昔、サラリーマンだったころの話なのですが、
そのころ、地上４階・地下２階のビルに入っていて、
自分の席は、２階にあったのですが、
地下１階が会議室のフロアーになっていて、
会議の時は、２階と地下１階を、エレベーターで
移動していました。
ある日、会議が終わって、席に戻ろうと、
地下１階で、下から上がってきたエレベーターに、
一人で乗ろうとしたところ、
ちょっと太めの若い男の人が、すれ違うように、
あわてて降りて行きました。
（体型は、話に関係ないです）
地下２階は、倉庫のフロアーで、
人が行くことは、ほとんどないところだったので、
下から上がってきたエレベーターで、
地下１階で降りる人がいるとは思っていなくて、
少し、びっくりしました。
エレベーターホールの隣に、トイレがあって、
そこに駆け込んで行ったようでした。
大きなビルではないので、男子トイレは、
各フロアー、大、小、一つずつしかないので、
あいていなければ、別の階に行く必要がありました。
地下２階のトイレが使用中だったようです。
で、そのちょっと太めの男の人が降りて行った
エレベーターに入ったところ、
くさい。
彼が、おならをして行ったようです。
切羽詰まった状態だったのだとは察しましたが、
何かできることもありません。
で、エレベーターは動き出したわけですが、
すぐに、１階で停止して、扉が開き、
一人の若い女の人が乗ってきました。
当然、においは消えていません。
あ。絶対に、この女の人は、
私がおならをしたと思っている。
今、このエレベーターの中にいる私以外に、
地下２階から地下１階に移動した、
お腹をこわした小太りの男がいたなんて、
絶対に想像できない。
かといって、見ず知らずの人に、
違うんです、って言って、言い訳みたいに
説明し始めるのもおかしい。
と、走馬灯のように、いろいろなことが
頭の中を駆け巡っているうちに、
エレベーターは２階に到着し、
私は降りて行きました。
めでたし。めでたし。
じゃない。
おしまい。
