脂質異常症には、自覚症状がありませんが、動脈硬化を進行させ、心筋梗塞などのリスクを高めるので、きちんと治療を受けることが大切です。

 

今回は、脂質異常症の治療でどんなことを行っていき、どこに目標を定めるのかをご紹介しながら、生活習慣、特に食事にアプローチしていきたいと思います。

脂質異常症の治療とは?

脂質異常症は、血液中に脂質が多くなり過ぎている状態ですが、自覚症状が何もありません。

 

しかし、そのままにしておくと、動脈硬化が進み、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を起こすリスクが非常に高くなります。

 

このため脂質異常症の治療は、動脈硬化によって起こる病気を予防することを目標に行います。

 

治療の基本は、「食事療法」と「運動療法」で、生活習慣を改善していくことですが、どこまで脂質値を下げるかという目標値は、人によって違います。

 

目標値は、年齢やこれまでに狭心症、心筋梗塞にかかったことがないか、糖尿病や慢性腎炎、高血圧などがあるかどうか、喫煙の有無、家族の病歴などといった危険因子と、それによるリスクを考慮して判定されます。

 

 

具体的な食事療法とは?

食事療法の基本は、1日の摂取するエネルギー(カロリー)量を適正にすること。

 

そして、炭水化物、脂質、たんぱく質、コレステロール、食物繊維、アルコールなどの摂取量を適正にすることが大切です。

 

それでも改善がみられない場合は、必要に応じて禁酒、糖質の摂取量をさらに制限するなど努めましょう。

 

個人で食事療法を行うのは難しいので、可能な限り、医者と相談して食事療法を行うようにしてください。

食事をする際にコレステロールを多く含む食品をとらないようにするのはもちろんですが悪玉(LDL)コレステロールを下げる食事をすることもより効果的です。

またそれを持続していくことが重要になってきますが日々の生活の中で常にバランスの取れた食事をするのは難しいものですね。

どんな食材がコレステロールを下げるのかを知って、できる限り意識することから始めていきましょう。

 

★えごまに含まれるα-リノレン酸はコレステロール値を下げてくれる働きがあります

えごまはシソ科の植物で、シソの葉よりもやや大きめの葉をつけるのが特徴です。

 

そのえごまの種子から採れるえごま油は別名シソ油ともいわれ、必須脂肪酸であるα-リノレン酸を非常に多く含んでいます。

 

このα-リノレン酸はコレステロールを下げるのにとても効果があり、悪玉コレステロールを減らし善玉コレステロールを増やしてくれるのです。

 

コレステロール値を下げるためにえごま油を積極的に摂っていくことはコレステロール値軽減にとても効果的です。

 

えごま油は加熱により酸化しやすいという難点がありますので、なるべくそのまま摂取するのが望ましいでしょう。

 

 

 

カキは「海のミルク」とも呼ばれていることから、人が必要とする栄養素のほとんどを含むすぐれた食材です。

 

中でもカキに含まれるタウリンは血中のコレステロール値を下げる効果があります。

 

昔はカキにはコレステロールがたくさん含まれているからあまり食べない方がいいと言われていた時期もありましたが、これは全くの間違いでした。

 

タウリンはカキを含む魚介類に多く含まれていますが、中でもカキに含まれるタウリンはイカの2倍とも言われ、魚介類の中でもトップクラスです。

 

タウリンには、コレステロールから胆汁酸を合成し、排泄を促して血中コレステロールを減少させる働きがあります。


同時に中性脂肪も減らす働きがあるので、サラサラ血液になれるのです。

 

タウリンをなるべく残さず摂取するには生で食べる方法が一番ですが、加熱しても汁まで飲んでしまえば大量のタウリンを摂取することができます。

 

例えば、カキ鍋や、カキのチャウダー、カキ入り茶わん蒸し、カキの炊き込みご飯にしてもおいしいですね。


何にでも合わせやすい食材なので、カキをいっぱい美味しく食べましょう。

 

★イワシに含まれているドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸 はコレステロ-ルを溶かします

イワシに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、この二つの成分が血液の流れを良くし、血中のコレステロ-ルを溶かし、血中の悪玉(LDL)コレステロールを減らしながら、逆に善玉(HDL)コレステロールを増やす働きがあります。

 

 

 

このドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸が、多く含まれる食品として代表的なものにイワシが挙げられます。

 

イワシからこのコレステロールに効く成分を摂取するために簡単な調理方法があります。

 

本来ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸は、魚の脂に含まれているものです。新鮮なイワシが手に入るなら、刺身などで調理して食するのが理想的です。

 

簡単調理方法でイワシの酢漬けがあります。

 

ワインビネガーやオリ-ブオイル、ニンニクなどで一晩ほど漬け込むものです。他に塩コショウで味付けしたイワシに、パン粉をまぶしオーブントスターで焼くだけのイワシのパン粉焼きなどあります。

 

どれも手軽に簡単に作れます。

 

★しいたけに含まれるナイアシンはコレステロール値を下げるのに有効です。

きのこ類は低カロリーで様々な成分を含むので、中性脂肪やコレステロール値をコントロールするのに有効です。

 

特にしいたけは、豊富な繊維質やナイアシンを含むので、肝臓での中性脂肪を押さえ働きをよくします。肝臓で脂質とたんぱく質が結合する事によって合成されるVLDLも結果的に減らす事になり、コレステロール値を下げる事が可能になるのです。

 

更に、しいたけにはエリタデニンという成分も含まれており、この成分もコレステロール値を下げるのに一役買っているのです。コレステロール値が減ると血液がサラサラになり、高脂血症状や動脈硬化など生活習慣病などの防止にも役立ちます。

 

ナイアシンを多く含むしいたけを摂るコツとしては、干ししいたけの戻し汁なども有効に活用した煮物、緑黄色野菜などを炒める際に利用する、鶏むね肉のひき肉詰めなどが最適です。

 

しいたけ意外にもナイアシンを含む食材を用いて、上手にメニューに取り入れる事でコレステロール値を下げる事が出来ます。

 

★血栓予防の効果があるナットウキナーゼ

ナットウキナーゼは、血液をさらさらにする血栓予防の効果があり、脳卒中などの血栓系疾患に効果があると医学的に証明されています。

 

ナットウキナーゼを血栓治療薬の代わりに利用する代替療法としても用いられています。

 

そんな栄養素があるなら食べてみたいものですが、ナットウキナーゼが含まれている食品はひとつしかありません。

 

ずばり、納豆です。

毎日の食材の中にぜひ加えてほしいものです。

 

まとめ

脂質異常症など、所謂生活習慣病は、それまでの生活習慣に何か身体にとってふさわしくないものがあった結果の病気です。

 

投薬をしなければいけない場合もありますが、できればその前に食事や運動、休息を上手にとることで予防改善したいものです。

 

また残念なら、投薬をしなければいけなくなったとしても、食事運動など生活習慣を見直す必要はあります。

 

まずは脂質異常症にとって良い食品を知ってください。

<