ツインズ | 林家パー子の血が騒ぐ

林家パー子の血が騒ぐ

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ツインズ

を森ノ宮ピロティホールに観に行きました。
観劇友人仲間からはやたら酷評されていたこのお芝居、私は結構嫌いではありませんでした。クセはあると思うけれど…

海辺で仲良く暮らす兄とその仲間。そこに弟が娘を連れて帰ってくる。
徐々に何かがおかしいということが分かってくるが、狂い始めた歯車は戻らない…

主演の古田さんが、脚本演出の長塚さんに「嫌な家族の話を描いてほしい」と始まったこの企画。長塚さんと古田さんは「最近は説明過多な芝居が多い。削りに削ってはどうか」ということだったのらしいですが、まぁ削りすぎてましたね。w


↓ 以下ネタバレも含みます


これは原発で汚染された日本のお話だと思われます。「5月に起こった時に比べれば今は落ち着いた。」「オーストラリアは今、すごい人が押し寄せている」オーストラリアだけ汚染がマシでみんなそこに移民として行きたがっている…

何の説明もないから、いったいこの世界は何が起こってしまっているのか、どうしてこの人たちがここに一緒に住んでいるのかなどということを想像してつなぎ合わせないといけないので多分そういうことが嫌いな観客には受け入れられない芝居なのではないでしょうか。(最初から絶望感たっぷりで閉塞的な感じがするのでそういうのが嫌な人も…)

かくいう私も甥っ子が、自分の子供の双子を嫌うのは、海が汚染されているからだけでそうなってしまっているのかはわからずじまいでした。

でも最後の食事時(このときはあんなに拒否していた甥っ子も食事)に停電が起こり(電力会社が送電をしたまま逃げたといっていました。もしかして日本の機能停止?)蝋燭が灯され、そしてそれが全て消えたときに、これは比喩で蝋燭が消えた時、あそこにいた家族全員の命の灯も消えた気がしてなりません。父親一人が本当に死ぬ予定だったのでしょうか。

最初のセリフのもったいぶった言い回しとリズム感の悪さ。そして暴力に関する描写も中途半端です。私にはどんなに「きれいな海」とセリフにあっても鈍色の海しか想像できませんでした。なのに途中面白いと思える点もなんだかあって、今の日本人の心の奥底にある心配事や現状を何とかわしづかみにして見せたかったのかなぁ。多分私はまたこの長塚さんの作品を見ると思います。