葵に誰かが話しかけている。葵の意識はまだはっきりせず、目を開けることも出来ない
カーナ「アオイちゃん」
カーナの声が聞こえる。カーナの声だというのがわかる。だんだん意識がはっきりしてきているのがわかる
カーナ「アオイちゃん?大丈夫?」
カーナが心配している。葵はこれ以上心配をかけないように意識をはっきりとしようと努めた
「どうだ?」
この声は…
葵の目がぱっと開く。身体はまだ完全に動かないが、葵は声の主を目を動かして懸命に探した。そしてその声の主を見つけたとたん、涙が流れた
葵「トーナ…さん」
葵はかすれる声でトーナの名前を呼んだ
カーナ「あなたのおかげ」
カーナが葵の手をギュッと握った
わたしのおかげ?
トーナが頷いている
トーナ「アオイが居なければ、俺は死んでいた」
トーナは槍で体を貫かれたはずだった。それが生きていた
トーナ「アオイの身体が光って、俺の傷がきれいに治ったんだ」
葵「わたしの身体…」
シノ「魔力の暴走がいい方に向かったんだろう」
シノが居た。その周りには警備隊のみんなも見える
シノ「あんたのおかげで、首謀者を捕まえることが出来た」
葵「…」
シノ「ただ転生者は、近衛によって殺害されちまったがな」
葵の表情が曇った
シノ「転生者が他に渡ることを防いだんだろう。それに口封じもあるだろう。誰が転生させたのか…」
葵は少し怖くなった。女神でなく、他の転生者同様に転生してたら死んでいたのは自分かもしれないからだ
シノ「お前が…いや、あなたが居なければこの国は滅んでいた。皆を代表して礼を…」
葵は首を振る
葵「たくさんの犠牲者と不幸を止められなかった」
シノ「いや、それは違う。お前が居なければもっと大勢の人が…」
葵は首を振る。2人のやりとりを見ていたカーナが笑いだす
カーナ「2人とも強情ね。なんか似てるって…」
シノ「ちょっと待ってください。俺はこんな…」
葵も反論しようとしたが、睡魔に襲われ。意識が途切れた
つづく