思い入れ強いSFだけに
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
出演:ティモシー;シャラメ(ポール・アトレイデ /ウスル・ムアドディブ)
ゼンデイヤ(チャニ)
レベッカ・ファーガソン(レイディ・ジェシカ)
ジョシュ・ブローリン(ガーニー・ハレック)
オースティン・バトラー(ファイド・ラウサ=ハルコンネン)
フローレンス・ピュー(イルーラン姫)
デイブ・バウティスタ(ラッバーン・ハルコンネン)
クリストファー・ウォーケン(皇帝シャッダム4世)
レア・セドウ(レディ・マーゴット・フェンリング)
スエイラ・ヤクープ(シシャクリ)
ステラン・スカルスガルド(ウラディミール・ハルコンネン男爵)
シャーロット・ランプリング(教母ガイウス・ヘレン・モヒアム)
ハピエル・バルディム(スティルガー)
他
ジャンル:SF
原作:フランク・ハーバート
原題:Dune Part Two
2024年 アメリカ 166分
■□■
思い入れが強すぎて、何から書いていいのかわからないが。
50年前… まだ高校生だったころに原作はそれこそ10回以上も
読み返した。 意味が超難解だったから。
理解するのが大変だった。(今はもう完璧に理解している)
今回、このレビューを書くにあたっては・・・
その思い入れゆえに、当時の矢野徹さんの訳で人名等記述
するので、映画とは多少異なるのは悪しからず。
クラウドファンディングでPART2を作ると言う話だったので
完成するのかひやひやして、待ち遠しかった。
以後も、原作が半世紀前の古いSF小説なので、多少ネタバレ
してしまうかもしれないから、先入観無しで映画を鑑賞されたい
方はこの先をスルーすることをおススメします。
■ 参考までに
過去に私が書いた「おさらい」記事をお読み頂く方が増えたので
↑リンクを張らせて頂きます。
■ 原作と今回の映画の違い
概ね、原作踏襲。 原作テロの多いハリウッド映画にしては
立派なものだと思う。
ただ…! 映画の中盤からラストは原作とはかなり違う。
ほぅ、こんなラストにしたら PART3を作るつもりか?
と、思ってしまう。
この物語の続編は「DUNE/砂漠の救世主」になるのだけれど。
1: エイリアが生まれていない
原作や旧作映画では、幼児になったエイリアが重要な働きを
するのだけれど、今回はまだ胎児のまま。
…ということは、1作目から1年以内の復讐劇となるわけで…。
2 リトルメイカーからプレスパイス・エッセンスの抽出実写化
原作の中でも、話題にしか出てこない、砂虫の幼体(リトル・メーカー)
を水で溺死させて猛毒とされるプレスパイス・エッセンスを抽出する
シーンを完全実写化… これは正直、よくやった!と拍手を送りたい。
3 チャニの離反(?)
原作では正妻は政略結婚でイルーラン姫を娶り、イルーラン姫が
この物語を語る形式になっているが、チャニは側室として愛され
ポウルを支え続けるのだけれど…。
4 ファイド・ラウサの血筋
ファイド・ラウサ… 旧映画ではスティングが演じた… の三角
闘技場での戦闘シーンや、ベネ・ゲセリットのハニートラップは
原作にはないので、もしPART3があるなら関わってくるかも。
5 フレーメンの進出
多くのフレーメンが、ブトレリアン・ジハド(聖戦)を叫びながら
宇宙に散っていく未来予知は原作でもポウルが語るが、
ハルコンネン攻略の直後から… ではない。
また、核ミサイルの流れは原作にはなく、ハルコンネン要塞の
シールド突破はラス・ガン=シールド反応で行われる。
エコロジーを謳った原作の背景だけに、核は登場しない。
6 ハルコンネンを倒すポウル
エイリアが出産されてないので、復讐はポウルの手で遂行。
蛇足の私的要望で言えば(笑)…イルーラン姫はピューちゃん
ではなく、もうちょっとべっぴん系でやって欲しかった。
あ~ ピューちゃんも可愛いが(笑)
まー、それを言うならレイディ・ジェシカのレベッカ・ファーガソンは原作
イメージよりもはるかに美しいが。
スティルガーって、こんなにおせっかい焼きのいい親父だったっけ?(笑)
いやまぁ、ピューちゃんでもいいんだけど…
イルーラン姫は楊貴妃の頃のファン・ビン・ビンみたいな
超美人が私的イメージなんだけど…
強いて言えば、チャニもかなり原作イメージではないなぁ。
砂虫(サンド・ワーム)はもう、これ以上手のつけようがないな。
でっかいミミズなんだし。
旧作映画のライダーシーンも良かったが、今回のもリアルで
迫力があった。
ファイド・ラウサに力入れすぎ。
確かに、ジャミスとファイド・ラウサはポウルの強敵だけど。
ちょっと余計なサイドストーリーが多かったような。
それに比べて、ハルコンネン男爵のワルっぷりが希薄だったような。
■ かくして救世主は…
PART1のラストでジャミスを倒し、フレーメンの一員となったポウル。
「柱の基礎」を意味するフレーメンの正式名「ウスル」を拝命し、
戦士名は砂漠のネズミ(実写初登場!)を意味する「ムアドディブ」を
掲げて。
ハルコンネンのスパイス採取工場を次々破壊し、北半球の蜂起に
成功した上に、南半球のフレーメンも統一。
一大攻勢で首都アラキーンの要塞を攻略。
見事に敵討ちを達成…。
で… PART3やるのか?
原作「砂漠の救世主」でポウルは殉教。
ダンカン・アイダホが謎の復活。
ポウルの子供(チャニが母)が育っていく「砂丘の子供たち」に
繋がっていくのだけれど。
宇宙戦艦ぶんなげシーンやるのかなぁ…。(「鉄腕アトム」か)
いや、是非やって欲しいとは思うが(笑)。
いやぁ、でも…
ほぼ原作踏襲の力作だったと思う。
PART3はあってもなくてもいいけれど。
このままではチャニがちょっと気の毒で。
最後に蛇足中の蛇足を言わせて貰えば…
「鳥型飛行機(オーニソプター)」はわけがあって鳥型なのだけれど
あんな虫(トンボ?)でブンブン言いながら飛ぶのはNG。
砂虫をつねに呼ぶようなもんだ。
ぱい印おススメではあります。
ただし… 原作もちゃんと読んで欲しい(笑)。