4ヶ月ぶりの更新、相変わらずトロいペースですみません。
久しぶりにワインの話です。先日あるワインの試飲に行って来ました。
ひとつのワイナリーのみをじっくり味わう機会ってそう多くはないし、以前一度オンリストしたワインだったので、再確認とも思って行くことにしました。少人数限定、着席でのテイスティング。
軽い緊張感が心地いい。
今回のワインは一般的にほとんど注目されることのない国、セルビア産ワイン。
そこにはちょっとしたドラマがあるので、覚えてる範囲で書きますね。
フランス人の夫婦、夫シリルはアルザス、ブルゴーニュなどで優良生産者が集まり機材の共有などで仕事の向上をはかり畑の土を蘇らせることを目的とした有機農法の普及に人生を費やしてきた人物。パートナー、エステルはブルゴーニュ、ボーヌのワイナリーの三女。二人がバカンスで訪れたセルビアの村で車が故障してしまう。田舎なので修理にはパーツの調達などで二日かかるという、ならばこの土地を楽しもう、と周囲を散策、森の奥までずんずん進んでゆくと、そこにあったのはなんと永いあいだ放置されていた葡萄畑だった!
その地の在来品種のほかにシャルドネ、リースリング、ピノ・ノワール、ガメイ、カベルネソーヴィニヨンカベルネ・フランなどが野生化して残っていたのだった。
運命を感じた二人は土壌、気候などを調査してここでワインを造ることを決意、歴史をさかのぼるとこの地のワイン作りは1700年代からはじまり、1882年のボルドー国際見本市や1890年のボルドーの格付けの起源となったパリ万博への出展などの史実もあり、優良な葡萄、ワインが生産されていた時期もあった。そしてヨーロッパの葡萄を壊滅状態にしたフィロキセラの猛威からもこの地は逃れていた!しかもフィロキセラでやられたフランス政府の水面下の政策で秘密裏にこの地の葡萄が夜中に貨物列車でフランスに運ばれ名だたるワイナリーに送られワインをリリースされていた、という驚くべき事実もあったのだ!
現在シリルとエステルは醸造機材をフランスから運び込み完全指導有機農法の下、栽培収穫した葡萄を現地の農民から買い取りワインを生産しており、昼夜の寒暖の差が大きい為、見事に完熟した葡萄ができる。樹齢はどれも150年を超える超古木、ゆえに生産量は少ない。しかし現代のフランスの葡萄がほとんどクローンであることに比べ、歴史の必然としてそこに広がる葡萄は限りなく原種に近いものばかり。ティスティングすると、なるほど一般に認識されているそれぞれの葡萄品種の特徴を良い意味であっさり裏切られる印象、そして共通して思うことはどれも本当にみずみずしくて、クリアな味わい。現代の高級ワインにありがちな樽の作用や人工的な施しによる強引な旨みの露出などまったく見られない。繊細なその味わいはゆっくり、しみじみ楽しむべき、ある意味大人数で味わうのには向かないと思います。僕の店でも置いてますけどメニューには載せてません。殆どフランスワインで占めている中、たとえこれを載せても普通はオーダーはまぁ来ないと思いますしね(笑)、売るのはちょっと難しいワインです。
でも僕はこのワイン、好きです。
僕がよくこれからワインを勉強しよう、覚えよう、という人に僭越ながら伝えてることなんですけど、ラベルでワイン飲むのはつまらないよ、という事。高級なワインになればなるほどこの傾向は高い気がします。そういう飲み方してると、見慣れないワイン、聞きなれない国、地方のワインに手を出さなくなりがちです。同じ値段のボルドーの有名シャトーの2nd,3ndのワインはラベルで信用してしまって無名の作り手のワインはそれが例え素晴らしいワインであってもスルーしてしまうのはもったいないと思うなぁ。まぁ、そういうことがワインに限らずの世に言う「ブランド」もしくは「ブランド志向」なのかもしれませんね。ブランドが確立することはすごいことだしそれ自体を否定するものではないけど、それだけがすべてでは決してないしそういう捉え方してるときっといつか飽きちゃうと思うなぁ。
あとはワインや日本酒、つまり醸造酒は食べてなんぼ、の酒。一部の古酒を除けば、00を食べるから何を飲もう、またはその逆とか、料理と共に楽しむべき、と思います。酒だけ評論するよりそのほうが絶対楽しいです。
話がちょっと脱線しちゃったけど、今回のようなワインを経験するとあらためてそういう感が強くなります。まだまだ世の中には知らないワインいっぱいです。これからもどんな出会いがあるか、楽しみです。
久しぶりにワインの話です。先日あるワインの試飲に行って来ました。
ひとつのワイナリーのみをじっくり味わう機会ってそう多くはないし、以前一度オンリストしたワインだったので、再確認とも思って行くことにしました。少人数限定、着席でのテイスティング。
軽い緊張感が心地いい。
今回のワインは一般的にほとんど注目されることのない国、セルビア産ワイン。
そこにはちょっとしたドラマがあるので、覚えてる範囲で書きますね。
フランス人の夫婦、夫シリルはアルザス、ブルゴーニュなどで優良生産者が集まり機材の共有などで仕事の向上をはかり畑の土を蘇らせることを目的とした有機農法の普及に人生を費やしてきた人物。パートナー、エステルはブルゴーニュ、ボーヌのワイナリーの三女。二人がバカンスで訪れたセルビアの村で車が故障してしまう。田舎なので修理にはパーツの調達などで二日かかるという、ならばこの土地を楽しもう、と周囲を散策、森の奥までずんずん進んでゆくと、そこにあったのはなんと永いあいだ放置されていた葡萄畑だった!
