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「双極性障害(躁うつ病)」って何? 専門医が治療法や鬱との違いを解説【医師監修】

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双極性障害(躁うつ病)って何? 専門医が治療法や鬱との違いを解説【医師監修】

 

躁状態とうつ状態を繰り返す双極性障害。

 

治療をせずにいると家族内でトラブルが生じたり、人間関係がうまくいかなくなったりして、生活の基盤が失われることも。

 

 双極性障害の基本的な症状や発症の原因、治療法などについてよりどころメンタルクリニック桜木町の斎藤先生に聞きました。

 

 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

双極性障害(躁うつ病)とは? 躁状態とうつ状態を繰り返す心の病気ってどういうこと? 通常の気分の波・浮き沈みとは異なる?

編集部: 双極性障害とはどのような病気ですか?

 

 斎藤先生: 双極性障害は躁うつ病とも呼ばれる精神疾患です。

 

人によって症状はさまざまありますが、一般的には躁状態とうつ状態を繰り返すことを双極性障害といいます。

 

 編集部: もう少し詳しく教えてください。

 

 斎藤先生: 双極性障害にはいくつかのタイプがあります。

 

よく知られているものは、うつ状態と躁状態が起こるもの。

 

これを双極I型障害といいます。

 

一方、軽い躁の状態とうつ状態が起こるものを双極II型障害といいます。

 

 編集部: 躁状態の程度によって、タイプが異なるのですね。

 

 斎藤先生: はい。そのほか躁うつ混合状態といって、躁状態とうつ状態の両方が一度に出てくることもあります。

 

 編集部: 健康な人でも気分の波や浮き沈みはありますが、それとは異なるのですか?

 

 斎藤先生: 確かに誰でも日常的に気分の浮き沈みはありますが、双極性障害の患者さんはそれよりもっと浮き沈みの程度が激しかったり、持続時間が長かったりします。

 

また、それによって出社ができないなど、日常生活に支障が生じることもあります。

 

 編集部: 大体どれくらいの周期で躁状態とうつ状態が入れ替わるのですか?

 

 斎藤先生: 躁状態とうつ状態が入れ替わる周期に規則性はありません。

 

個人差がとても大きく、場合によってはうつ状態が続くこともありますし、ランダムにうつ状態と躁状態が入れ替わることもあります。

専門医が双極性障害の具体的な症状を解説 発症前の行動にサイン・特徴はある?

編集部: 具体的に、どのような症状が見られるのですか?

 

 斎藤先生: まず躁状態のときには、「たくさん動き回る」「休みなく話し続ける」と活動的になるほか、「高額な買い物をする」「ギャンブルに手を出す」「上司と大喧嘩する」などのトラブルを起こし、社会的な信用を一気に失ってしまう場合もあります。 

 

編集部: 一方、うつ状態のときにはどのような症状が見られるのですか? 

 

斎藤先生: 「何をしても楽しいと思えない」「興味を持てない」ということのほか、「まったく眠れない、あるいは眠ってばかりで起きられない」「食欲が極端に激減する、あるいは亢進する」「疲れやすい」「自責の念が強い」「集中できない」「自殺願望が湧く」といったことが見られます。

 

 編集部: そのような症状が起きる前に、前兆はあるのですか?

 

 斎藤先生: いいえ、基本的に前兆はないとされています。

 

症状の始まり方も人それぞれで、突然、躁状態やうつ状態が始まる人もいれば、じわじわと症状が始まる人もいます。

 

 編集部: 双極性障害の原因はなんですか?

 

 斎藤先生: まだ解明されていませんが、家族内で遺伝的な傾向がみられる場合はあります。

 

また、脳内の神経の異常やストレス、心理的要因などの環境要因も関係していると考えられています。

 

双極性障害の治療も教えて 薬物治療や心理社会的療法は何をするの? 双極性障害の治療後に再発して繰り返すこともある?

編集部: 双極性障害はどのようにして治療するのですか?

 

 斎藤先生: 医療機関では基本的に薬物治療と心理社会的療法を併用して治療します。

 

しかし、治療にあたって大切なのは、本当に双極性障害か見極めることです。

 

 編集部: それはどういうことですか?

 

 斎藤先生: ほとんどの患者さんはうつ状態の時に受診するので、双極性障害ではなくうつ病と診断されることが多いのです。

 

 そのほか統合失調症にも似ていますし、さまざまなホルモンの病気(甲状腺疾患など)も双極性障害と似た症状が表れることが知られています。

 

そのため問診やテストなどで、それらの疾患ときちんと鑑別することが必要です。

 

 編集部: 双極性障害と診断された場合、薬物治療ではどのようなことを行うのですか?

 

 斎藤先生: 双極性障害に有効な薬は炭酸リチウムや非定型抗精神病薬(ルラシドン、アリピプラゾール、オランザピン、クエチアピンなど)、抗てんかん薬(ラモトリギン、バルプロ酸、カルバマゼピンなど)があります。

 

その時の状態により、使用する薬を選択します。

 

 編集部: 一方、心理社会的療法とはどのようなことを行うのですか?

 

 斎藤先生: 病気に対する理解を深めて対処法を学ぶ治療法で、心理教育や認知行動療法などがあります。

 

ただし、心理社会的療法を行う際にも必ず薬物治療を併用します。

 

 編集部: 治療はどれくらいの期間継続するのですか?

 

 斎藤先生: 双極性障害は非常に再発率の高い疾患です。

 

そのため治療は長く続くことが多く、症状が安定してからも薬物治療を継続し、気分が安定している状態を維持することが必要です。

 

 編集部: 最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。 

 

斎藤先生: 双極性障害は一般的にうつ病と間違われやすい病気です。

 

人によって躁状態がわかりにくいこともあるので、もし、うつ病を繰り返す場合は双極性障害を疑ってみても良いのではと思います。

 

 気分の落ち込みや意欲の低下など、うつっぽい状態が続く場合には早めに医療機関を受診することをお勧めします。

編集部まとめ

遺伝的要因や環境要因など、さまざまなことが原因となって発症する双極性障害。

 

誰もが発症リスクを抱えており、治療には早期発見が重要になります。

 

 基本的には長く付き合っていくことが必要とされる疾患ですが、早めに発見して適切に対処すれば、治療が軽度で済むことも。

 

おかしいなと思うことがあれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

 

【この記事の監修医師】

 

 斎藤知之 先生(よりどころメンタルクリニック桜木町) 横浜市立大学医学部医学科卒業、医学博士(横浜市立大学)。横浜市立大学附属病院精神科(助教)、横浜舞岡病院(認知症治療病棟)などを経てよりどころメンタルクリニック横浜駅西口院長などを経て現職。日本精神神経学会専門医、精神保健指定医、コンサータ錠登録医師(ADHD適正流通管理システム)。

 

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