事例⑥5ヶ月で急速に言語を獲得したGくんのセラピー過程 | 国分寺発達障害児学習指導教室smileのブログ

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国分寺市にて、発達に不安のあるお子さまを対象に、個別指導を行っております。
ABA(応用行動分析)を基盤に、一対一体制・60分のセラピーをやります。
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3歳8ヶ月で無発語の状態で当教室にきてから、4歳1ヶ月で発語が出てきたGくんについて、発語に至るまでの過程をまとめたいと思います。
(毎回五つの課題を組んで取り組んでいますが、ここでは、発語に直接関係する課題についてのみ、取り上げて記していきます。)


Gくん
初回体験セラピー時3歳8ヶ月、発語なし。
。多動傾向あり。 
2歳7ヶ月時に受けた新版K式発達検査では、姿勢・運動DQ90、認知・適応DQ61、言語・社会DQ42、全領域DQ61。
体験セラピー時は、動作模倣は良くできており、音声模倣では「あ」「い」「ま」「べ」は言える。「う」「お」は難しい。
名詞、動詞、文構成、大小、上下、色、形をよく理解している。文字も読めてきている。手先課題は苦手。
インプットは出来ているがアウトプットが追いついていない状態。
落ち着いて、50分間着席をして集中して取り組める。お母様の話だと、初めてとのこと(普段は離席することが多い)だったので、初回で緊張があり気持ちが引き締まっていたことに加え、プログラムをよく理解して見通しが立てられていたこと、強化子がよく機能したことが有効だったと思われます。

セラピストの予約が埋まっていたため、予約のキャンセルが出た時のみ、お声がけをしていらっしゃるという状態で来ていただくことになり、セラピーの回数が不定期で月に一回程度あるかないか、、という申し訳ないお約束で入会していただきました。


セラピー1回目(3歳9カ月)
動作模倣、音声模倣ともに、好きではなく、苦手意識あり。が、「あ、い、ま」の他に、「う」「め」など、新たに言えるようになった音もあった。
笛を吹けなかったが、笛を口の前に当て「うー」と言うように促すと音が出たことにより「息を吹く」感覚をつかみ始める。


セラピー2回目(3歳10カ月)
軽い息で吹ける笛を、吹けるようになる。
舌を出すことは出来るが、上下左右に動かすことは難しい。
音声模倣では、新たに「む」を言えるようになる。ま行を言う前に、セラピストが口を閉じて「ん」の状態にしていることを理解し、意識して模倣していた。 「ま」は「ままま」、「ば」は「ばばば」になる。
文字をマッチングしながら、文字と合わせての音声模倣にも取り組む。
音声模倣の際、お母様の顔をチラッと見ていたり、上手に言えない時に奇声を上げる場面があり、児のプライドを守りたい様子がみられたため、次回からはお母様と別れてセラピーを行うお約束をする。


セラピー3回目(3歳10カ月)
お母様は同室せず、わかれてセラピーを行う。
強く息を吹く必要のあるヘビ笛を吹けるようになる。ロウソクの火を吹き消すのは難しい。まだ舌は上下左右に動かせず。「お」「ま」「ば」を言えるようになる。文字を読めてきており、「あいうえお」を文字を見ながら自分で言えるようになってくる。(「お」は不安定で、言えるときと言えないときあり。)「うま」「あめ」等、言える音で構成された単語を絵カードを見ながら言う練習をする。
録画用のiPadと、強化子用のiPadが欲しすぎて、離席が多く、集中しきれなかったため、次回からはiPadを封印することにする。
お母様によると、自分で発声練習をしていることが増え、「パパ」「ママ」と言えるようになったとのこと。


セラピー5回目(4歳0カ月)(ここから、セラピーは週一日の頻度になりました。)
言える音「あいうえ」「まみむめ」「ば」。
音を伸ばす練習をする。最初は、伸ばす感覚が分からなかったが、ホワイトボードにペンで線を書き、線が消えるまで、音を伸ばすようにプロンプトをして練習していくと、徐々に出来るようになり、伸ばせるようになってくる。
「あう」「いえ」のように、2音を繋げて言う練習も平行して行う。
強化子をPECSで要求する際、「く、だ、さ、い」と、カードを見て、セラピストの模倣なしで言えるようになる。


セラピー6回目(4歳0カ月)
五種類の笛をしっかり吹けるようになり、色々な息の吹き方を覚えてくる。ロウソクの火はまだ吹き消せず。
舌を動かせるようになってくる。
言える子音が急激に増えた。
「あいうえ」「まみむめ」「らりるれ」「ばびぶべ」「ぱぴぷぺ」「たちつてと」を上手に言えるようになる。音を上手に伸ばせるようになる。PECSでの要求の際「ラムネ、ください」と、セラピストの口を見ないで自分で言えるようになる。 
お母様によると、自発語が増えてきて、伝えたい言葉の1音目を言うことがよくあるとのこと。


セラピー7回目(4歳0カ月)
舌を上下にしっかり動かせるようになる。左右は難しいが、少し動かせる時も出てくる。
絵カードを呈示しながら、単語を20語言う練習をする。大方は、1音ずつ区切りながらの模倣で単語を言ってもらう。命名が出来ているため、「うま」など、自分で言えるようになる単語も出てくる。


