子どものメインテーマ | 国分寺発達障害児学習指導教室smileのブログ

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国分寺市にて、発達に不安のあるお子さまを対象に、個別指導を行っております。
ABA(応用行動分析)を基盤に、一対一体制・60分のセラピーをやります。
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セラピーを行う時に、はじめに私が必ずやることは、その子の「メインテーマ」を、頭の中で明確にしておくことです。
メインテーマをクリアにしておくことで、セラピーの内容の優先順位がはっきりと見えてきます。

メインテーマは、「その子の生活を一番妨げている特性は何であるか」をみつけ、その特性に対して優先的にアプローチして変えていこうとする内容のものになります。

特性は個性とも言えますが、障害児にとって、本人の発達を妨げている大きな障壁になっていることがほとんどです。
特性をただ受け入れることは、子どもの可能性に対して諦めるときだと私は思います。もしくは、「自分でなんとかがんばれ!」と突き放していることと同じかもしれません。時に、自分でなんとかできる場合もあるかもしれませんが、そうならないことも多いのではないでしょうか。
有益な特性、害のない特性ならもちろん良いですが、本人を苦しめている特性に対しては、早く対処してあげることが、発達の向上を促すことに直接的に繋がると思っています。
それは本人の生きやすさや幸福に必ず結び付いていくと思います。


体験セラピーの受付の際に、私が一番最初に保護者の方に聞くのは、「一番困っていることは何ですか?」ということです。
それがズバリその子のメインテーマであるときもあるし、そうではないときもあります。

○「発語がないことに困っている」
という場合ですと、ほぼほぼ、それがメインテーマになります。
正確に言うと、「なぜ発語がないのか」の答えがメインテーマとなり、それに対してのアプローチを優先します。
やはり、何をおいても、発語を促すアプローチを優先するのが私のモットーです。可能性が見えている場合は、コンプライアンスさえ後回しにするときもあるほどです。言語の獲得には臨界期があるので、タイムリミットを意識しています。
ただ、自分から話し始めない子に声を出させようとすることは、目が見えない方に「見ろ」、耳が聞こえない方に「聞け」というのと同じくらい、大変なことをさせようとしていると考えています。きちんと動機付けをし、子どもの状態を注意深く見ながら、無理し過ぎないように進めています。

○「落ち着きがない」
という多動性、衝動性がその子の生活の全てを支配してしまっている場合は、「注意集中を持続させること」がメインテーマとなります。
そのため、課題内容はやさしめとしたり、コントロールに役立つ「文字の獲得」を先に目指したりします。どのような概念を獲得できたか、よりも、「50分間座り続けた」経験を積み重ねることが何よりも大事なことととして、進めていくことになります。

○「応じることが苦手」
であることが、日常のスムーズな営みを最も妨げているお子さんの場合は、ひとつひとつ応じ方を教えることが最重要課題です。
そのような子の中には、認知が高く、色々な概念を理解する力があるお子さんも多いですが、概念を理解出来ていても、「正しい答えを伝えられない」ことが多いので、ひとりで饒舌に喋っているお子さんであってもPECSを使います。

○「すぐにキレる、パニックになる」
ような、情緒が不安定なお子さんの場合は、感情の振幅が大きく怒りを抑えることが難しいことが、スムーズな暮らしの営みを妨げていることが多いです。
すぐに変化を促せる側面ではないですが、自分の気持ちを客観的に捉え、伝えられるようにすることで、感情の爆発にブレーキをかけられるように、色々な概念の理解を促し、伝えられるように準備をします。「癇癪→無視」だけでは、感情を力ずくで抑えるだけですので、必ず何かしらの歪みが生じてくるというのが私の考えです。(発語がなく、重い知的障害がある場合は無視が一番うまくいくこともあるかもしれませんが、、)感情の出し方をコントロール出来るようにするのが最終目標で、そのために、試行錯誤しなければなりません。

○「お絵描きをしない、何も書こうとしない」「読み書きが苦手」
というお子さんは、知覚機能が弱いことが多いです。手先が不器用なこともあります。
小学校に上がると、その困り感は切実なものとなるでしょうし、そのことで自信を失い自己肯定感を急速に下げることも考えられます。そうなると、その子の人生を左右する最重要課題となってしまうと考えます。
難易度を下げ、見ること、書くことに対して丁寧なトレーニングを行います。
苦手なことを取り組むのは、子どもにとっては大変なことです。やってみよう!やってみてもいいか!と思えるよう、注意深く動機付けをし、難易度を調整します。
苦手だからといって、やらないでいては、ずっと苦手なままです。逃げ続けても、問題が先送りになるばかりでなく、巨大な負のオマケ(二次障害)がついてきます。子どものうちは、苦手なことも、動機付けをして丁寧に教えるべきであり、そのためにABAは役立ちます。小学校に上がる前にきちんと教えて準備しておいてあげることは、後々その子の人生を左右するくらい大事なことになると思います。

○発語が難しそうな場合
は、声を出すためのアプローチを行わないときもあります。
その場合は、要求や拒否を伝える手段を獲得することをテーマとします。PECSやマカトンサインや、その子に合わせたサインを用いて、「ほしい」「嫌だ」という気持ちを伝えることを目標とします。時には筆談の練習もします。
そのために、様々なことを弁別する練習をします。また、そのようなお子さんの場合は、興味をもてることがとても少ないことがあるので、興味の幅をひろげることも大事なテーマとしています。出来るようになると好きになることって、多いです。楽しい、と思える瞬間を増やすために、興味の幅をひろげるため、動機付けをしていろいろなことをやらせてみます。


上記以外にも、細かくメインテーマは変わってきます。
同じ子どもでも、成長にともない、メインテーマが変わるときもあります。

日常の中で、「スムーズにいかないな」と感じることだけが、メインテーマになるわけではないですが、スムーズにいかない場合には、何かしらの子どもの苦手な部分が潜んでいるように感じます。

子どもの苦手なことは、その子が他にどんなに得意なことがあっても、得意なことでいくらかカバー出来ることがあったとしても、子どもの前に立ちはだかるのではないかと思います。
逃げても逃げても、追ってくるものです。
苦手に対してアプローチする意味があるのは、子どものうちだけかもしれません。


ごほうびを用意し、ごく易しいものから練習し、褒められながら、少しずつ獲得し、自信をつけていくのが一番良いと考えています。


人は嫌でも転ぶし、失敗もします。
転んだ後、リカバリーする力をつけることはとても大事ですが、転ぶ練習は、児童期からでよいのではと思います。

子どもの苦手なことは、時には苦手ではなくなることもあります。

苦手なことは、たいてい子どもはやりたくないものです。
幼児のうちは、動機づけをしてあげ、ゆっくり丁寧に、寄り添って、練習するのがよいと考えます。