噂には聞いていたけど

それは今から25年以上前のこと。
確か7月の半ばを過ぎた頃、大学時代の友達と久しぶりに会って飲むことになり、お互いが（当時）勤めている会社の話になった時、友達がこんな話をしてくれました。
ある日彼は会社の勤務中に上司からある用事を頼まれたそうです。
それは、その年のプロ野球オールスターゲームの出場選手のファン投票の投票。
それも、彼の好きな球団の選手に対しての1票だけというのではなく、50人分ぐらいの投票用紙（マークシート用紙）とその年のプロ野球選手名鑑を渡され、選手名鑑を見ながらそれぞれのマークシートに書かれている某球団の選手の名前をランダムに選んでチェックをつけてファン投票の投票ができる状態にしてほしいというものだったそうです。
実は、彼の当時勤めていた会社は某プロ野球球団の親会社のグループ会社とつながりがあり、投票用紙で選ぶ出場してほしい選手もその某球団の選手限定だったそうです。
同様な依頼は彼のいた部署の同僚数人も受けたようで、いきなり上司から勤務中にそんな依頼を受けて彼は驚いたものの、ともかく上司の言うことなので断ることもできず、業務の合間をみながら50人分の投票用紙に必要事項をマークしたり書きこんだりしたそうです。
ただ彼は野球には全く興味がなく、有名な選手はともかくその他の選手のことはほとんど知らないので、早く終わらせたい気持ちもありとにかく適当に選ぶ選手名を変えてマークをつけていったそうです。（一応、特定の選手に票が偏らないような形でマークしてくれと言われたらしい）
彼は以前からいろいろな人気投票などには大量の「組織票」が紛れ込んでいることがままあるという噂は聞いていたそうですが（私もそうでした）、それが本当にあり、しかも自分がそれに加担することになろうとは思っていなかったので、投票用紙の束を上司に手渡してお礼を言われた後も罪悪感と何とも言えないもやもや感が残っていると話してくれました。
なにぶん私の当時勤めていた会社での話ではないので彼の話していたことしか情報はなかったけれど、私も噂には聞いていたけれど彼の話を聞いてやっぱりそんなこともあるのかと驚きましたし、できれば知らない方が幸せだったかもしれないことを知ってしまったがっかり感というのも大きかったです。
今のプロ野球などのファン投票での試合出場選手の投票がどのようなシステムで行われているのかはわかりませんが、今ならweb投票で組織票が投じられることをある程度防止できるようになっているのかもしれません（それでも何らかの方法でそれを試みようとする者はいるかもしれませんが）。
いずれにしても、私の友達が一度だけ体験したようなことは、当時もそうだったでしょうが今明るみに出たならとんでもない大騒動になるでしょうね。