セラピー8回目(4歳1カ月)
舌を上下左右に動かせるようになる。
「あう」「いえ」等、2音を繋げて言う模倣が上手になる。
絵カードを見て、自分で単語を言えるようになる。30語の単語を言える。(絵カードを呈示し、「これなあに?」と聞くと自分で言えるようになる。)発声するときは、単語の文字を見たがっており、文字をシンボルとしながら発声している時が多い様子。動詞の表出も練習をする。


セラピー9回目(4歳1ヶ月)
急に舌を出せなくなる。
吹けていた笛を吹けなくなる。
2音をつなげられなくなり、1音ずつ切ってしまうようになる。
「え」「お」が再び言えなくなり、母音より子音のほうが言いやすい様子が見られる。全体的に、感覚の混乱が見られる。
絵カードの表出的命名は出来てきたが、1音ずつ区切って言っている。
内言語に音を自分でプログラミングして発声する感覚と、純粋に音声模倣をして発声する感覚とが入り交じる時期で、混乱し、感覚をつかみにくい状態が起こったのではと考える。


セラピー10回目(4歳1カ月)
ロウソクの火を吹き消すことが出来た。
一方で、舌を出す感覚を忘れ、どうしても出せない。
か行を発声する際、無声音になる。
2音をまた繋げて言えるようになる。音を伸ばすことも安定して出来ている。
名詞、動詞とも、上手に言えるようになってくる。4音、5音の長い単語も言えてくる。
単語を言う際は、音声模倣ではなく、内言語に自らが音をプログラミングしてのせられるようになってきている。


セラピー11回目(4歳2ヶ月)
「お」も安定して言えるようになり、おの段の子音も獲得。か行が無声音になり、さ行、は行(ひ、ふ、へ、ほ)が難しいが、他の音はほぼ全て言えるようになった。舌を出すのがまだ難しい。ロウソクの火は吹き消せる。
か行や言いにくい音にはこだわらず、単語を言う練習をする。言いにくい音が混じっていても、近い音で発声することが出来てきた。
名詞、動詞、形容詞、三語文を、絵カードを見て、たくさん言えるようになる。
自発語が劇的に増えている。


セラピー12回目(4歳2ヶ月)
舌をまだ出せないが、ほとんどの言葉を言えるようになる。つなげて単語を言えるようになり、名詞、動詞、形容詞の表出的命名が格段に増える。二語文、三語文を言うことができるようになる。物の用途についても、自分で答えられるようになる。1~30の数唱を言えるようになる。
か行はまだ難しいが、発声するときの緊張が弱まり、近い音が出せてきている。
名前と歳を答えられるようになる。
離席をする前に、「たっていい?」と聞けるようになる。


セラピー13回目(4歳3カ月)
表出的命名が安定して言えてきており、4語文や助詞も言えるようになる。
拗音(きゃ、しゅ、等)のみ言いにくそうだが、他は上手に言えている。
「たのしみ」「かっこいいね」等、気持ちを伝える自発語が増える。


生活年齢4歳4ヶ月時に、新版K式発達検査を受ける。
姿勢・運動DQ71
認知・適応DQ65
言語・社会DQ79
全領域DQ73

2歳7ヶ月時の新版K式発達検査では、言語・社会がDQ42であったため、言語面での成長が著しいという結果がみられた。
言葉を獲得したことにより、行動しなくても伝えられるようになったため、落ち着いて取り組めることも増えた。


Gくんは、ほんの5ヶ月ほどで、急速に言語を獲得しました。
認知発達が高く、概念を理解しており、物の命名がしっかり出来ていたため、内言語は準備できている状態でした。
著しくボディイメージがつきにくい様子だったため、口腔の感覚を獲得できず、音を出す際に必要なスキルを持てていないだけでした。

息の吹き方、
舌の動かし方、
口形の作り方、
声の出し方、
音の伸ばし方、
音のつなげ方、
を、全て別々に教えました。

平行して、PECSや文字を取り入れ、音をのせるシンボルを用意しました。口腔イメージがつかみにくい子には、シンボルとなるものを作るのは大変有効だと思います。

出せる音が20語以上になり、
音声模倣よりも、内言語に音をのせる方向にチェンジしていきました。
伝えたいことがたくさんあるお子さんなので、音ののせかたが分かると、どんどん自発的に発するようになりました。

お母様が共感性の高い関わりをされているので、音を出せるようになるとすぐに「○○だね」などの、共感を求めるコメントを言うことが多く見られました。
やり取りに繋がるまでの時間が、ものすごく短かったのは、Gくんの性格や、お母様のGくんに対する関わりも、多分に影響しているのだろうと感じました。



Gくんのようなタイプは、とても多いと感じています。

極端にボディイメージがつかみにくいお子さんは、発語も遅れてしまうことが多いです。
音の出し方を教える課題と内言語を高める課題を平行して取り組み、必要なスキルを、一つずつ分けて別々にアプローチするのが、近道ではないかと考えます。