クォータリング(quartering) | 東京の高級アンティーク家具店パンカーダのブログ

クォータリング(quartering)

クォータリング(quartering)とは、四分法ともいい、

寄木張り(veneer)のバリエーションの一つで、イギリスには17世紀に伝わり、

1720年代まで流行しました。


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木材を木目に逆らって、薄く切断したものを合わせると、

扇形になるため、寄木張りはもともと扇模様(faneer)と呼ばれていました。


木目にそって切断したものは、18世紀に流行しました。


寄木張りに適している木材は、フランスやスペインから

輸入されたウォールナット、きばなふじ(sapwood)だそうです。


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同じ木材から切断した薄い化粧板4枚はほぼ等しい柄になります。


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17-18世紀当時、熟練した職人でも、のこぎりの厚さもあって、

化粧板の厚みは、約0.16~0.3cm位でした。


1インチ(約2.5cm)の板から、なんとか4枚取れる程度だったそうです。


木のこぶや節、あるいは木によっては若木や異物が中に入っていることがあり、

そこを切断すると、思いがけず、素晴らしい化粧板ができることもあります。


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一つの木材から4枚の化粧板を作り、その4枚の左下隅を合わせて、

四角形に並べると、木目の模様がシンメトリーになります。


この技法、イギリス全土で活用され、今でも地方産の家具に使われています。


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クォータリングは、線象嵌(ストリンギング)、クロスバンディング、

モールディングと併用され、様々なモチーフで家具を彩りました。


ウォールナットの美しさは、独特の木目と古艶。


自然が創りだす芸術的な模様は、人為的には創りえない趣があります。


その魅力を最大限に引き出し、美しい家具に仕上げていた匠の仕事ぶり。

アンティーク家具は、永いときを経て、自然と人間とのコラボレーションを

今に伝えてくれているのかもしれません。