はやいもので今年も年末調整の季節がやってきました。
年末調整をしていて、いつも疑問に思うことがあります。
それは寡婦控除と寡夫控除の違いです。
寡婦控除(控除額27万円)の要件は
①夫と離婚または死別した女性で、年所得が500万以下
②夫と離婚または死別した女性で、扶養親族がいる人、または生計を一にする子がいる
ちなみに①、②の両方を満たすと「特別寡婦控除」として35万円の控除が受けられます。
一方で寡夫控除(控除額27万円)の要件は
妻と離婚または死別した男性で、年所得が500万以下かつ扶養親族がいる人、または生計を一にする子がいる
つまり、女性でいう「特別寡婦控除」と同条件が必要な訳です。
これって完全に男女差別ではないでしょうか。
収入も要件に入っている訳ですから、男女の収入の違いなども言い訳になりません。
国が男女差別を容認しているという、非常に残念な法律です。
さらに、勘のいい人はお気づきかもしれませんが、寡婦控除の要件である「夫と離婚または死別した女性」という部分にも疑問が残ります。
仮に、年所得が300万の離婚した女性と未婚の女性がいたとして、前者は寡婦控除を受けられるのに、後者は寡婦控除を受けられません。
この二人はなにが違うのでしょうか?
まったく意味がわかりません。
離婚した女性の方が後々大変ということなのでしょうか?
そうであればそれで差別な気もします。
法律に携わる者として、このようなおかしな法律は早急に改正して頂きたいものです。
------追記(令和2年3月31日)------
上記は2013年12月に記載した記事ですが、令和2年(2020年)の税制改正で、ついに寡婦(寡夫)控除にメスが入りました。
改正内容をおおまかに説明すると
①未婚であっても要件を満たせば寡婦控除が受けられる。
⇒最近は未婚のまま子供を産む方も増えているので、良い改正だと思います。
②寡婦控除にも寡夫控除と同様に「年所得が500万以下」の要件が追加されました。
⇒かなり時間がかかりましたが、ようやく寡婦控除と寡夫控除の男女差別が少し解消されました。
しかしながらまだ同じ条件には至らずです。
日本では男女の賃金格差が大きいので、まったく同じ控除にはできないとの噂ですが、所得は結局のところ個人差がありますし、そもそも寡婦(寡夫)控除の要件に「年所得が500万以下」と所得条件を明記しておきながら賃金格差が理由とは支離滅裂です。
少しでも早く更なる改正がされることを祈るばかりです。