日本が世界貢献と称して国際機関に資金を拠出する方法とは一線を画し、中国は単独でASEANを支援するという方法を打ち出した。
[日経]中国、ASEANに1兆5000億円融資 中国外務省は12日、中国の楊外相が北京で東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の大使らと会談し、今後3―5年で総額150億ドル(約1兆5000億円)を融資する方針を伝えたと発表した。インフラ整備やエネルギー開発を進めるため100億ドル規模の「中国―ASEAN投資協力基金」を設立することも決めた。
これらの方針は当初、タイのパタヤで予定していたASEANプラス3(日中韓)など一連の会議で、温家宝首相が表明するはずだった。しかし会議が中止となったため、楊外相が各国大使らを集めて説明した。
楊外相はASEANの中で特に発展が遅れているカンボジア、ラオス、ミャンマーに対して2億7000万元(約40億円)の特別援助を実施する方針も伝えた。
世界3位の経済大国である中国の狙いは、東南アジア経済の世界的な経済危機からの脱出と域内における中国の主導権を握ることである。
さらに最終的な形態として東南アジア地域における経済圏の統合をも視界に入れての準備と行動なのかもしれない。
●中国の東南アジア協力構想
・中国-ASEAN自由貿易区「投資協定」の調印
・中国-ASEAN投資協力基金で100億ドル規模設置
・中国-ASEAN加盟10カ国を結ぶインフラ施設の推進
・3-5年内のASEAN諸国への150億ドルの信用貸付提供
・カンボジア、ラオスとミャンマーへの2億7000万元の特別援助
・「東アジア米緊急備蓄プロジェクト」で30万トンの米を備蓄
さらに一歩踏み込んで以下の3点まで紹介している。
・「チェンマイ・イニシアティブ」の多角化
・アジア債券市場の創設
・通貨スワップ協定の域内での普及
現在でも中国は貿易促進のために隣接するミャンマー、ラオス、ベトナムとの間を結ぶ道路建設に積極的に取り組んんでいる。また中国-ASEAN自由貿易区においては2010年までに出来る予定となっている。
11日に予定されていたASEAN・東南アジア諸国連合と中日韓三国(10+3)の指導者会議であるがタイの国内情勢によって延期されることになった。
これに対しても温家宝首相は以下のように述べている。
「タイの友好的隣国、それに中日韓三国の指導者会義の議長国として中国は、タイ政府の決定に理解を示す。タイ政府が国内情勢の安定に努め、経済と社会の発展を保つよう希望する。中国はこれまでどおり、タイと関係諸国との友好協力関係を推進していく。また会議延期とはいえ、ASEANとの協力を推進するための中国の政策や措置は変わることはない」
各国個別のニーズに合わせて効果的な政策を打ち出し心を掴もうと取り組む中国に対し日本は旧来の方針を変えずに全方位的な出費に勤しんでいる。
中国の東南アジア協力構想でも明らかなようにもう少し日本を前面に押し出した外交政策が必要な局面に突入したのではなかろうか。
政府開発援助(ODA)
政府開発援助(ODA)国際貢献のために政府及び政府機関が開発途上国の経済開発や福祉の向上に寄与することを主たる目的として行う援助や出資のこと。資金協力については、その供与条件が重い負担にならないようグラント・エレメント(贈与要素)が25%以上と定められている。
日本におけるODA
日本が2国間援助の累積総額で一番援助している国は中国。その額は2007年度末までで円借款で約3兆2079億円。無償資金協力で約1472億円。技術協力で約1505億円。2007年度までに多国間援助も含めると約6兆円のODAを行っている。
これに対しての中国の要人発言は「感謝」でなく「評価」という言葉を用いている。そろそろ戦略の立て直す時期に差し掛かっていると考える。




