April 25, 2024より,全訳を記します.

 

Drug-Induced Oxidative HemolysisN Engl J Med 2024;390:1513

薬物誘発性酸化的溶血

 

症例はうつ病と不眠症の既往がある57歳の女性で,3日前からの息切れとめまいを主訴に救急外来を受診されました.身体所見では蒼白でした.血液検査でヘモグロビン値は4.4g/dL(基準値:11.6~15.5),網状赤血球数の上昇,乳酸脱水素酵素値の上昇,ハプトグロビン値の低下が明らかになりました.ヘモグロビンの電気泳動およびグルコール-6-リン酸デヒドロゲナーゼの検査結果は正常であり,メトヘモグロビンと直接高グロブリンの検査も陰性でした.末梢血塗抹標本で異型赤血球増加症や有核赤血球,多染性細胞が明らかになりました.それらの所見はまたバイト細胞やブリスター細胞[赤血球の断片化],赤血球封入体の存在などの酸化的溶血に一致しました.赤血球封入体はメチルバイオレットによる染色陽性に基づきハインツ小体として同定されました.輸血が行われました.その後7ヶ月にわたる複数回の再入院を含む長期毒物学的検査の結果,患者は最終的に初診の1ヶ月前から不眠症の治療のために毎晩1日推奨量の10倍のゾピクロン(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)を服用していたことを申告されました.尿中薬物検査でゾピクロンが陽性でした.薬物誘発性酸化的溶血の診断がなされました.患者はゾピクロンの使用を中止するよう助言され,治療のために精神科を紹介されました.

Small-Bowel BleedingN Engl J Med 2024;390:e40

小腸出血