用事を済ませた帰り道。あまりに空が青くて美しいので、バスに乗らず歩きたくなる。



まだまだ日中の気温は高く、じりじりと太陽が照りつける。それでも真夏とは決定的に何かが違う。

静かだ。そうか、セミが鳴いていない。この前まであんなに賑やかだったのに。あのBGMがないだけでずいぶん涼しく感じられる。

歩道の脇にサルスベリの木が並ぶ。

百日紅という名の通り、長い夏の間ずっと咲き続けている花。花言葉は「ど根性」?

そんなはずはなく、調べてみると「雄弁」「愛嬌」「不用意」「あなたを信じる」などがあるようだ。

「不用意」は「猿も木から落ちる」イメージから来ているそう。幹をなでてみると、すべすべで気持ちいい。

白い花の木もある。

去りゆく夏を惜しみつつ、秋を感じさせる乾いた風に吹かれて歩き続けた。