消えゆく人間の営為 | 加納有輝彦

消えゆく人間の営為

消えゆく人間の営為

 昨日の投稿で、Mさんのコメントにお答えするために、「ある人」に確認し(笑)、コメントを返信させて頂いたのですが、若干埋もれていますので、私自身のためにも、改めてここに備忘録的に記しておきます。

 ちなみに、万一、野鳥の会の方が、ご覧になられたら、「法治国家の日本において、まるで違法行為を是認するかの如き書き込み、実にけしからん!」とお叱りを受けると思いますが、人間の営為の記録として、ご理解頂ければ、それと時効と申しますか、昔話としてご理解いただければと思います。

 その地域においては、兎などと共に、ツグミなどは保存食として重要な蛋白源であった。ツグミを麹漬けして、保存食とし、麹がついたまま焼いたりして食した。中でもトラツグミが非常に美味であった。

 捕獲方法であるが、(違法行為)
木の実が繁る山の尾根くらいから、木を伐採し(通り道を作り)そこに網を張った。
 その場所で籠に入れたおとりの鳥を鳴かせる。すると仲間が寄って来る。その時、竿にビニル袋みたいなものを結んだものを、振る、すると鷹が飛び立つ時のような音を発します。
 鳥たちは、驚いて一斉に尾根を下る、するとそこに仕掛けた網にぶつかり、その勢いで網が一回転して、もう逃げられなくなる、そんな具合だったとか。
 ビニル袋みたいなものを振るのが下手な人が振ると、鳥たちは明後日の方向へ逃げていき、網には引っかからない。腕前で違ったと言います。獲れない人は全然獲れなかったとか。 

 脱線するが、この話を聞いた時、昔、年寄が、日本手ぬぐいをはたき、水分を飛ばした。
その時のはたく音が、なんと、侍が、日本刀で人を斬るときの音に似ているのだといって、明治期、ご婦人が手ぬぐいをはたく音を嫌ったというエピソードを思い出した。

 さて、おとりの鳥は、秋口に泣くのだが、冬場小鳥狩りを行うゆえ、鳴く時期を遅らせるために、おとりの鳥の頭から黒い袋をかぶせ目隠し、エサも細くする。
 狩りの時期にあわせ、徐々に栄養を付け、時期がきたら鳴く力を蓄える。

 雪が融ける頃には、狩りを行わない。それは鳥がミミズを食べ始めるからだ。

また、寒すずめの狩りに関しては、すずめは田んぼにカラスがいるとなぜか安心して降りてくるという。その習性を利用して、田んぼにカラスを繋いでおとりとする。そこに仕掛けをしておき、すずめが一斉に田んぼに降りて来るところを捕まえる。すずめは骨が硬いのだが、寒すずめは美味であったと。(私は、寒すずめは子供の時に食したことがある。私は、前科者である。(笑))

 さて、「ある人」はいった。
なんといっても最高に美味だったのが、鶸(ヒワ)。骨まで食することができたという。脳の美味についても語られたが、それを書くのはよそう。

 さて、私は違法行為について書いている。
違法行為であったから、あまり表で聞かれない話でもある。ただ昭和の時代には人間の営為として行われてきた。
野鳥の会の方の監視通報、警察、村人たちの追っかけっこでもあった。30万円程度の罰金が科せられたという話も聞いた。れっきとした前科者になる。

 村では、談合的に、順番に逮捕された。今年はこの人。去年はあの人。仲間内では「前科者」と笑い話のネタにされた。
 
 さて、ある時、村の小さなドライブインに、ポリスが来店した。店の女将さんに、「鳥が食べたいという。」
思わず女将は、「ポリスが違法なものを食するとは何事!」と訝しんだが、お客様が食べたいというので、ツグミを出した。

 すると翌日、そのポリスマンが、他の同僚と共に、再び店に現れた。
「また、食べにきた?」
いや、違う。
検挙にきたのだ。前日、食べておきながら。

 これはおとり捜査???

さて、その後の女将の店がどうなったか、ある人も分からないという。

 ただ、そのポリスマンは、村祭りで、回転する神輿でボコボコにされた可能性はないではない。(笑)

私は、「ある人」からこれらの昔話を聞いている最中、宮松宏至大先輩が師事した記録文学作家上野英信氏の事を思い出した。
 炭鉱労働者の生きざまを描き続けた上野英信氏の作品が今に読み継がれているからこそ、過酷な炭鉱労働者の実態を今でも知る事ができる。
 それこそ非合法の炭鉱に、抜き打ちで役人が検査に来る日には、違法坑道を隠すために、すでに坑内に労働者が入っているにも関わらず、坑道の入口を埋めて塞いでしまうのだ。生き埋めである。
 もちろん、抜き打ち検査が終われば、また掘り返すのだが、もし、その間に坑内爆発が起きれば、生き埋めされた坑夫たちは、お陀仏である。
 このような恐ろしい話は、今は、絶対にありえないこと。上野氏の記録により知るのみである。

消えゆく人間の営為を、合法、非合法に関わらず記録しておくことは大切なことと思い、「ある人」にぜひ、手記の出版を勧めた。

 「ある人」は人懐っこいお顔で、ほほ笑むのみであった。

「ある人」からは、有名な禅寺の内部の修行僧の、悲喜こもごものお話しも伺った。これも誰も知らない話。
また紹介させて頂きたい。

 

 

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