マルの命日から一ヶ月

早いものでマルの命日から、もう一ヶ月過ぎてしまいました。

前にも書きましたが、あの子が居なくなってから何をするにしてもやる気が出ません。

部屋にマルの写真を飾り、いつも二人で見てはマルをまた抱きたいと言っています。

ただ本当に良かったと思えるのは二人がマルの逝く所を見送れたと言う事です。

うちの奥さんはずっと二人が出掛けてる時に、一人でマルを逝かせる事は可哀想だと言っていました。

でもマルは僕たちが帰るのを、待ってくれていました。

亡くなる二、三日前から食べることも出来なくなっていたのですが、僕はずっと去年の復活の様にまた便さえ出れば元気になるんだと信じていました。

でも最後もう立てなくなり、トイレにも行けず、辛うじて寝てるマルに水やチュールだけをあげるだけ。

身体には力がなくなり、首も手足もダランと垂れていつものマルではなくなりました。

それさえ食べなくなってからはスポイトで水をあげていました。

それでもマルは奥さんが帰ると少し反応しておかえりと小さな声を出していたそうです。

若い頃は奥さんが帰ると喜んで、ハンガーラックの上まで飛び乗って出迎えてたマル…

そんな身体になっても、マルは帰って来るとおかえりって言ってくれてたんですね…

それから深夜。次の日休みだった僕が夜はマルのそばに居て見守ってあげる事にしました。

その日、僕が帰る前までは胸が苦しいのか、それでも動けないので、胸を開こう開こうとしていたらしく、首を少し伸ばしてあげたら呼吸が落ち着いて来たらしいのですが、お腹はおしっこ出来ない様で膨らんでいたので、帰った時に僕が服圧を掛けて排尿してあげました。

それでもマルは元気にならず、一日中看病して疲れた奥さんに代わり、マルの側で横になり、見守りながら身体を摩ってあげてると、どうしてもいつものようにマルを抱いてあげたくなり、こたつに入りながら、寝ている胸の上にだらんと身体のなったマルを乗せて摩りながら抱いていました。

心臓が猫にしてはやはりゆっくり過ぎる程ゆっくりと鳴っていました。

そして明け方まで摩ってあげていて、ふと居眠りをしかけていた時、マルがビク！と胸の上で二回位程動いて、僕は目を覚ましました。

どうやらさっきより心臓がゆっくりになっている…

僕は慌てて隣の部屋に居る奥さんを、マルを上に乗せた格好で横になりながら呼びました。

慌てて起きた奥さんの前でも、マルは二回ほどビク！と動いて静かになりました…

それが奥さんが最後に見た、マルの動く姿になりました。

そして段々と心拍数がゆっくりになり、僕の胸の上で息を引き取りました…

頑張ったねありがとう、と二人で沢山撫でてあげました。

本当に本当に良い子でした。

手のかからない…

甘えん坊で、

そして温和な明るい子でした。

子供の頃、他に三匹同時に産まれた子の中で1番好奇心が強くて、小さいのに大きな僕の足に、壁の影に隠れながら飛びついて来たのもマルでした。

だから子供の頃のマルに僕は怯えていたのを思い出します(苦笑)

いつも好奇心旺盛で、マルだけ外に行ってご飯になっても帰らない日が何度かあったりしました。

それでもマルはいつもふらっと帰って来てくれたんです。

夜に自転車で外に買い物に行く僕を追いかけて来て、後ろから来た自動車にはねられ、1週間帰らない時もありました。

それでもマルは骨折しながらも、どこかで雨宿りをして、あきらめずに探そうとした僕らの家に帰って来てくれたのです…

骨折して帰って来たその日のマル（涙目で部屋の隅に行ってしばらく動きませんでした）

大きくなっても甘えん坊で、ほとんど変わらない大きさになったお母さんのニャ〜ちゃんのお乳を吸いに行ってニャ〜ちゃんに怒られてシャーされてました(笑)

癌が顎に発覚した後も、手術して良くなり、それからもずっとうちらのそばに居てくれました。

手術の傷を舐めない様にエリザベスカラーをしているマル

産まれてから22年七ヶ月…

僕はずっとマルは一緒にいると心のどこかで安心していたんです…

そんなはずはないのに…

ペットはいつか人間より早く亡くなるのに…

マルはいつも帰って来てくれたから…

亡くなった次の日。ちょうどお母さんのニャ〜ちゃんの眠るセレモニー会場の予約が取れて、二人でお別れをしに行きました。

セレモニー会場は体重で値段が変わる様で、そちらで計ってもらったら二キロほどになっていました。

いつもは五キロ位あったので半分くらいです…

そんなにガリガリになりながらも、最後まで頑張ってたマル…

もう抱いてあげられないと思うと空虚でなりません…

小さい頃のマル（片手で抱ける位小さかった…）

あと不思議な事がひとつありました。

マルが亡くなった翌々日、二人で寝室でマルの話をしながら眠ろうと床に着いた時、隣の部屋にあったマルがいつも座って寝ていたあのマッサージチェアーが突然動き出したのです。

このマッサージチェアーは奥さんが買ったものの、マルが気に入りいつも寝床にした為、やむ無く上にマットやバスタオルを敷いたりして、中の機械がマルが粗相しても壊れない様にしておいたのですが、ずっと最期まで寝ていた座椅子です。

しかも見てわかる様にスイッチが肘掛けに付いていて、誰か人間がスイッチを押さなければ動かないのです…

そしてその時以来このマッサージチェアーが自然に動く事はありません…

今でもあれはマルがまだここに居るよと、寂しがる僕達に教えてくれたんだと思っています。

３月9日はサンキューの日。仕事で行けなかったので、次の日の10日にマルにありがとうを言いに行きました。

実は3/9は野良猫だったお母さんのニャ〜ちゃんの命日で、僕達にありがとうと告げてくれたと思っている日でした。

ニャ〜ちゃんは賢い猫で、人懐っこい性格の子でしたが、どうやら誰かに毒を盛られてそれを食べて亡くなったのです。

人懐っこさが逆に仇となりました…

亡骸の口に砂を含んでいて、獣医の先生が口から何か吐こうとしてたんでしょうと言われました…

外傷もなく突然に亡くなったのです…

そしてその頃近くの河原で野良猫が沢山殺されていたのがニュースになっていました…

マルは長く一緒で、最後まで看取れて本当に良かったです。

大好きだよマル。

これからもずっと、永遠に。

寂しがる奥さんの為に作って玄関に置いたマルの写真