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(21:00)
相変わらずモニターにはワゴン車の姿だけが映し出されている・・・。
Y君は・・・白のガウンにビニールの帽子(これ何ですっけ?)という信じられない井出達でモニターを見張っている・・・。
もう入室して2時間以上経過していた・・・。まだ出ないのだろうか・・・
あくまで憶測であるが・・・この調子でいけば対象者の「相手」は止め処なく増え続けるだろう・・・・。
最初から不特定多数の相手が存在する訳では無く、時間の経過が相手の数を増やしているダケなのだ。
もうこれ以上・・・対象者に「罪」を重ねて欲しくないという気持ちもある・・・。
(21:30)
対象者とヤニ下がった表情(に見える)男性の退出する姿をモニターで確認する・・・。
相手の会社も・・・・ワゴン車のNoも全て分かっている・・・今夜は何だかがっついて追いかける気持ちにはならなかった・・・。
「もういいすか?」
「ああ・・・もう今日は充分だろう・・・」
「じゃあ片付けますね。」
「うん・・・頼むよ・・・」
何だか空しさだけが残った・・・。
【翌々日】
私は調査期間を残しT氏と会う約束をしていた・・・。T氏は粗いつもの時間に事務所に訪れた。
「まだ・・・調査期間は残っていると思いますが・・・全て結果が出たんでしょうか・・・」
T氏の表情に困惑の色が広がる。
「これが全てかどうかは分かりません・・・しかし1日も早く今後を考えたくて・・・勿論、残された日数分については御請求致しませんから・・・とりあえず報告書の経過を・・・」
私は私物のノートパソコンに現在判明しているだけの報告書を作成し、T氏に見せた・・・。
今日は・・・・Y君だけでは無く、他のスタッフも全て事務所内に居る。T氏の予想を超えた行動を抑止する為である・・・。
マウスを操作しながら・・・T氏の表情が青ざめていく・・・いや、赤くなっていく・・・。
見たくないモノを見せられる辛さ・・・それは想像を絶するに余りあるものであろう・・・。
T氏が呟いた・・・・
「梅木さん・・・」
「はい?」
「この状況で・・・・・やり直す事なんて・・・・・出来るんでしょうか・・・」
「・・・・・・・・」
私も言葉を失った・・・。
沈黙の時間は・・・ほんの数分でさえ数時間の長さに感じられる・・・。
PCを見つめるT氏の目は空ろで焦点も定まらぬ程・・・一瞬で疲れきった表情に変わった・・・。
「Tさん」
「・・・・・・・・」
「今、この現実を目の当たりにして・・・・非常に聞きにくい事なのですが・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・ここまで奥様が堕ちてしまった原因が未だ良く分からないのです・・・」
私は何を訪ねているのか・・・・何のフォローにもなってはいない・・・。
しかしこの現実に・・・今の段階でフォローする術は無いだろう。
私は・・・・一か八かの賭けに出る・・・。というよりは・・・爆弾で爆風を消し去る方法に出る・・。
「Tさん・・・兎に角、今の段階で結論を出す事は非常に難しいと思います。それよりも・・・」
「・・・・・・・」
「常習的に逢瀬を重ねている男性も何人かいます・・・兎に角・・・まずは戦ってみましょう。」
「・・・・・・・具体的にどうやって・・・?」
「それを今から打ち合わせするのです・・・」
「・・・・・・・・・・・」
私は・・・・これからが本番であると・・・気持ちを切り替えた。
(続く)