私の男【映画レビュー】~赤で紡がれる2人の関係の変化に注目してみた。 | おたるつ

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モノホンのおたくにジャンルは関係ねえはずだ!
ってわけで、おたくのるつぼ。略しておたるつ

やっと見れた。上映館が限られてて田舎者は諦めかけていましたが
さすが俺たちの刈谷日劇!
この記事がアップされるころにはもう上映は終わっていますが、
今後のラインナップもかなり良いので、近隣住民はもっと通うべき!

【私の男】


監督:熊切和嘉 原作:桜庭一樹 脚本:宇治田隆史
音楽:ジム・オルーク
出演:浅野忠信(腐野淳吾)、
二階堂ふみ(腐野花)、高良健吾(尾崎美郎)
藤竜也(大塩)、モロ師岡(田岡)
129分 2013年 日本

◆ストーリー◆
震災孤児となった10歳の花は、遠縁の淳吾(27歳)に引き取られる。
やがて成長した花は淳吾と肉体関係を持つようになり、それを知って
2人を引き離そうとした大塩を殺してしまう。
また、その殺人に気づいた田岡を淳吾が殺め、2人は街を去る。
少しずつかたちを変える禁断の関係がもたらす結末はー……。
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2008年に直木賞を受賞した桜庭一樹原作の小説を映画化した作品。
主演の浅野忠信と二階堂ふみの熱演で注目を集めている。

原作は未読ですが、桜庭一樹さんの小説は何作か読んでます。

二階堂ふみちゃん……
入江悠監督の「ロックンロールは鳴り止まないっ」で健気に将棋を指していたキミは
一体どこに行ってしまったんだ……

「ヒミズ」「悪の教典」「脳男」「地獄でなぜ悪い」「渇き」……
映画だけでもこれだけの衝撃作に相次いで出演し、その度に怪物めいてゆく。
ふみちゃんが黙っていてもドキドキする。
何か言ってもドキドキする。
怒鳴られると、うわあああああってなる。
おっぱいも順調に成長している。

今作では中学生から大人になるまで、それぞれの年代の美しさを演じきっている。
北海道を舞台にしたシーンは16ミリで撮影されているというが、
寒風吹きすさぶ真っ白な大地や海に、化粧っけのない顔があどけない。

淳吾と関係を持つようになってからは、ダサいのに女を感じさせて
妖しさに磨きがかかっている。
ラストシーンのMAXメイクのお顔は美しいとしか言い様がない。

ここであえて、淳吾が「きれいになったね」ではなく、「かわいくなったね」と言うのが
未練タラタラで、必死にマウントポジションを取ろうとしていていい。

他にも、花が「目、取って」というシーンにはドキリとさせられる。
私はハードコンタクトレンズなので、ちょっと想像できないんだけど、それでも
コンタクトレンズを人に取らせるっていう距離感がスゴイ。できない。
2人の異常な関係が一瞬で伝わる演出だった。

演出といえば、赤の使い方がおもしろいなと感じました。
セックスシーンで血の雨が降るのが印象的だったかと思うんだけど、
赤い色の使われ方で2人の関係の変化が表現されているんじゃないかな。

体を重ねる2人が同じように赤に染まっていく。

北海道のシーンで赤いものを身につけているのは花。
最初は制服の下のジャージが赤い。
高校生の時は赤いマフラーを巻いている。


けれど上京し、淳吾が自堕落な生活を送るようになってからのシーン。
淳吾は花が高校生のころに身につけていた赤いマフラーを巻いている。
一方、花は赤いものを身につけない。
もう関係が終わってしまっているのが、伝わってくる。
それに対して、淳吾がどうしようもなくて、ただ時を止めているということも。

結局、花は出て行ってしまったことがラストシーンで分かる。
レストランのシーンだ。
そのレストランへ向かう淳吾は、赤い傘をさしている。
離れ離れになり、時が経ってしまっても、まだ淳吾は花への思いを抱えている。

花は他の男性との結婚を告げるが、テーブルの下では淳吾を誘惑するように
ヒールを脱いだ足を伸ばし、擦る。
このレストランがもう、全体的に赤いのだ。

淳吾は差してきた赤い傘を入り口でやや乱暴に捨てている。
やっと、幻影でない花に会える。
「結婚する」のにテーブルの下で伸びる足。
周りに散りばめられた赤。
どうしようもなく、絶望的に花の呪縛から逃れられない。
花の赤に飲み込まれてしまったような気がしてゾクリとしました。

そこで、最初に花が赤を身につけていたのはいつだっけかな? と思い出す。
ジャージだ。
あどけない顔で、ピアスを舌の上で転がしながら、
淳吾の恋人に「家族じゃないとダメなんだよ」と言ったあの時。

花は制服のスカートの下に赤いジャージを履いていた。

ゾッとした。赤はやっぱり、花の下半身、女性そのものだったのか……と。

2人の禁断の愛の関係、というより花という魔性の女に魅入られてしまった
淳吾が囚われて堕ちていく話だなあと思いました。
そうなると、あの血の雨のシーンも2人が愛し合ってるシーンじゃなくて
花が淳吾を支配していく描写に思えてくる。
全然”同じように染まっていく”んじゃなかった。

そう気づいて、さらに反芻する。
淳吾は16歳の時、自分の母親の首を締めたことが原因で遠縁の花の両親の元で過ごす。
実はこの時に花の母親と淳吾の間にできたのが花だった。

親子である淳吾と花がお互いを求め合う衝動は、同じ血が流れているから。
その象徴としても赤が使われたのかもな。

それにしても、母親の首を締め、人妻と関係を持ち、その女と面影の似た少女を育てる。
自分のものにしたと思ったのに、自分が囚われ、人を殺し真っ当な人生を歩めない。
淳吾の飢えと渇きを思うと、悲しくてたまらない。

きっと、2人ともただ愛し愛される存在が確かにここにいると
実感したかっただけなんだろうな。

正直、二階堂ふみ力以外は見どころのない映画だなあと思って見ていました。
途中から赤いアイテムの使い方に気づいて、後からいろいろ考えているうちに
映画としての良し悪しよりも、悲しい話だったなあというところに思いが至り、
こうして反芻しております。

音楽を担当したジム・オルークが素晴らしかったのでYouTubeで漁って聴いてます。
サントラ買おうかな。

■2014 RECORD■ 
ライブ……28  舞台……13  映画……30 LV……3

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