新制度英語入試についての懸念 | こくばん塾 生田英数会 塾長のブログ

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 新制度英語入試についての懸念

 

 2020年度から予定されている英語入試改革について、具体的な要項がまだまとまっていないことに懸念が広がっている。全国校長協会が「不安の解消」をもとめて異例の申し入れをおこなったことも報じられた。しかしここで気になるのは、議論がもっぱら実施の場所や時期、公平性などのいわば「事務面」に集中していることだ。本当の問題点は、はたしてそこにあるのだろうか。

 「グローバル化する世界への対応」といえば、「やはり語学力でしょう。表現力でしょう。スピーキング力でしょう。」と、世間は「なんとなく」納得しているのが現実である。上から降ってきたこの大改革に当事者たる受験生や保護者が異を唱えている余裕はない。そこで現高2生達は新制度入試の練習として盛んに英検を受け始めている。もちろん他の業者テストも学校などで受験する機会は増えているようだが、英検はその認知度と利便性においていまのところ群を抜いている。早期から試験内容を新制度対応に変えて、いわば「やる気満々」の姿勢を見せている。

 ところでその英検について、このところ気になる事実が個人塾の講師であるわたしの経験するところとなっている。以前であったら決して合格とはならなかったであろう低い学力の生徒が、二級に合格し始めたのである。その理由は以下のように考えられる。英検の一次試験の全配点84点のうち、リーディング部分は38点、つまり45%である一方、ライティングとリスニングの合計は46点つまり55%と半分を超えている。受験生が不安に感じることが多いライティング、リスニングではあるが、配点が高い割に存外易しく、点が取りやすいのである。したがって「文法や読み」が従来よりも出来が悪くても合格できるのだろう。もちろん2020年度からの新制度入試は、現在高校生が受けている英検そのままではない。しかし相当な程度新制度入試を占うものではあるだろう。この「易化傾向」が反転して「難化」に向かうとは考えにくい。このような「易化テスト」ではたして学生の英語力は保証されるのだろうか。文科省があくまでこだわる「4技能」ではあるが、形の上だけの「やってます」であって、さらなる低学力化を促進させるかもしれないのだ。

 さらに新たな心配も想像される。民間テストは複数実施されるにせよ、つまるところ「易しく、点が取りやすい」方が受験生を多く集めるのは当然のことである。「このテストが易しい」という情報はネット社会にあって瞬く間に拡散するにちがいない。仮に良心ある業者が「これだけは高校卒業レベルとして確保したい」という水準内容のテストを実施し続けたとしても、それでは「商売にならない」事態がきっと生ずる。各テストの「公平性」など、もともと担保できないが、そもそも「公平性」に受験生の誰が関心があるだろうか。誰だって少しでも「易しく、点数が出やすい」テストを受けたいだろう。あってはならない事ながら、「市場原理」によって、民間テストは「一番易しいテスト」に向かって、淘汰されていくのではないか。これがせっかく安定した実績をもつ「センター試験」を廃止してまで断行しようとしている「4技能試験」の未来である。子どもたちを向上させるどころか、さらなる低学力を生み出す。これが悪夢でないことを祈るほかない。