11月25日(日)に名古屋で行われた「彩ふ読書会」に参加しました。

  (彩ふ読書会については以前にもレポートを書きました。→極私的「彩ふ読書会」レポート)

 場所は名古屋駅から歩いて10分程の所にある「桜garden」という場所でした。
 

 

 ここは、一見何のお店?入ってもいいの? と思ってしまうような外観ですが、写真にもあるように「コワーキングスペース」等もあって、ゆったりくつろいで話ができるところでした。

 そこの奥のスペースに入って行くと、主催者であるのーさんが待ってみえました。まだこの日の参加者は私だけだったので、のーさんと大阪で行われた彩ふ読書会の1周年イベントについてお話をすることができました。

 大阪の会の方たちが作られた、額に入れられた手作りののーさんへの言葉、彩ふ読書会Tシャツ、そして皆さんのメッセージ!これまで彩ふ読書会に参加された方たちの思いが詰まっています。

 のーさんの発想力の新鮮さ、行動力が新しい人々の繋がりを生み出して、さらにさらにその渦は広がり続けているなあと思いました。この1年で彩ふ読書会に参加された方は200人以上にのぼるということです。素晴らしい💛

 さらに新しい試みも考えてみえるということ。これからの展開がまた楽しみになりました。

 


 さて、名古屋の会の方ですが、今回は午前の「推し本披露会」に参加させていただきました。先回(9月23日)も同じく「推し本披露会」の方に参加させていただき、これが2回目になります。先回ご一緒した方もみえましたが、初参加という方も多かったです。主催者ののーさんも含めて7名の参加者でした。

 紹介された本は下の12冊でした。

 

 

 皆さん、たぶん20代か30代位の若い方たちばかり。私だけがダントツで「高齢者」です。

 皆さんの紹介される本がどのようなものか興味が湧きましたが、その本の紹介に付いていけるのか、私の紹介する本が分かっていただけるか、ちょっと不安もありました。(ジェネレーション・ギャップっていうやつです)

 最初に簡単な自己紹介をして、いよいよそれぞれの推し本の紹介です。

 

●まずは主催者ののーさんから紹介された本がこちらです。

  コンビニ人間 / 村田沙耶香 著

 「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢の中でもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて…。現代の実存を軽やかに問う第155回芥川賞受賞作。

<「BOOK」データベースより>

 この本は以前東京の読書会のときに他の方が取り上げられ、のーさんはそれが心に残っていて、読みたかった本だということでした。内容を読んでいって、いったい「普通」って何だろうと考えさせられたそうです。

 何だか奥深そうな本ですが、文庫本で読みやすそうでもあり、一度手に取ってみたくなりました。

 

●彩ふ読書会への参加は3回目の女性、I さんから紹介していただいた本です。

  DINER(ダイナー)/ 平山夢明 著

 ほんの出来心から携帯闇サイトのバイトに手を出したオオバカナコは、凄惨な拷問に遭遇したあげく、会員制のダイナーに使い捨てのウェイトレスとして売られてしまう。そこは、プロの殺し屋たちが束の間の憩いを求めて集う食堂だった―ある日突然落ちた、奈落でのお話。<「BOOK」データベースより>

 I さんによると、平山夢明さん自体がダークな作品を多く書く作家だということ。この小説もノワール小説ですが、かたやハンバーガーを作る描写などが緻密に描かれていて、緊張しつつもどこかホッとするところもあるそうです。マンガ化もされているそうですので、そちらも面白そうですね

 

●私、おたまの紹介させていただいた本はこちら。 

  吉野 弘 詩集

 

 吉野弘さんは、私が大学の頃から親しんできた詩人です。日常で使う言葉で、人が生きていく上で出会う様々なことを鮮やかに切り取っていて、とても好きな詩人です。

 詩をブログ等で紹介するのはなかなか難しいのです(著作権のことや抜粋して引用すること等)。また、いろいろなブログを読んでいても、なかなか詩集を紹介されている方はいないように思いました。そこで今回はいい機会ですので、紹介させていただきました。

