この日は気温も上がり霧が出て、ちょっと幻想的な風景だった。母親の歯医者の付き添いで出かけた日。
83歳で一人暮らしをしている私の母親は、私が2度も乳がんになったことを知らない。もちろんこれから話す予定もない。もし私が乳がんになったのを知ったら、毎日心配し考え込む性格だとわかるから。残りの人生をそんなこと考えながら過ごして欲しくない。
日本とハワイで離れて暮らしているから出来る事でだろう。
私がキモで髪の毛が抜けた姿を見せないことも出来たし、ドレーンを家にお持ち帰りしたのも見せずにすむ。再建後、腕が全く上がらなくてドクターに泣かされた（？）のも知らないしー。
私が胸を再建したのも乳頭を再建したのも、母親に私の乳がんがバレないようにする為だった。まあ、裸にならなきゃわからないけど、私は母親とまだ一緒に温泉に行きたかったのです。
この冬に帰る数ヶ月前、近くの温泉がリノベーションしキレイになったらしい。んー私は温泉行きたいぞ！私が行くと言ったら、母親も行くと言うだろう。
最初は、「今日は寒いからお母さんは行かない方がいいよ」「そうだね。滑って転びたくもないし」などと言って私だけ行ってた。が、ハワイに帰る前日に、最後だから行って来ると行ったら、母も今日は一緒に行く！と言う。
私は背筋を使って再建したので、背中に大きな跡がある。だから背中と胸、両方を母に見られてはいけないのだよ。
行く前に頭の中でシュミレーション。
背中の傷も右側だから、1番右端のシャワーを場所取り、斜めに向いて座る。そしたら母親から見える胸も左側。なんとかなるだろ。湯船に入ったら鎖骨までお湯につかる。出る時は一気にでる！などなど（笑）
お陰で、母親と一緒に温泉を楽しむ事ができた（私はハラハラしながらだったけど）。母も久しぶりの温泉で気持ちよかったようだし。
私の大きな目標は達成できた！
が、これが最後にはしたくないので、また温泉に入る機会があったら、ドキドキしながら入るしかないね！
母親にはいましばらくは長生きしてもらわないと、私が帰る家がなくなるわ。
