第三回 オリジナル絵本プロジェクト(前編)
企画書の作成
お寺の物語を、たくさんの人たちが親しめる絵本で伝えたい。
まず、僕は資料を徹底的に洗い直すことから始めた。
調べを進め、歴史や建物、美術品、庭園、開基さま…など、
物語の候補をピックアップしていった。
さらに、完成後の絵本活用プランなども考慮しながら、ひとつずつ精査した。
しかし、やはり開基さまの物語を絵本にしたいという当初の想いは変わらなかった。
むしろ、調べを進めれば進めるほど、僕の想いは確信に変わった。
開基さまのことは、歴史研究の場であまり語られていない。
だが、その生涯はとてもドラマチックだった。
彼女は戦国武将の娘、つまり“お姫さま”として生まれた。
しかし、戦国時代の末期、彼女の周辺でも時代は大きく揺れ動いた。
その激流の中でも、決して流されることなく強い心を持ち続けた聡明な女性。
そして、禅との出逢い。やがては、大奥を執り仕切り、尼僧となった晩年は
将軍家光公からも絶大な信頼を寄せられる女性となった。
彼女の生涯は、現代を生きる女性たちへのメッセージに溢れている。
それをゆかりのお寺自身が発信源となって伝える。
これは単なるお寺の情報発信にとどまらず、
社会的にとても意義のある文化活動となるのではないだろうか。
これこそ、僕たちがご提案すべき“ お寺の広報活動 ”だと思った。
僕は、興奮を覚えた。
提案すべきプロジェクトの全容が固まった。
絵本という親しみやすいメディアを通して「開基さまの生涯」
つまり「強く生きた女性の物語」を紹介する。
このプロジェクトの生命線は、
人々の心に響く作品を完成させられるかである。
そのため、僕は物語と絵の執筆は活躍中の
著名な作家さんに依頼しようと考えた。
完成した作品が人々の心深くに届けば届くほど、
郷土史研究の場で開基さまの生涯がもっと取り上げられるはずだ。
地域での関心が高まれば、歴史研究の場でも
彼女が取り上げられることになるだろう。
さらに、認知度が高まれば歴史小説などの様々なメディアにも
開基さまが登場することになるはず…
このプロジェクトの究極のゴールが心に浮かんだ。
“ 開基さまをNHK 大河ドラマの主役に ”
その“はじめの第一歩”がこの絵本である。
この想いをS寺の住職さまへ伝えたい。
僕は20頁に及ぶ企画書を一気に完成させた。
さらに、僕はこの本をより多くの人に見てもらうために
絵本完成後の“ 活用プラン ”をまとめた。

