本来ならば
最初は
五輪で出掛けたかったけれど
そんなチケットは取れず
今日になってしまった

6万人収容の巨大な会場は
その
ひとりのスーパースターに用意され

満席のファンは

礼儀良く
主催者側に従う




そのスーパースターは
いつものように振る舞うけれど
やはり
この巨大さに言葉を選ぶ

僕たちは
そのすべてを見逃さないようにと
いつ終えるか分からない今を
見届ける義務を背負う

暑さの中にも
日は陰り
わずかに吹き込む風は
夏の終わりを知らせるように
あの頃って風景を
また
それぞれの方の心の中に
連れ戻す

バーボン人生


バーボン人生

🎵 この手を返すと
   俺の人生が… 🎵 なんて

45年も前の曲が
僕らの心の奥の方まで染み渡る

永ちゃんは
これを
27歳で書いたと微笑み

その曲は
今また
老いた味わいの中で
誇らしくも漂う

当時を知っている者たちは
その半数以上を占めて
健康で生きた今を
幸運だったと悟る

2連夜の公演
明日にはまた
別の誰かが座り
同じ想いを持つのだろう

72歳のスーパースター

仕方ないが
あとどのくらい? って
おおよそを数えながら…


時は夏
本当は

時間よ止まれ も

歌って欲しかったなあ…



そして

そろそろまた

あの頃のように

客出しに

ひき潮 を流して

会場を後に

させてはくれないだろうか