ドスッ

 俺はそいつのわき腹を蹴り上げた。

「ぐふっ!・・・・・・い、いでえ・・・・・・」

「ふざけンのもいい加減にしろっ!」

「・・・・・・す、すいま・・・・・・せん・・・・・」そいつは今にも倒れそうだった。

「じゃあ、明日までにこれを覚えるから。どこで練習する?」

「・・・・・・竹内楽器の・・・・・・貸しスタ・・・・・・ジオ・・・・・・」そいつは苦痛に顔をゆがめながら言った。顔が青ざめている。

「ハッ?どこそれ?」

「ここから・・・・・・すぐ・・・・・・近く・・・・・・うっ!」小さく悲鳴を漏らす。

「そうか、わかった」



・・・・・・ということなのだ。

ズンツッパンッズンッズンッパンズパッ、ズンツッパンッズンッズンッパンズパッ、ズンツッ・・・・・・ 

 部屋中にドラムの音が響き渡る。

 そして―――、

ジャ~ン!!

 四人同時にギター・・・・・・ってぇ!なんで、あいつだけ弾いてねえんだよ!

 俺はドラムを叩くのをやめた。

 曲がストップする。

「おい!何でお前だけ弾いてねえんだよ!」俺はそいつに向かって怒鳴った。

「えっ?ああっ、ゴメン!お前の左頬にあるでっかいホクロに注目してた」

「ハッ!?」