令和6年6月11日の大阪府議会一般質問より、維新・大橋一功府議の、IRの今後の進め方、事業者の解除権と土地の引き渡し、万博開催中のサイバーセキュリティ対策、大阪ウィーク、ドローン飛行への対応に関する質疑を書き起こしました。

 

動画はこちら

http://www.gikai-chukei.jp/

 

◆IRは長期にわたる事業であり、区域整備計画に沿った取組みの着実な実施が重要になると思うが、今後の進め方について伺う。

 

大橋議員:次にIRについてお伺いいたします。

 

我が会派では、多くの集客や高い経済波及効果が期待できるIRの誘致が大阪の成長にとって必要不可欠であると一貫して主張してきたところであり、この間、国からの区域認定や事業者との実施協定等の締結など、着実に取り組みが進められてきたものと認識しています。

 

IRは非常に長期にわたる事業であるため、今後は区域整備計画に沿った取り組みが着実に実施されているかを確認することが重要になってくると思いますが、どのように取り組みを進めていくのでしょうか。お伺いいたします。

 

 

IR推進局長:IR事業は、35年間の長期間にわたる事業であり、安定的かつ継続的な実施を図るため、モニタリングスキームを構築をし、本事業が円滑かつ確実に遂行される体制を確保しているところです。具体的には府市においてモニタリング基本計画等を作成しており、事業者によるセルフモニタリング、府市によるモニタリング、外部有識者により構成するIR事業評価委員会への報告等を行うこととしております。また、毎年度、区域整備計画の実施状況等について国へ報告をして、国において評価を行うこととなっております。

 

今後、構築したスキームに基づき、適切にモニタリングを行い、IR事業が関係法令や区域整備計画に基づき、適切かつ確実に実施されているか確認することにより、事業の継続性・確実性を高め、長期にわたって安定的で継続的なIR事業の運営を確保してまいります。

 

◆IR実施協定で設定されている事業者の解除権について、設定した理由と、土地の引き渡しとの関係について伺う。

 

大橋議員:次に実施協定で設定されております事業者の解除権について、これまでも議会で議論もされてきたところでありますが、京阪電鉄中之島線の延伸に関し、撤回リスクに備えて延伸の判断を先送りしたという報道があるなど、ことさらにリスクばかりがクローズアップされているように感じております。

 

私は、夢洲では、昨年12月から液状化工事も始まっているし、計画通りにIR開業に向けた取り組みが進められているものと考えており、事業者の解除権が使われるようなことはないというふうに思っておりますが、IR推進局の認識についてお伺いをいたします。

 

また、事業者の解除権を設定した理由と土地の引き渡しとの関係についても、改めて確認をしておきたいと思います。

 

 

IR推進局長IRは日本にこれまで例のない初めての事業であり、また一兆円を超える本件の投資規模等を踏まえますと、その実現に向けては当然、都市環境が整っていることが必要であり、感染症、国の詳細制度設計、夢洲特有の課題等の課題解決が不可欠なため、実施協定において事業前提条件に基づく事業者の解除権を付すこととしたものであります。

 

また、土地の引き渡しについては、事業用定期借地権設定契約において、事業前提条件の充足すなわち解除権の執行以降、IR施設の建設工事着工までに引き渡しを行うこととしております。

 

実施協定において解除権を付しているものの、事業者はこれまでも継続的に相当な資金を投下し準備作業を進めてきたところであり、昨年9月の実施協定等の締結に続いて、12月からは現地において液状化対策工事を進めているところです。

 

また、IR事業者の体制についても、本年4月に区域整備計画を変更し、関西の地元企業2社が新たに少数株主に加わるなど、基本的にIR事業が進められていくものと認識をしており、事業前提条件に基づく実施協定の解除となる蓋然性は低いものと考えております。

 

大阪IRの実現に向けては、本年夏ごろからの準備工事着手、来年春ごろからの建設工事着手を予定をしており、引き続き2030年秋頃のIR開業に向けて、公民連携して着実に取り組みを進めてまいります。

 

 

大橋議員:ご答弁いただきました。解除権が行使される蓋然性は低いということでございます。

 

夢洲に世界最高水準の成長型IRが実現できるよう、引き続き着実に取り組みを進めていっていただきたいというふうに思います。

 

 

◆万博開催中のサイバーセキュリティ対策について、現在の取組状況を伺う。

 

大橋議員:次に万博の関係です。大阪・関西万博におきましては、未来社会の実験場というコンセプトのもと、空飛ぶクルマをはじめ、自動同時通訳、「EXPO 2025デジタルウォレット」や入場ゲートでの顔認証を行うなど、様々なデジタルシステムを駆使し、万博を運営することとされております。

 

しかし、世界全国ではサイバー攻撃によるシステム障害などが発生しており、万博におけるこうしたシステムなどがサイバー攻撃にさられた場合に、それに迅速に対処できなければ、万博の運営に大きな支障を来す可能性があります。そのため、大阪・関西万博におけるサイバーセキュリティ対策については、国の万博推進本部にサイバーセキュリティ分科会において検討がなされ、通信や金融、鉄道、バス、電力など万博に関連する重要サービス事業者等の取り組みなどについて、今年4月に、「2025年日本国際博覧会における セキュリティ・安全安心の確保に向けた取組要綱」が取りまとめられたと聞いております。

 

万博開幕に向け、この要項に基づき検討準備が進められているというふうに思いますが、現在の取り組み状況について万博推進局にお伺いをいたします。

 

 

