本シリーズ最終回です。前回までに楕円柱座標のラプラシアンが得られましたので、今回は同焦点楕円球座標のラプラシアンを求めます。水素分子および水素分子イオンに使われる同焦点楕円球座標です。英語名はhyperbolic Confocal Elliptic Coordinates 、またはhyperbolic Prolate Spheroidal Coordinatesです。 8PRO積分表より引用します。
座標とラプラシアンは次のようになります。
●第1段階は、
楕円柱座標と同じようにXZ平面で考えていきます。そしてx1→ρと置き換えるだけで全く同じ座標を置きます。
電子P1(x1, y1, z1)からX軸に垂線を下ろし、X軸と交わる点を点x’1とします。点x’1はx’1(ρ, 0, 0)とします。次に、電子P1(x1, y1, z1)からZ軸に垂線を下ろし、Z軸と交わる点を点z’1とします。点z’1はz’1(0, 0, z1)となります。
直角三角形のピタゴラスの定理より、zとρは次のように求まります。
x→ρとおきかえるだけで楕円柱座標と全く同じなので、次のようになります。
同様に楕円柱座標で得られた∂/∂x → ∂/∂ρと置き換える
●第2段階は、
Z軸を回転軸としてXZ平面上の図形を回転させると、扁長な楕円球となります。楕円の2個の焦点と回転軸が、同一直線上にあるので同焦点楕円球座標という名前がついています。
※他方、X軸を回転軸としてXZ平面上の図形を回転させると、扁平な楕円球となります。英語名は、Oblate Spheroidal Coordinatesという名前がついています。
同焦点楕円球座標のxの2階微分とyの2階微分は、微分方程式の本の円柱座標および極座標と全くおなじであり次のようになります。
式(9-2)の∂/∂ρを代入する。
さらにρ=a sinhμsinνを代入する。
以上で、本シリーズは終了です。
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[付録]
双曲線関数は、高等学校のカリキュラムになく少し戸惑いがありますが、少しだけご紹介しておきます。
●双曲線関数
三角関数に似た公式があります。
双曲線正接と双曲線余接なども定義されます。