「The Secret Garden」(秘密の花園) | こだわりのつっこみ

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素人が音楽、小説、映画などを自己中心的に語ります。

レベル:中学2~3年生レベルですが、若干長めなので1~2日かかります。


ジャンル:ヒューマン・青春


あらすじ(背表紙から):

Mary Lennox goes to live with her uncle in a big, old house in the country.
There are many gardens round the house.

One day Mary finds a garden that has high walls and no door.

What is the secret of the garden?


面白さ:★★★★☆


※以下、結末まで話します。嫌な方は見ないでください。













The Secret Garden (Penguin Readers: Level 2)/F. Hodgson Burnett
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主な登場人物:

Mary Lennox
…主人公。痩せていて、誰の愛情も感じず、誰も愛せない少女。
Mr. Archibald Craven…Maryのおじ。ヨークシャーの大豪邸に住むが、家にいない。
Martha Sowerby…丸顔で優しい、Craven家の家政婦。
Dickon Sowerby…Marthaの弟で、動物や植物を愛する少年。
Ben Weatherstaff…Craven邸の庭師。
Colin Craven…Craven氏の息子。病弱。


内容:

インドで仕事をしていたLennox夫妻は、インドで病気にかかって死亡。娘のMaryは、おじの住むイギリスに行って暮らすことになります。
Lennox夫妻はMaryにほとんど手をかけず、そのためにMaryは誰も好きになることができず、また誰からも好きになってもらえないようなわがままで病気がちな子でした。

イギリスのヨークシャーのおじCraven氏の家は、100部屋あり、たくさんの庭もあるような大豪邸。MaryにはMarthaという家政婦が世話をしてくれることになりますが、彼女が言うには、常に部屋の中にいなければならないこと、ただし庭では遊んでよいと注意を受けます。さらに、意味深な一言。Craven氏の亡くなった愛妻の庭には入るな。

しかし、子供のことですから逆に気になってしまい、その庭をどうにか探そうと試みます。そこで、鋤を持った庭師、Ben Weatherstaffに出くわしたり、美しい声で歌うRobin(ヨーロッパコマドリ)を見つけたりします。

Cravenがその庭を秘密にする理由。
それは、いつもその庭で木に座り、本を読んでいた愛妻が木から転落して亡くなってしまったから。その時の怒りと絶望感からCraven氏は庭を閉め、ドアの鍵もどこかに放り投げたのでした。

毎日のように庭で遊んでいると、MaryはついにCraven氏がなくした鍵と、秘密の庭へのドアを見つけます。
恐る恐る開けて中に入ってみると、rose-treeやrose-plantsがあるのですが、死んだように芝は茶色。そこでなんとか美しい花園に甦らせようと、Maryは植え替え始めます。
しかしド素人だったMaryは、動物と植物を愛し、愛されているとうわさの、Marthaの弟Dickonに助けを求め、それから2人は毎日毎日Dickonと花園を作るために働きます。
以前は誰にも好かれず、また誰も好きでなかったMaryは、Dickonという心からの友を得ることができるのです。

さて、Maryが秘密の花園を探している前後、夜に度々だれかが泣く声がしていました。
気になったMaryですが、自分の部屋を出てはいけないとMarthaに言われていたので躊躇していたのですが、ある時部屋を抜け出してその声の元に向かいます。

すると、声の主はColinという少年で、ベッドに横たわっていました。
Cravenの子でありながら、まるでかつてのMaryのように卑屈で、自分の命は長くないと思い、誰からも愛されておらず、また自身もだれも好きになれないと思っています。
そこで、Maryは車椅子でColinを秘密の花園に連れ出し、元気になってもらおうとします。

秘密の花園を見て、話をし、どんどん元気になるColin。
車椅子から立ち上がり、卑屈な性格も変えていこうと決心するまでに。
さらに、父親であるCraven氏が帰ってきたらこの甦った花園に案内しようとするのです。

Craven氏は妻の死以降、自分の家を空けがちで、年中旅行に明け暮れていました。
というのも妻の事ばかり考えて悲観にくれ、さらには息子のColinも病気がちで短命だと思っていたからです。
しかし、ある夜庭にいて、自分を呼びかける夢を見ます。
幸せになれる予感がしたCraven氏は、帰国。邸宅に帰ります。

すると、秘密の花園から駆け出す子供を目にします。背が高く、大きな目をしているColinでした。
そしてColinは、Craven氏を緑豊かで花が咲き誇る、あの秘密の花園に案内するのでした。




感想:
 
率直に言ってしまうと、かなり面白い作品でした。
もちろん、ダイジェスト版だろうと思いますが、それでも十分伝わってきたし、オリジナルもいつか絶対に読もうと感じられるくらい、MaryとColinの成長が伝わってきました。

心が成長したMaryが、自分の生き写しのような卑屈なColinを次第に人間的にしていく感じがとっても良いです。
さらに、それが秘密の花園が次第に色を取り戻していくように、MaryやColinの心にも色が灯っていくのだと思うと、より一層深いのだなぁと思います。

さらに、DickonやBen Weatherstaffをはじめてとして、脇役もかなり素敵だと思います。

「天才」や「神」のように、本来は素晴らしい言葉なのに、使い古されてしまって逆に陳腐になってしまった言葉、「秘密の花園」ですが、原点となったこの作品を読んでおくことになんの損もありません。