就学前の算数学習①(さくらんぼ計算にむけて) | 国分寺発達障害児学習指導教室smileのブログ

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国分寺市にて、発達に不安のあるお子さまを対象に、個別指導を行っております。
ABA(応用行動分析)を基盤に、一対一体制・60分のセラピーをやります。
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当教室には、発達障害があると診断されているお子さんがいらしていますが、知的障害はなく、普通級に進学する生徒さんは、毎年何人かいます。

そのため、普通級進学に向けて、算数の学習はだいたい1年生の1学期くらいまでの内容を取り組んでおきます。

算数は、今の文部科学省が提唱している加減法は、さくらんぼ計算一辺倒です。

教科書も、テストも、さくらんぼ計算が分からないと話にならないように作られているので、
私は(仕方なく?)さくらんぼ計算を教えています。これが全く理解できないと、授業が辛いでしょうから…。
(私は文系脳なので、さくらんぼ計算は大嫌いです。私自身はさくらんぼ計算を使ったことはないですが、大学受験で問題なく?数学をつかいましたけど…)


①まず、ドットをみて、「パッとみていくつか」分かるようにする。
このドットカードを、数字と対応させながら、分けていきます。5枚ずつくらい、何度も弁別していきます。最初は形でマッチングし、見分けるのでいいです。
パッと分けられるようになったら、
「パッとみていくつ?」と聞いて、答えられるようにします。
このドットの形を覚えておくと、後々便利です。どの計算方法をするにも使えます。

②ブロックを使い、10のまとまりを視覚的に捉える。
10を一つずつ数えなくても、「10のまとまり」として考えられるようにします。「10」と2個で「12」。
パッとみて12と分かるようにします。
10が2本で「20」。パッとみて20。
10をまとまりとして捉えるという考え方が、さくらんぼ計算の基本です。
10の便利さに気づけ!というところです。


③分解
数の分解が山場です。
苦手なお子さんが多いです。
しかし、さくらんぼ計算は、分解ができないと話にならないのです。
パッと数の分解ができないと、さくらんぼ計算は大変辛い…拷問のような苦行となるでしょう。
コツコツ無理なく練習を積み重ねます。
<Ⅰ>
このように、チップや積木などの物を使い、操作しながら、分けるところから始めます。
モチベーションをあげるために、教材にお菓子を使うことも多いです。
<Ⅱ>
物がなくても、頭のなかで考えられるように、少しずつ練習していきます。ドットカードを見せ、分ける線をひいて考えます。
<Ⅲ>
教材もドットカードもなし、で、答えを出す練習をしていきます。
頭の中で答えを出すのが難しいようなら、○を書いて考えるようにします。
(指でもいいかもしれませんね。ただ、なるべく脳内でイメージできるように導きたいため、視覚的に記憶に残りやすいやり方を勧めています)
このとき、○を横にずらっと並べて書くのでは、数え間違いが多くなるのと、脳内で操作できるまでに時間がかかりすぎるので、必ず①で覚えたドットカードの並びで書いてもらうように声をかけています。

④10の補数を叩き込む
いくつといくつで10になるか
を理解することが、さくらんぼ計算のための最重要事項です。
当教室ではブロックを使ったり、ドットカードを使ったり、このような表を丸覚えしたり、
本人が分かりやすいやり方で、10の補数をパッと言えるようにしていきます。

⑤いよいよさくらんぼ計算(加算)
さくらんぼ計算とは、
片方を分けて、片方に合わせて10にして、残りと10をあわせる、
というやり方です。こんな説明では、訳がわからないですねあせる
⤴この方の記事が大変分かりやすかったので、貼らせていただきました。
これを読んでいただいてあせる

先へ進みたいと思います。

この、さくらんぼ計算を、
教材なしで、紙面の数字の操作だけで理解できるお子さんは、今のところ当教室にはいたことがありません。
私はいつも、ブロックを使いながら、取り組んでいます。
ブロック9個とブロック2個を、合わせていくつ?
式をみて、自分でブロックを用意してもらいます。
9個のほうを指差し、
「あといくつで10になる?」
「2から(10に)1個おひっこし
2から、1個を取り(分解)9個に「おひっこし」(合成)をして、10にします。
そうすると、10と1で11。
②で練習しているので、パッとみて「11」と分かります。

この流れを、繰り返し練習するわけです。
徐々に、ブロックを動かさずに頭の中で操作できるようにし、最終的にブロックなしで考えられるようにしていきます。


さくらんぼ計算は、手続きが多いですよね。
分解して、引いて、合わせて、また合わせる。
①10になるにはあといくつ必要か?
②片方を分解して、片方に合わせ10にする。
③分解して、残りがいくつか考える。
④10と残りを合わせる。
4つの手続きが必要になります。

数名の理系の友達に聞くと、誰に教えられたわけでもないけれどこのやり方で計算してきた、と言っていました。それは、一瞬で頭の中でこのように考えているだけで、一つずつ教えられたわけではないと。0.1秒くらいで脳内で処理している手続きなのだそうです笑


人の情報処理能力は、皆それぞれに、違います。
このさくらんぼ計算は、同時処理優位な人にとっては、とっても便利な考え方だと思いますが、継時処理優位な人にとっては、ひたすら難解にするだけのものだと、私は思います。
(同時処理、継時処理については詳しくはまたいつか)

さくらんぼ計算は、
数字に量のイメージをつけるため、
量的な数概念を身につけるため、
というねらいで推奨されているのだと思います。
これが分からないと、概数やわり算でつまづく、など言われていますが、
そんなことはない
と、私は断言します。 
私はそんなことはなかったです。
ちゃんと、量的数概念は、あとからついてきました。
(0.1秒でさくらんぼ計算をできるお偉いさん方が、親切心で「さくらんぼが便利だぞー」って推奨しているのでしょうか?そんな気がしてなりません。)

むしろ、継時処理優位な子どもが、さくらんぼ計算しか教えられないと、ただただ算数を苦手に感じ、自信を失うだけではないでしょうか。
それこそ、わり算まで到達できないのではないか?算数嫌いの子どもが、増えないだろうか?日本、大丈夫か?
なんて心配になってしまいます。

うちの長女が1年生のときも、
答えが合っていても、「さくらんぼ計算の過程」が書かれていないと×になっていました。
(仕方なく長女はいつも、先に答えを書いたあと、過程のさくらんぼ(分解)を書いていました。)

文部科学省は、いつまでこのやり方を続けるつもりなのか?

私は、数え計算も教えるべきだと思うし、それで答えを出せるならOKであるべきだと強く思います。
計算は、それ自体が目的ではなく、単なる手段なのだから。 
最初に無駄に転ばせないでほしい。

ちなみに当教室では、数え足しのやり方も、同時進行で教えています。
数え足しは、皆問題なく出来ます。
さくらんぼ計算を練習しつつ、計算スキルは数え計算で身につけていきます。自信を失わないように、です。
混乱しないか?
数え計算ができることで、さくらんぼ計算を邪魔することはありません。
それについても、また次回に。