 この詩集の中から『祝婚歌』を読ませていただきました。

 若い方にも現代詩に興味をもっていただければ嬉しいです。

 

●やはり3回目の参加になる男性Tさん。大阪の1周年記念イベントにも参加されたそうです。

   ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち / 久美沙織 著

(画像は単行本のものです。紹介されたのは以前出版されていた文庫版でした。)

 バトランドの王宮戦士であるライアンは無益な殺生は好まず、変わり者扱いされる孤独の身の上だった。そのころ魔界ではピサロが権力を握り、世界を闇に包みこもうとしていた。ピサロは成長しつつある「勇者」を恐れ、力で押さえつけようとしていた。ライアンは今はまだ幼い勇者たちを探し出し、補佐する運命を感じ、たったひとりで旅に立つ。サントハイムの王女アリーナはまだそのさだめを知り得なかった…。<「BOOK」データベースより>

 『ドラゴンクエスト』は言わずと知れたゲームの傑作。そのゲームをノヴェライズしたのがこの作品。やはりゲームを楽しんだ方にはより楽しんでもらえる小説だそうです。私はゲームをしたことがないので、その辺りがよく分かりませんが、内容は『指輪物語』や『ハリー・ポッター』を読んだ人なら十分楽しめるということでした。それなら大丈夫かな。

 

●名古屋で朗読の会にも参加してみえる女性Mgさんの紹介された作品。

  アルケミスト 夢を旅した少年 / パウロ・コエーリョ 著 

 羊飼いの少年サンチャゴは、アンダルシアの平原からエジプトのピラミッドに向けて旅に出た。そこに、彼を待つ宝物が隠されているという夢を信じて―。「何かを強く望めば宇宙のすべてが協力して実現するように助けてくれる」少年は錬金術師の導きと、さまざまな出会いと別れのなかで、人生の知恵を学んでいく。世界中の人々の人生に大きな影響を与えてきた夢と勇気の物語。<「BOOK」データベースより>

 この本は、スピリチュアルな部分ももった大人のためのファンタジーだそうです。

 Mgさんはこの本をいつも持ち歩いていて、生きていく中で迷うことのあった時などに繰り返し読まれているということ。確かに擦り切れるほど読み込まれていました。前回彩ふ読書会に参加したとき『智恵子抄』を紹介された女性の方のことを思い出しました。そんな風に、自分の人生の中で大切な本と出合えることは、その書物にとっても、Mgさんにとっても幸福であると思いました。

 劇団によって舞台化もされているそうです。

 

●辻村深月さんのサイン会にも参加したという男性のKさんの推し本はもちろん・・・

  名前探しの放課後 / 辻村深月 著

 依田いつかが最初に感じた違和感は撤去されたはずの看板だった。「俺、もしかして過去に戻された?」動揺する中で浮かぶ一つの記憶。いつかは高校のクラスメートの坂崎あすなに相談を持ちかける。「今から俺たちの同級生が自殺する。でもそれが誰なのか思い出せないんだ」二人はその「誰か」を探し始める。

<「BOOK」データベースより>

 辻村深月さんの名前は最近よく聞くのですが、私はまだ読んだことがありません。この作品はSF(タイム・スリップ)であり、青春物でもあるという小説だそうです。

 辻村さんの作品はこの順番で読むといい、ということが帯に書かれていることも紹介していただきました。かつてのSF少年(私)の心を引く一作ですね。

 

●ミステリーや時代小説を愛読されているという男性Mzさんの推し本はこちら。

  マイナス・ゼロ / 広瀬 正 著

 1945年の東京。空襲のさなか、浜田少年は息絶えようとする隣人の「先生」から奇妙な頼まれごとをする。18年後の今日、ここに来てほしい、というのだ。そして約束の日、約束の場所で彼が目にした不思議な機械―それは「先生」が密かに開発したタイムマシンだった。時を超え「昭和」の東京を旅する浜田が見たものは?失われた風景が鮮やかに甦る、早世の天才が遺したタイムトラベル小説の金字塔。<「BOOK」データベースより>

