桜が満開である
人々は笑顔である

わずか1週間の見頃
逃すまいと見上げ佇む



還暦を越し
あと何度と
ふと思う

昨年は
ぱふと観ていたご近所の桜

今年はひとり
その場に立ち
振り返り黄昏る



わずか1年
気持ちはこうも違うのかと
想像もしなかった
ひとりぼっちの桜の下

季節はまた急ぎ足で巡り
来年の今日は? と
ふと思う

年々 加速する時の流れに
呑み込まれ
わずかにもがいてもみるが

僕のそれとは関係なく
その抵抗は
時に残すものさえ作らず
世の中は
時間と共に進むだけ

近くのその公園の桜の下では
ご近所さんたちが集まり
今を
今年を
確認している

ただし
昨年 そこにいたはずの
あの方はなく
また新たな方が
昨年を知らず微笑んでいる



僕もまた
作り笑顔でご挨拶などしてはみるが
昨年
そこにいたはずの相棒の姿を追い
涙ぐむ

あと何度
桜を観れるのだろう

あと何度
桜は咲くのだろう

あと何度
ここに来るのだろう