えーと、、、「1950’Sの扇風機 ¥25,000」、、、「タイプライター ¥25,000」、、、「Dick Tracy のポスター ¥1,000」、、、。

 

あまり待たせたら、気が変わっちゃうかもしれない!!

 

私は、陳列してある商品の値段を目で追いながら、必死で電卓を叩いた。

 

 

今になって思えば、、、その合計額は、現在パスタイムで販売している複雑時計一個くらいの金額だったのだが、、、しかし、間もなく潰れそうな店のオニイちゃん店主にとっては、起死回生の大商い!

 

これで何とかしばらく店が続けられる!!

 

有難い、、、。 心の底から、頭が下がった。

 

郵便局から戻ってきたオジサンに渡された札束の重みを、、私は、生涯忘れることがないだろう。

 

 

 

後に聞いたところ、、、そのオジサン(A さん)は、今の私くらいの年齢(50代半ば)で、まだ、四国のある街から東村山に移ってきたばかりだった。

 

ある事情により長年勤めた仕事を辞め、、奥さんや娘さんとも決別し、、、失意の末、いくらかの退職金を持って、ヤケクソで東京に出てきたのだという。

 

 

 

ジャンクヤードに来た前夜、深夜まで都内のスナックで豪遊し、へべれけになってタクシーで帰宅。

 

朝、目醒めて思ったのが、、、「このまま呑んで憂さ晴らしするより、何か思いっきり買い物してやろう!!」  

 

そして、あの日の午後、銀座に出ようと駅に向かって歩いていたところヘンテコな看板を見つけ、、、立ち止まったところに私が来て、、、「面白そうなガラクタが一杯あるし、エーイ、ここで使ってやれー」 となったという訳だ。

 

 

いくつもの 「もし」 が、頭に浮かぶ。

 

もし、ヤケクソで四国から出てきたAさんがたまたま住みついたのが、東村山の八坂商店街でなかったら、、?

 

もし、あの日が定休日の月曜だったら、、?

 

もし、あの日、オフクロとの親子ケンカがもう少し長引いていたら、、?

 

Aさんは、ジャンクヤードに入ることはなく駅に向かい、銀座に行って買い物をしていた筈だ。

 

 

そして、もし、そうなっていたら、、、十中八九、ジャンクヤードは潰れていたと思う。

 

 

 

 

(続く)

 

 

 

 

 

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