「冬が来るとわけもなく悲しくなりません?」(カテジナ・ルース)
一騎討ちを始めるクロノクルとウッソ。
お互いの思いの丈をぶつけてはいますが、微妙にすれ違っています。
ウッソはクロノクルの弱さがカテジナを変えたと非難していますが、ここでいうクロノクルの弱さってなんでしょうね。
作戦はそれなりにそつなくこなすし、MSで出撃すれば、必ず何かしらの成果を持って帰ってきています。
劇中でも印象は薄めですが、かなり有能だと思います。
強いていうならば、常識人で、非情に徹しきれない点があるくらいでしょうか。
確かにクロノクルが非情な軍人であれば、カテジナは彼に惹かれなかったんでしょうが、それをクロノクルのせいだけにするのはどうかと。
クロノクルは、マリアが女王になってしまい、マリアを守るために連邦やリガ・ミリティアだけでなく、カガチやタシロとも渡り合わなくてはならなかった苦悩を吐露しています。そうですよね、大変な中かなり頑張ってきたと思いますよ。
いろんな意味で姉に依存していたのは確かに弱さかもしれません。
一騎討ちの場にカテジナ、オデロ、トマーシュが現れて、オデロがカテジナの相手をし、奮戦しますがあえなく撃墜されます。
本当の意味で良い兄貴分でした。
彼の死をショックでしたが、ここまで生き延びれたこと自体が奇跡でした。
クロノクルもウッソに討たれ、最期にマリアの幻覚をみます。最期まで姉が大切で、姉に依存していたんですね。
突然のエンジェル・ハイロゥの崩壊に混乱気味のズガンの旗艦ダルマシアンの前にブリッジを破壊されたジャンヌ・ダルクが出現。
艦隊が絡み合った挙句、両艦ともに爆沈します。連邦もザンスカールもほぼ壊滅してしまうことになります。
カガチはギリギリの所でダルマシアンを脱出していましたが、エンジェル・ハイロゥで戦死。彼もまたマリアに依存していたんですね。
両軍ほぼ壊滅の中、カテジナと対峙するウッソ。コックピットから出てきたカテジナが騙し討ちでウッソを刺しますが、ウッソから出てきた言葉は「まったく」の一言。
これ、ワタリー・ギラが最期に言ったセリフなんですよね。悲し過ぎる戦場の現実をそれでも仕方ないと受け入れた後のセリフで、ウッソもたぶん同じ思いだったんだと思います。みんなを狂わせる戦争という現実を、それをよく理解していなかった自分への戒めとともに受け入れる。ワタリーとまるっきり同じですね。長い長い伏線でした。
サイコミュ兵器に乗っているためか、エンジェル・ハイロゥの力か、ウッソに宿る人々の姿を見たカテジナは「惑わすな!」と叫び最後の一撃を撃ちますが、V2は光の翼でこれをガードにカテジナを打ち倒します。
「惑わすな!」と現実を否定したがったカテジナはその時に光を失っています。
これもエンジェル・ハイロゥの機能なのかも。
カテジナを撃破し、シャクティを救出したところで、場面が変わり、エンディングへ。
偶然にもカルルマンとシャクティの元へ辿りつくカテジナ。
カテジナだということをわかっていても優しく接するシャクティ。
聞かれて名前を答えられるようになったカルルマン。
「良い名だ」と言いながら、この現実に気づくカテジナの様子をみて「どうなさいました?」と問うシャクティに答えたのが上のセリフ。
とっさに答えられずに繕った答え方です。
分かれたあと、2人とも泣き出しますが、
これも印象的ですよね。
もう戻れないカテジナの後悔と、それをわかっているので彼女のこれからを思い涙を流すシャクティ。
印象的で良いエンディングだと思います。
全体を観て、やはりこれって傑作だと思います。
たぶん、ガンダムのシリーズの中では一番好きかもしれないくらい。
昔より所々泣けるようになったのは、何十回も再観したので理解が深まったのか、自分が年取ったのか。
そう遠くない未来でまた再観すると思います。
ご覧になっていない方には是非一度は観て頂きたい作品です。