言葉は諸刃の剣である。人を奈落の底に突き落とす場合もあれば、人生の

崖っぷちから生還させる力もある。できれば勇気の出る言葉に出会いたいし、

他人に接する時は思いやりのある言葉を使いたいと日々思っている。

 以前、朝日新聞の記事で出会った言葉を紹介したい。2008年7月25日に

亡くなった、カーネギー・メロン大学前教授だったランディ・パウシュ氏の

「子供の頃の夢を実現する事」と題した特別講義での言葉である。

 癌で余命数ヶ月と告知された彼の講義は、インターネット上で600万以上

が受講し、彼の言葉を綴った本は30ヶ国語に訳されてベストセラーになった

という。

「叶えられなかった夢から、より多くを学んだ」と言う教授は、「(夢を阻む)

レンガの壁がそこにあるのは、自分がどれほどそれを望んでいるかを試すチャ

ンスを与えてくれるためだ」と訴えかける。

 目の前の壁が、自分の夢が本物なのかを試す絶好の機会だと言うのである。

この言葉は、夢だけでなく恋愛を語る場合も当てはまる気がする。その愛が本

物かどうかを見極めるには、二人の前に立ちはだかった壁を、どう扱うかにか

かっていると思う。ちなみに、恋愛には縁のない冷おろしである。未だに立ち

はだかる壁がない。