その地の在来品種のほかにシャルドネ、リースリング、ピノ・ノワール、ガメイ、カベルネソーヴィニヨンカベルネ・フランなどが野生化して残っていたのだった。
運命を感じた二人は土壌、気候などを調査してここでワインを造ることを決意、歴史をさかのぼるとこの地のワイン作りは1700年代からはじまり、1882年のボルドー国際見本市や1890年のボルドーの格付けの起源となったパリ万博への出展などの史実もあり、優良な葡萄、ワインが生産されていた時期もあった。そしてヨーロッパの葡萄を壊滅状態にしたフィロキセラの猛威からもこの地は逃れていた!しかもフィロキセラでやられたフランス政府の水面下の政策で秘密裏にこの地の葡萄が夜中に貨物列車でフランスに運ばれ名だたるワイナリーに送られワインをリリースされていた、という驚くべき事実もあったのだ!
現在シリルとエステルは醸造機材をフランスから運び込み完全指導有機農法の下、栽培収穫した葡萄を現地の農民から買い取りワインを生産しており、昼夜の寒暖の差が大きい為、見事に完熟した葡萄ができる。樹齢はどれも150年を超える超古木、ゆえに生産量は少ない。しかし現代のフランスの葡萄がほとんどクローンであることに比べ、歴史の必然としてそこに広がる葡萄は限りなく原種に近いものばかり。ティスティングすると、なるほど一般に認識されているそれぞれの葡萄品種の特徴を良い意味であっさり裏切られる印象、そして共通して思うことはどれも本当にみずみずしくて、クリアな味わい。現代の高級ワインにありがちな樽の作用や人工的な施しによる強引な旨みの露出などまったく見られない。繊細なその味わいはゆっくり、しみじみ楽しむべき、ある意味大人数で味わうのには向かないと思います。僕の店でも置いてますけどメニューには載せてません。殆どフランスワインで占めている中、たとえこれを載せても普通はオーダーはまぁ来ないと思いますしね(笑)、売るのはちょっと難しいワインです。
でも僕はこのワイン、好きです。
僕がよくこれからワインを勉強しよう、覚えよう、という人に僭越ながら伝えてることなんですけど、ラベルでワイン飲むのはつまらないよ、という事。高級なワインになればなるほどこの傾向は高い気がします。そういう飲み方してると、見慣れないワイン、聞きなれない国、地方のワインに手を出さなくなりがちです。同じ値段のボルドーの有名シャトーの2nd,3ndのワインはラベルで信用してしまって無名の作り手のワインはそれが例え素晴らしいワインであってもスルーしてしまうのはもったいないと思うなぁ。まぁ、そういうことがワインに限らずの世に言う「ブランド」もしくは「ブランド志向」なのかもしれませんね。ブランドが確立することはすごいことだしそれ自体を否定するものではないけど、それだけがすべてでは決してないしそういう捉え方してるときっといつか飽きちゃうと思うなぁ。
あとはワインや日本酒、つまり醸造酒は食べてなんぼ、の酒。一部の古酒を除けば、00を食べるから何を飲もう、またはその逆とか、料理と共に楽しむべき、と思います。酒だけ評論するよりそのほうが絶対楽しいです。
話がちょっと脱線しちゃったけど、今回のようなワインを経験するとあらためてそういう感が強くなります。まだまだ世の中には知らないワインいっぱいです。これからもどんな出会いがあるか、楽しみです。