新学期にあたってまず「電子辞書は禁止しています」 | こくばん塾 生田英数会 塾長のブログ

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  新学期にあたってまず「電子辞書は禁止しています」

 

 単語力にはふたつの側面があります。

 ひとつはたくさんの単語を知っている、という量的な面。

 もうひとつは、ひとつの単語の使い方をよく知っていて、適切に使いこなすという質的な面。

 

 当然このふたつの面があるのですが、どういうわけかみなさん、量、つまり「いくつの単語を知っているか」「いかにして単語数を増やすか」「医学部だったら何千語が必要か」というようなことばかりに関心が向くのです。

 

 「単語はたくさん知っている方がいいに決まってますよね。だって単語の意味がわからなかったらそもそも手も足も出ないじゃないですか、先生。だから何十回でも書いて覚えろ、っていうんですけど。でもわたしのいうことはいっこうに聞かないので、塾で単語テストやってくださいませんか。」

 こんなお母様からの要望を長い間耳にしてきました。

 

 また、生徒本人も高三の新学期になるときまってこう言います。

 

 「先生、オレ単語やばいっす。やっぱ、ターゲットやらなくっちゃ駄目ですよね。」

 「電車の中で、そろそろ速単はじめるつもりです。」

 

 ところで、最近その「単語」について実に感銘深い文章を読みました。

 国語教育で独自の「単元学習」を実行し「普通の子供たち」にすばらしい指導を行った大村はまの授業のひとつについてです。( ちくま新書「教えることの復権」大村はま/刈谷剛彦・夏子 )

 大村はまはある時、生徒たちに手元の教科書からすべての「ことば」という単語の用例をカードに書き抜くように指示します。自分のカードの束が出来上がると、今度はそれを二枚づつ比較し、「使われ方」によって分類していくのです。

 あらかじめ「ことば」といっても、「言語」のこともあれば、「日常のものの言いよう」のこともある、などと教えることはしません。また、ここが素晴らしいところですが、はじめから予想を立てて例えば5種類とか8種類とかに分類させるのでもない。(そのようなことは実は誰だって出来ないから)ともかく目の前にあるのは「二枚のカード」。他のことは考えず、「二枚だけ」を比べていくのです。

 このことによって、どんな子供でも「立ち止まってふたつのものの異同」を考え始めます。他のことはいいからともかく「ふたつのものの異同」のみに集中すること。この瞬間、知識はいらないし、役に立たない。ただ確実に「考える」という作業がそこに始まっている。能力のあるなしにかかわらず、子供たちは確実に「考え」始める。 そうした作業のあとに生徒たちは「ことば」ということばの多様な「使われ方」を自分で手に入れます。

 

 現在2020年教育改革という旗印で「暗記ではない思考力」が叫ばれていますが、「そのために大学入試から変えよう」(そのことの引き起こしつつある混乱はすでに報道されているところです)などという壮大なかつ迂遠なことではなく、たったこれだけのことの中にも「考えさせる」ことの本質がみごとに展開されているではありませんか。

 

 ともかく、ひとつの「ことば」という単語にも、これだけの「使いよう」があります。ひるがえって、英単語ですが、教室でいつも起こる「こまったこと」は生徒たちが、一つの単語にひとつの意味しか充てようとしないことなのです。英語は外国語です。だから一つの単語のまずひとつの意味だけでも頭に入れるのはたいへん。ましてこれもあれもなんて無理、ということもあるでしょう。

 

 でも「ことば」と言う単語にあれだけの使いようがあったように、単語とは本来そういうもの、つまり多様な使われ方をするものなのです。基本的な単語、易しいとおもう単語ほどそう。逆に使用頻度の少ない、「難単語」になればなるほど意味の多様性は減る。

 

 易しい単語は「むずかしい」

 難しい単語は「易しい」

 

 易しい単語について深く知っていくには「辞書を読む」必要がある。その意味で電子辞書ではだめです。電子辞書を延々と「読む」ことはできないから。

 

 易しい単語の難しさが充分わかる頃になったら、電子辞書をどうぞ。難しい単語は「易しい」ので電子辞書が一番。なにしろ速く引けますものね。

 

 ぜひ紙の辞書を用意して下さい。その際、お父様やお母様が学生時代に使った『古い辞書』はどんなに立派なものでもだめです。新しい単語が載っていないからではなく、「説明」が少ないのです。我が国の英語の辞書は、近年とても進歩し「学習辞典」化しました。辞書ひとつで文法書はいらないくらい、よく説明してくれています。辞書によってその「説明」に個性がありますので、是非書店で手にとって見て、比べて「ピンと来る」新しいものをお選び下さい。 

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