最近の肉は鳥が好きな者です。
三カ月に一回くらい変わりますが、変わらないのは肉が好きだということだけです。
色んなバンドがいて、どれも好きですが、最初に聴いてから今まで一回も心が移ることがなく好きで居続けている二組のバンドが奇跡的なツーマンライブを行いました。
恐らく今日のことを俺は一生噛み締めていくと思います。
それでも世界が続くなら/Lyu:Lyu
“伝えることを忘れない”

今回のライブ以前より親交があり、Lyu:Lyuのコヤマヒデカズさん曰くただのファンだというそれでも世界が続くならとのライブ。
まずは、前回のライブよりほどなくインディーズへと復帰を果たしたそれでも世界が続くなら。
メジャー契約の解除については少し思うところがありますがここでは割愛。ステージにおいては誰もがみな平等です。
今回は11月にリリースするニューアルバムからと思われる楽曲を演りつつ、定番の曲たちでガッチリ脇を固めるというセットリスト。
などと冷静に書けるのはここまで。初めて耳に届く新曲たちがとんでもなく良い曲ばかりだからです。
まず、≪すべてが悲しい/すべてが虚しい≫、『ゴミ以下だ』と淡々と歌う一曲目からして様子が違う。いや、いつも通り……じゃない。
まるでシンセのようなギターのサウンドになのか、今までと違いステージ上手にVo&Gt.篠塚さんがいるからなのか、はたまた相当な生々しさを感じたリズム隊の重低音になのか、ひょっとしたら篠さんが暴れるせいでBa.しょうごさんのマイクスタンドが傾いてほとんど後ろ向きでコーラスをやっているからなのかは分かりませんが、とにかく、バンドが一段違う次元に立ったと思わせるものを池下UPSETのステージ上から繰り出していました。
続く―――恐らく“少女と放火”ではないかと思われる―――徹底的に痛みのある描写を切り取った曲の直後に“水色の反撃”。この繋ぎの破壊力は相当なものでした。
コヤマさんが「こちらの気持ちとは関係なく泣かされる」というようなことをおっしゃっていた通り、少女が教科書を燃やした歌の後に、「復讐だ」といって自分の絵を大嫌いな水色で塗りつぶして笑う人の曲なんてやられてしまったので完全に持っていかれました。
続く“参加賞”のイントロで、歌ともMCともつかない、きっとその両方でありどちらでもない“想い”の塊を吐き出す作業なのであろう声の中にコヤマさんとのあるやり取りが語られました。
「何故ライブをやっているのか」
万人共通の、納得できる答えなど期待できない問いです。
一体どんな言葉が篠さんの耳と心に届いたのかは分かりませんが、俺は“参加賞”の『ここで今日僕が歌っていたということ証明してみせてよ』と二小節ちょっとの間に詰め込んできた即興詞に凝縮されているような気がしました。
“晴れた日の教室”、そして続く曲も、どれもとても苦しい。歌詞もそうだし、歌声もそうだし、先述したように、聴いているこちらは意図せずとももうすっかり心が開け放たれてしまっているので、その一悟一句メロディまで余すところなくダイレクトに衝撃を受けてしまいます。
しかし同時に、とても優しい。これは絶対的に伝えておきたいです。それでも世界が続くならのライブは、音楽は、楽曲は、ほとんどが痛みと同じ分量の優しさが練り込まれています。
誰もにしっくりくるポップミュージックではないかもしれませんが、誰もを受け入れる包容力は備えています。だから彼らの音楽を、一緒に聴こう。ライブに行こう。
さて、今日は朝八時から夕方の五時過ぎまでみっちりと予定をこなして二時間半以上のライブに臨みましたのでくたくたです。
今回のライブの最後を飾った“自殺志願者とプラットホーム”の歌詞に準じて席にガッツリ座って帰りました。
≪自分より疲れてる人のことは考えないで≫
痛いだけじゃ傷つけるだけ、優しいだけじゃ何も歌えない。ひとつの、ロックのあるべき姿を、いつまでも見せてくれるバンドが、今日も最高のライブをしました。
後半へ続く。
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