万博推進局長お示しの本年4月の取組要項を踏まえまして、現在、国が主導する中におきまして、博覧会協会や地元自治体など、万博に関連する重要事業者等に対しまして、リスクアセスメントの実施が求められ、その結果の点検検証が進められているところでございます。

 

併せまして、こうしたリスクを含めたサイバーセキュリティ対策全般につきまして、その対処に向けまして、重要サービス事業者間で情報共有を図りますとともに、想定されるサイバー攻撃に対する演習訓練等が重ねられております。

 

大阪府市といたしましても、引き続き関係する部局や団体等におきまして、各所管のシステムなどのリスク対応に取り組みまして、今後とも国と連携しながらサイバーセキュリ対策に万全を期してまいります。

 

 

◆万博を契機に地域の魅力を広く発信するため、大阪ウィークにおける市町村との取組 状況について伺う。

 

大橋議員:次に、仮称ですが「大阪ウィーク」における市町村の取り組み状況について、お聞きさせいただきたいと思います。

 

大阪・関西万博では、半年間の会期中、会場内で様々なイベントが開催されます。本年4月には博覧会協会から万博イベント第一弾の発表があり、公式参加国が自国の歴史や文化を紹介するナショナルデーや、未来を担う子どもたちが主体となるイベント、科学技術や新たなデジタルテクノロジーの展示体験など、ワクワクするようなイベントが発表されたところであります。このような万博を盛り上げるイベントは、今後も決まり次第、続々と発表されると聞いておりますが、これから万博への期待感が一層高まっていくものと感じております。

 

開催地となる大阪府市においても、「大阪ウィーク」として大阪をPRするイベントの準備をしているというふうに聞いておりますが、万博を契機に地域の魅力を広く発信していくため、府内市町村とともに「大阪ウィーク」においてどのような取り組みを行うのか、万博推進局長のご所見をお伺いいたします

 

 

万博推進局長仮称「大阪ウィーク」につきましては、府内すべての市町村が参画し、国内外に向けて大阪の魅力を発信するため、会期中の春夏秋の三期にわたり、さまざまな催事を展開していくこととしております。具体的には、各地域の産業や観光、食文化などを来場者に体験いただく大阪43市町村の祭典や、だんじり、櫓、太鼓台等による演奏等の実演、さらには地域住民の皆様や来場者も参加する盆踊りで世界記録に挑戦など、大阪ならではのイベント等の準備を進めているところでございます。

 

これらの実施に向けまして、現在、市町村とともに出展内容や地域団体等への出演の調整等を順次行っておりまして、本年秋頃をめどに「大阪ウィーク」全体の中身を発信できるよう、引き続き、しっかりと取り組んでまいります。

 

 

◆万博におけるドローン飛行への対応につい て、現在の検討状況を伺う。

 

大橋議員:ありがとうございました。次に、ドローンについて。万博におけるドローン飛行についてお伺いをいたします。

 

先月5月14日、中之島で、「くるぞ、万博。1year to go. スペシャルドローンショー」と題した万博のPRイベントが行われたとの報道がありましたが、一部マスコミへの事前周知のみで関係者さえ知らなかったと聞いております。翌日の朝刊には観客不在のドローンショーと報じられました。積極的に周知すれば大いに盛り上がっていたことだと残念に思っております。

 

こうしたドローンを用いた撮影やPRは、すでに多くのイベント等でも使われており、万博においても各参加国のイベントや、様々な催事などでドローンが活用されると考えます。また、会議中、ドローンを用いて上空から撮影した映像が放映されることで、会場の様子を目の当たりにすることができ、来場意欲の向上や万博のさらなる盛り上げにつながるのではないかと考えております。

 

しかしながら、近年、世界各国ドローンを用いたテロ事件なども発生しており、こうしたことへの対応も必要であります。そもそもドローン飛行については航空法による規制に加え、いわゆるドローン法において国の貴重な施設等やその周囲の上空に対して飛行を原則禁止とする規制が行われています。その上で、これまで国際会議やイベント等においては、その都度個別の法令や条例で対応がなされたと聞いております。例えば、2019年のG20大阪サミットでは、会場となったインテックス大阪等において、府条例によってドローンの飛行を規制する対応が行われたそうであります。その後、ドローン法が制定され、大規模イベントでは飛行規制を行いつつ、メディア撮影用のドローン等は飛行が認められることになり、複数の都道府県を会場として開催された2019年のラグビーワールドカップや2020年東京オリンピック・パラリンピック等では、個別の法令で国により対応がなされたとのことで、今回の大阪・関西万博においては、どのようなドローン飛行の対応が検討されているのか、万博推進局長にお伺いいたします。

 

 

万博推進局長大阪・関西万博におけるドローン飛行につきましては、来場者等の安全安心を確保するための規制と、万博を盛り上げるイベント等での利活用、これら双方の観点からの対策が必要でございます。

 

この間、開催主体である国と協議を重ねてまいりましたが、今回の万博は会場が府域にとどまりますことから、G20大阪サミットと同様、府条例による対応で検討を進めているところでございます。

 

今後、本年9月定例会への条例案の提出に向けまして、国や博覧会協会、大阪府警察と連携いたしまして、ドローンの飛行規制や利活用ルール等につきまして、具体的な制度設計を行ってまいります。

 

 

大橋議員:ありがとうございました。ただいまお答えいただきました。この9月にも条例を制定していくということでございまして、混乱のない運営にお願いいたしたいと思います。

 

(※誤字脱字はご容赦を。正確な情報は公開動画をご覧ください。)