わが家の周りが森林。山道に踏み入ると延々と森林地帯が続く。
日本の国土の3分の2が森林。 その半分近くが人手をかけた人工林。
将来どうなるのか。
様々な期待を実現できる森林の将来像を
より具体的に描いてみた。


■森林への期待

(1)永続的安定な林業の成立、、、良質な木材(主に杉檜)の産出、
       関連産業の維持活性化・雇用の創出。
(2)水源涵養、治水治山  保水力、根が土壌を確保する力は広葉樹がよい。
       落盤の土砂に杉がまじり、地盤維持には杉の人工林は不適。
(3)地球温暖化防止、二酸化炭素吸収の機能、、杉檜より広葉樹が優れている。
(4)生物多様性の豊かさ  杉の森では乏しい、広葉樹でなければ実現できない。
    多様な動植物の生態系が維持できる。
    河川を通じ下流域に豊かさを運び、沿岸漁業を活性化させる。
(5)森林浴や遊び場、ストレスの多い都会人の癒しの場。


現状は同じ樹齢の杉が同一地域を占め、間伐を繰り返し最終的に皆伐し、
再び0歳の苗を植え、下草刈、間伐、枝下ろしをして数十年後に皆伐するサイクルとなっている。
というのも、何でもかんでもお金になるだろうと見込んだ杉を戦後ずっと植え続けてきたので、それ以外の方法や将来像を考えずに来たのである。
地盤の弱い災害を引き起こしやすい土地にも見きわめなく植えている。
この冬の雪で多数の倒木が森林地帯で見られ、道を塞ぎ、電線を切断、また河川に集積し、2次災害を引き起こしかねない。その倒木のほぼ100%が杉である。
冬でも木のてっぺんに葉を茂らしている杉は、葉に積もった雪が凍結し、てっぺんを重くし、風が吹いて、幹が折れたり根こそぎ倒れたりしたのである。
ふさわしいかどうかの判断もせずに杉を植えるという固定観念がもたらした災害なのである。
災害をまねく倒木を処理した後の跡地に、なぜ同じ杉を植えるのか、尋ねたら、苗が安価だからという答えしかかえってこない。広葉樹という発想がなく、苗が手に入りずらいからだ。 
柔軟な思考を持たなくてはならない。森林の持つ潜在的な豊かさを発現させる将来を迎えなくてはならない、子々孫々に豊かさを引き継いでゆかなくてはならない
そうした意図を持った(1)~(5)の期待に応える森林の将来像を、
以下では、より具体的に描いてみた。

■杉檜と落葉広葉樹の混交林化の具体像

以下は
真中が落葉広葉樹で、それを取り囲むように、樹齢が異なる杉が植えられる。
周囲が四辺形で、樹齢は25年ごとになり、25年毎に樹齢100年になった杉が伐採産出される。


混交林の図

一辺の長さは、杉の樹高と日照の関係で、杉苗の成長に支障が起きないことで決められる。
樹齢100年の樹高は50mくらいか、土地によってはもっと高くなる、高くなれば、その影の長さが伸びていく。それにより杉苗の成長に支障が起こる。すると辺を長くすることになる。
一辺は100~200mの範囲ではないか。


この森では
25年ごとに、樹齢100年の杉を安定して供給できる。
広域には、こうした区画された樹林が連綿とつながっていく。
こうした区画が25以上あれば、将来的にには、
樹齢100年の杉が毎年永続的に供給し続けることができるはずである。
樹齢100年の杉で造った家は100年もつ。50年なら50年しかもたないと言われる。
樹齢100年なら大黒柱となるような骨太の構造材もすべて賄えるのである。
そうした木が安定的永続的に供給し続けられるようになれば、
建築業は一変するはずだ。
木材の自供率は現在30%ほどだが、将来はすべて自給が可能になる。


■移行過程の例

終戦後69年が経過。1940年代後半から50年代、復興のため伐採された跡地に
植えた杉が樹齢50~69年を迎え、
これからどうするかは、日本の森林の将来像をどう定めるかにかかっている。

以下は、樹齢50年の杉林を混交林化する一つのモデルである。

最初に、 皆伐せず、真中を伐採し、落葉広葉樹林化する。
3方向の杉は並木状に残す。1方向の1辺のみ伐採し、杉の苗を植える。
真中の落葉広葉樹であるので、日照があり杉の苗の育成ができるようになっている。


移行最初の年


25年後には、


移行25年後
次の25年後、最初の年から50年後

移行50年後
人と動植物が共生でき、災害に強く、地球に優しく人にも優しい、持続可能、永続的安定的に維持できる森林の創造へ、できるだけ早く着手する
 数十年がかりの森林の創造につなげる、将来像ヴィジョンを明確化し、引き継ぎ広げる

 先走らず、まずはここまでの是非、、いかがであろうか?


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