少子化は本当に問題? | 人は石垣、人は城

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税理士事務所で働きながら、記帳代行サービスを経営しています。
日常のことや、会社経営について感じることなどをつづっていきます。

昨今、少子化問題が多く取り上げられています。
少子化対策といえば、出生率の向上、育児環境の整備といった、いかに子供を増やすかという点しか注目されていませんが、ここでは少し違った見方をしたいと思います。

そもそも、少子化は本当に問題なのでしょうか。
一般的には高齢化による年金問題、労働力減少による経済力の衰退などが問題点として挙げれらています。

年金問題に関しては、現役世代が補う賦課方式から、自分の年金は自分で払う積立方式に変更すれば解決します。
インフレ対策など色々ありますが、論点がずれるので割愛させて頂きます。

ここではもっとも大きな問題とされる労働力減少による経済力の衰退について考えたいと思います。
一般的に言われているスパイラルはこうです。
①人口が減少 →②企業の売上が減少 →③給料が減少 →④経済の衰退
一見その通りに思えますが、はたして本当にそうなのでしょうか。

②企業の売上が減少」に着目してください。
人口が減少すれば企業の売上が減少するという図式は、あくまで国内に限った話です。
事実、今まで日本の企業は国内市場を中心に展開していました。
典型的なのは携帯電話です。
日本の各メーカーは売上先を日本人に絞り携帯電話を開発してきました。
製造は日本、利用しているのも日本人です。
これが日本の携帯電話がガラケーと言われる所以です。
(ガラケーとはガラパゴス携帯の略で、ガラパゴス島の動物のように、その島にしかいない世界標準から外れているという意味です。)
その頃、世界ではスマートフォンが世界標準でした。
ソフトバンクがiphoneを日本に持ち込んだことにより、日本の各メーカーは突然危機にさらされました。

お隣の韓国を見てみましょう。
韓国は人口5,000万人、日本の人口の半分にも及びません。
韓国市場も日本の半分ということになります。
韓国のメーカーは韓国人にだけ商品を売っていても会社が大きくならない事に気づき、いち早く世界に目を向けた商品作りをしてきました。
その代表がサムスン電子という会社です。
iphoneが日本に持ち込まれた当初、日本のメーカーは慌ててスマートフォンを開発しました。
しかしノウハウがないのでお世辞にも使い勝手の良いものではありませんでしたが、サムスン製はiphoneに匹敵するほどの高性能を誇りました。
これはサムスンが日本のメーカーよりもっと前からスマートフォンを世界に向けて作っていたからです。
つまり、日本は完全に出遅れた訳です。
1990年代は日本の家電メーカーは世界のトップにいました。
いま家電メーカーの世界一を争っているのはサムスンやLG電子といった韓国メーカー、アメリカ、ドイツの企業で日本の企業は置いてきぼりです。
ちなみに2015年家電売上世界5位はスウェーデンのエレクトロラックス社ですが、スウェーデンは人口1,000万人弱の小国です。

日本企業の衰退は家電業界だけにとどまりません。
日本の危機といっていいでしょう。

もう一度本題を確認します。
経済が衰退するのは本当に少子化のせいでしょうか。
私は違うと思います。
経済が衰退するのは日本の企業が世界に目を向けず日本市場に甘え続けていたからです。
そもそも日本のような小さい国土に1億人は多すぎる気がします。
5,000万円も払って小さい家を買うのは日本人ぐらいのものでしょう。
日本より人口が少なくても頑張っている国はたくさんあります。
大事なのは日本全体のGDPではなく、国民一人あたりのGDPです。
2014年のデータですが、日本の国民一人あたりのGDPは世界27位、スウェーデンは7位でした。
つまり日本の1/10にも満たない人口のスウェーデンは日本より豊かな暮らしをしているということになります。
問題は少子化ではありません。
むしろ少子化を機にもっと世界に目を向けるべきたと思います。
日本人は徳川幕府の鎖国体質のせいか保守的な方が多いですが、今後はそうは言っていられません。

これからTPPもはじまり、益々国際競争力が激化していくと思います。
TPPは大きなビジネスチャンスでもあります。
もう一度アジアの№1に返り咲き、世界に誇る日本を取り戻すために、微力ながら貢献をしていきたい所存です。
まずは世界ワーストの英語力をなんとかしなければなりませんが・・・。