オツカレです。
現状把握すれば自国の企業による次世代型自動車開発の構想は止めたほうが賢明では。それほどGMのみならずビッグスリーの経営状況は深刻である。
7日発表したGMの2008年7~9月期決算は、最終損益が25億4200万ドル(約2500億円)の赤字となり5・四半期連続の赤字を計上。
やはりといって良いのだろうか。GMさらにフォードも7-9月期で市場予想を大きく超える一ヶ月20億ドル以上の資金流出があったのだ。
GMは普通に考えても債務返済等で最低必要な手元資金110億ドルが年内にも割り込む計算になるのだ。
万が一、政府支援がない場合は来年にほぼ間違いなく大幅な資金不足に陥る見通しなのだ。もはや公的支援なしには経営が成り立たないことを認めた。
これらの異例の表明を行うことで切実にオバマ次期米政権に早期救済を要請。また生き残りをかけたクライスラーとの合併交渉も中断となった。
オバマ次期大統領は「自動車産業は米国製造業の屋台骨」と演説で語ったが、本当にこの悲惨な状況を理解した上での発言なのか疑問である。
長期的に見てもビッグスリーが各国主要メーカーと渡り合うための経営体質改善にいくらかかるのか。少なくとも現在政府に支援要請している合計500億ドルの数倍は資金が必要となろう。
そんな支援を個別の自動車産業にだけ行うことは、リーマンショックからAIG救済支援となった場合に起こったモラルハザード以上のインパクトを今度は経済界全体に及ぼすことになるのではないか。
理由はこれまでの金融機関と違って世界的にも連鎖倒産の危険がない自動車会社を政府が救済することになるからだ。
現在の米経済において自動車産業の存在感であるが年々薄まりつつある。
労働人口だけは現役から退職者にまで医療費や年金を手厚く保証してきたこともあり全労働力人口の10%前後を誇るが、国内総生産(GDP)に占める割合はなんと3%に留まっているのだ。
さらにGM決算発表を受けて米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がGMの格付けを投機的等級内で「Bマイナス」から「CCCプラス」に引き下げた。さらに米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスもフォードの格付けを「B3」から「Caa1」に下げた。
もし政府支援となった場合は他の産業からも同様な声が出て収集がつかなくなる可能性も秘めている。日本の燃料高騰による特定の産業を支援したときの迷走より酷いことになるだろう。
この産業にアメリカの未来を賭けても良いのか。
こんな中、クライスラーの動きが早そうだ。カギを握っているのは筆頭株主の投資ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントである。
サーベラス首脳は昨夏の買収直後にはクライスラーの長期保有を約束していた。しかしサブプライムローンで環境が激変した。
結局投資回収を徹底追求するというハゲタカの如く「ファンドの論理」による戦略へと転じそうだ。サーベラスがGMを選んだのは部分的ではなく全て買収との案を提示したためといわれている。
GMが断念となった今、年内に政府支援が厳しい情勢であればクライスラーを部分的に解体し主要な自動車メーカーに切り売りしていくだろう。
結局はグループ化でビッグスリーすべてがどこかの軍門に下ったほうが合理的だろう。オバマ次期大統領の自動車産業への執着心はどの程度なのか。
GMショックが起こるまで残された時間も1ヶ月程度と少ない。
オツカレでした。