 『マイナス・ゼロ』は私も読んだことがあります。広瀬正さんは、SFの第一世代である星新一や小松左京と同時期に登場した作家ですが、若くして亡くなっており、作品は多くないのですが、マニアにとって今でも支持され続けています。

 Mzさんは、「SFはタイム・トラヴェル物しか読まない」と言われていましたが、この『マイナス・ゼロ』もその代表的な作品で、今でも伝説的な名作です。もう一冊『タイムマシンのつくり方』という短編集も出されていますが、こちらはタイム・パラドクスをとことん突き詰めた作品集です。そんな話もしていただいて、またかつてのSF少年(私)は深くうなずくのでした。

 

 まだ時間があったのでここから二巡目に入ります。

 他に紹介したい本がある方は紹介するということで、二巡目の開始!

<二巡目>

 

● I さん

   半神 / 萩尾望都 著

(画像は単行本のものです。紹介されたのは以前出版されていた文庫版でした。) 

  双子の姉妹ユージーとユーシー。神のいたずらで結びついた2人の身体。知性は姉のユージーに、美貌は妹のユーシーに。13歳のある日、ユージーは生きるためにユーシーを切り離す手術を決意した……。異色短編「半神」、コンピューターが紡ぎだす恋の歌と夢「ラーギニー」、植物惑星オーベロンでも男女4人の一幕劇「真夏の夜の惑星」など香気あふれる傑作ストーリー全10編。<小学館文庫版の出版社からのコメント>

 萩尾望都さんは70年代に『ポーの一族』『トーマの心臓』『百億の昼と千億の夜』等で大活躍された漫画家。「女性手塚治虫」とも呼ばれていたということ。またまた、手塚治虫さん、萩尾望都さんと懐かしい名前が出て、なんだかすごく共感してしまいました。

 この『半神』は短編集です。その中の表題作『半神』は、16ページの本当に短い物語。 

 「読むのはちょっとつらいけれど、いろいろ考えさせられた」と I さん。奥の深い作品のようです。(読書会終了後、のーさんはその場で読んでみえましたが、私も読めばよかったと悔やまれます。)

 野田秀樹さんによる戯曲も書かれていて、舞台化もされているということでした。

 

●おたま

  倚りかからず / 茨木のり子 著

(画像は文庫版ですが、紹介したものは単行本で出版されたものです。)

 今回私はとことん詩集にこだわりました。二巡目も詩集で茨木のり子さんの『倚りかからず』でした。茨木さんも先の吉野弘さんと同じように、日常で使う平明な言葉で、時に優しく、時に鮮烈に、その中にも凛としたものを秘めて書かれています。

 この本の中からは表題作『倚りかからず』を読ませていただきました。他にも『鶴』や『マザー・テレサの瞳』という作品も好きなのですが。吉野弘さんの詩集とともに、若い方が詩に興味をもっていただけたらと思います。

 

●Tさん

  ロックマンメガミックス 史上最強の敵 / 有賀ヒトシ 著

 「ロックマンメガミックス」の第3巻。ロックマンの生誕15周年を記念して講談社より、1997年に発行されたコミックス「ロックマンメガミックス」の復刻版。単行本未収緑、未発表作品及び大幅な描き下ろしなどを満載した一冊。

<Amazon内容紹介より>

 こちらも元々は「ロックマン」というゲームをコミックにしたものだそうです。内容は映画『アイアンマン』に似ているということでした。

 内容の話と題名から、なんとなく鉄腕アトムの『史上最大のロボット』に似ているような気がしたので、そのことをTさんに話してみると、なんと「もともとロックマンはアトムでやるつもりだったそうです」ということでした。アトムのゲームになっていたかもしれないと。

 そこから話は、浦沢直樹さんの『PLUTO』のことや、現在の漫画家で手塚治虫の影響を受けていない人はいないということに入っていきました。『史上最大のロボット』は私が小学生の頃の忘れられないマンガです。その話を若い方と共有できるというのは大変嬉しいことです。

 

