都営住宅の名義人が亡くなった場合、東京都は原則配偶者。生活保護受給者も退去に・・あまりにも厳しい | 尾崎あや子オフィシャルブログ「東へ!西へ!尾崎あや子の活動報告」Powered by Ameba

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<予算特別委員会 ①>

都営住宅の使用承継について

 

 

○尾崎委員 最初に、都営住宅の使用承継についてです。
 都営住宅に住んでいる方の一番の悩みは、使用承継制度についてです。二〇〇七年の厳格化対応で、東京都は、使用承継が認められるのは原則配偶者となっています。それ以外は、高齢者、障害者、病弱者と極めて限定的です。
 私は、忘れられないことがあります。あと一週間後に六十歳の誕生日を迎えていたのに、親が亡くなり、都営住宅を出ざるを得なかった人。親が亡くなり、残されたのは子供三人でした。長男は非正規雇用で働いていたので、民間アパートに移りましたが、下の二人は養護施設に入るしかないといわれました。長男は仕事がなくなり、家賃が払えなくなり、自分が生まれ育った都営住宅のそばの公園でホームレスになっていました。
 このような事例は、全都のあちこちで起こっていることです。使用承継の制度によって、新たな住宅困窮者を生み出しているという現実を知事はどう受け止めますか。

 

○小池知事 都営住宅の使用承継制度につきましては、入居者と非入居者間の公平性を確保する観点から、国の通知等を踏まえまして、原則として配偶者またはパートナーシップ関係の相手方に限定をいたしております。
 また、特に居住の安定を図る必要がある高齢者、障害者及び病弱者につきましては、例外的に承継を許可する配慮をいたしております。
 使用承継の対象とならない方には、六か月の退去猶予期間を設けるとともに、公社住宅の募集情報の提供、市区町の相談窓口の紹介などを行いまして、丁寧に対応いたしております。

 

○尾崎委員 私は、都営住宅の使用承継について、新たな住宅困難者を生み出している現状をどう受け止めるのか、知事の認識を求めたのに対し、正面から答えるものになっていません。
 そもそも都営住宅は、住宅に困っている人への支援として位置づけられているんです。それなのに使用承継の制度によって、新たな住宅困窮者を生み出すようなことがあってはならないと厳しく指摘するものです。知事の姿勢が問われるものです。
 二月十四日の都市整備委員会の陳情審査で、二〇二一年度に使用承継事由が発生し二〇二二年九月三十日までに届出があったのは四千一件だと答弁し、その中で使用承継の申請及び許可の件数は三千三百五十一件であり、六百五十人が退去になっていることが分かりました。
 二〇二一年度に使用承継事由が発生した中には、五百四十六件の生活保護受給世帯がありました。この中で、退去せざるを得なかった世帯は何世帯いますか。

 

○山口住宅政策本部長 令和三年度に使用承継事由が発生し、令和四年九月三十日までに届出がございました生活保護受給世帯のうち、退去した件数は七十三件でございます。
 この中には、本人の意思で使用承継を希望せずに退去した方も含まれておりまして、使用承継が認められず退去した件数については把握しておりません。

 

○尾崎委員 生活保護受給者でも七十三世帯が退去になったということです。あまりにも冷たい状況ではないでしょうか。
 日本共産党都議団は、全ての都道府県と政令市の公営住宅の入居承継について調査を行いました。
 パネルをご覧ください。生活保護受給者に使用承継することとしている県は、岩手県、秋田県、山形県、千葉県、栃木県、三重県、滋賀県、大阪府、山口県、徳島県、佐賀県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の十五府県、政令市では、さいたま市、川崎市、新潟市、浜松市の四市であることが分かりました。特に滋賀県、大阪府、山口県は、厳格化対応後に見直しを行い、要件に加えていることも分かりました。
 東京都は、他県と比較しても大変厳しいものになっている。生活保護受給者については使用承継できるように見直しを行うよう強く要望するものです。


 ひとり親家庭で、母親と子供が都営住宅に入居していましたが、病気で母親が亡くなってしまい、十八歳の高校生一人が残されました。JKKの担当者は、施設に入るか、離婚した父親のところに行くしかないと冷たい対応でした。
 パネルをご覧ください。鳥取県は、全ての同居者が未成年者の場合、あらかじめ後見人を定めた上で、未成年者のうち一人について承認すると二〇〇七年に改正しています。
 少なくとも名義人の親が亡くなり、未成年者だけが残された場合、使用承継を認めるべきですが、いかがですか。

 

○山口住宅政策本部長 都におきましては、未成年の同居者だけが残された場合、原則として承継はできませんが、同居者のうち、年長者が義務教育を修了していれば、その年長者が二十歳に達するまでの間、退去を猶予する配慮をしております。

 

○尾崎委員 原則として承継できないという答弁であり、退去を猶予するというだけのものです。しかも、このことを知っている入居者はどれだけいるでしょうか。
 私も先ほど紹介した事例について都の担当者に聞いたとき、この説明は何もなく、養護施設に入るしかないですねと答えたのは鮮明に覚えています。鳥取県のように、きちんと使用承継できる対象に、都も見直すべきだと強く要望するものです。
 我が党は、今回の全国調査を実施し、そもそも厳格化対応していない自治体も多いこと、大阪府は入居者の高齢化によって自治会活動が困難になった、議会では議員からも提案があり、一年くらい議論し、一回だけだが、子や孫への承継を認めようと二〇二〇年に改正したこと、また、鹿児島県では、生活保護受給者を承継の要件にして、ケース・バイ・ケースの余地を残していることが分かりました。都も都民の立場に立って検討すべきだと強く要望しておきます。