●Mgさん

  花の鎖 / 湊かなえ 著

 両親を亡くし仕事も失った矢先に祖母がガンで入院した梨花。職場結婚したが子供ができず悩む美雪。水彩画の講師をしつつ和菓子屋でバイトする紗月。花の記憶が3人の女性を繋いだ時、見えてくる衝撃の事実。そして彼女たちの人生に影を落とす謎の男「K」の正体とは。驚きのラストが胸を打つ、感動の傑作ミステリ。

<「BOOK」データベースより>

 湊かなえさんと言えば『告白』を思い出しますが、この『花の鎖』は同じくミステリーでありながら、最後はとても感動的だということです。

 また、登山の場面やコマクサについて描かれた部分がとても印象的だということ。

 お話を聞いていて、湊かなえさんについて抱いていたイメージ(「イヤミスの女王」とか)とは随分異なる印象の作品だと思いました。胸を打つ感動のラスト、読んでみたいです。

 

●Mzさん

  タイムリープ あしたはきのう / 高畑京一郎 著

(画像はKindle版のものです。紹介されたのは現在絶版の単行本です。)

 鹿島翔香。高校2年生の平凡な少女。ある日、彼女は昨日の記憶を喪失している事に気づく。そして、彼女の日記には、自分の筆跡で書かれた見覚えの無い文章があった。“あなたは今、混乱している。若松くんに相談なさい…”若松和彦。校内でもトップクラスの秀才。半信半疑ながらも、彼は翔香に何が起こっているのか調べ始める。だが、導き出された事実は、翔香を震撼させた。“そ、んな…嘘よ…”第1回電撃ゲーム小説大賞で金賞を受賞した高畑京一郎が組み上げる時間パズル。最後のピースが嵌る時、運命の秒針が動き出す―。

<「BOOK」データベースより>

 今回はとことんタイム・トラヴェルのMzさん。この『タイム・リープ』も、タイム・ワープもの+ミステリー+少女が主人公の青春ものだということ。

 ・・・まてよ、なんだかそういうの読んだ(観た)ことのある話だぞー・・・・そうです! 『時をかける少女』(筒井康隆)ですよ!なんだか今回の読書会はこうした話が多くて、個人的には大変盛り上がってました。

 Mzさんによると、この話は最後にカチッと全てが嵌るところが心地よいということでした。

 『タイム・リープ』も映像化されているようです。(調べてみると大林宣彦監督が監修に入っているということ。ムムム)

 

*            *            *

 

 以上で今回の「彩ふ読書会」は終了でした。

 ここまでですでに予定の12時を少し過ぎていましたが、誰一人立ち上がる方はいませんでした。皆さん、お互いに紹介された本を手に取って内容を確かめていたり、本について質問したりしていました。まだまだ話し足りない、もっともっと話したいという感じでした。

 

 私はお隣のTさんと話をしていました。

 Tさんからは、SF作品として『トリフィド時代』のことを聞きました。この作品について、Tさんは先日の彩ふ読書会1周年イベントでも紹介されています。それに対して、私はクラークの『幼年期の終わり』について話しました。そして、二人に共通の話題として映画『2001年宇宙の旅』について話しました。「あの場面はどうやって撮影したのか」とか、「話のもっていき方は本当はあれとは違ってたんじゃないか」とか、かなりマニアックな話になりました。しかし、若い方と『2001年』についてこれほど突っ込んで話したことも珍しく、大変嬉しく思いました。

 

 その後も、皆さんとともに「翻訳作品の分かりやすさ」について、また「欧米の物語を理解する上でキリスト教やケルト文化等について知っていた方が良いということ」について、「海外の詩で、韻を踏んでいる詩やリズムのある詩を訳す難しさ」について等、興味の尽きない話が続いていきました。

 12時半をだいぶ回った頃にやっとお開きとなりました。

 

 私にとって今回の彩ふ読書会は、本好きの若い方たちと、こんなにも通じ合うものがあるということを感じられて大変嬉しく思いました。また、私(たち)が読んできたものが、形を変えて、あるいは昔のままでも読み継がれ、影響を与えているということを知ることができ、話にどっぷり浸ることもできました。

 やはり、彩ふ読書会という場を作っていただいたのーさんに感謝ですね。

 そして、また参加したいという気持ちも強く湧いてきました。