俺の肩に座ってキラキラした目で電車を待っている

ひろむちゃん…

夜,空から落ちてきた、

いや、降ってきた可愛い生き物。

見た目は地球人?っていうか俺たち人間と全く変わらない。ただ、サイズを小さくしただけ。

昔、TVで小人を見た人の話しを聞いたことがあったけど、それよりも宇宙からきた知的生命体と考えた方が自分には納得がいく。俺にしか見えないことも

何か特別だから嬉しいし…

 

ピンクの髪にキラキラの瞳、、見た目よりも食いしん坊で小さな口に頬張ってモグモグ食べる姿は本気で可愛い♡

冷静に考えれば世にも不思議な話しだけど、

ずっとそばにいて欲しいって思ってしまう

 

駅にアナウンスが流れて電車が到着した

まだ、お昼前だから乗客も少なくて二人掛けの席に座ったら

早速、正座して車窓からの風景をずっと見つめているひろむちゃん

 

俺は朝からなにも食べてないことに気づいて、おにぎりをかぶりついた

 

不思議な二人旅になったけど、そういえば

学校を風邪以外で休んだのは初めてだし、まさか逃避行的なことをするなんて

自分でも信じられない。たぶん一人きりだったら絶対やらなかったな、

ひろむちゃんは窓にぴったり顔をつけたまま動かない

 

 

窓の外には、当たり前にある多くの家や遠くに見える山や工場・・・

たくさんの人々が生活していて、きっと色んな事が起こって

いろんな人と出会って・・・悩んだり、楽しいことがあったり

してんだろうな・・・

 

 

「あれ?理人じゃないか」



突然、声をかけられて振り向いたら

に、西先輩⁈


な、なんでここに?


「珍しいじゃん、サボリだろ」


相変わらずカッコいいけど

初めてみるスーツ姿にも驚いた


「心配すんな、学校には内緒にしとくよ、

あ、コーチにもな」


ニッコリ笑うから、多分、俺がメンバーから外れたことも知ってるんだろう


「スーツなんて珍しいですね、、、」


もっと話したいことはあるはずなのに

こんな事しか言えなかった



「あー、実はさ、全国大会の審査員やる事になってさ、その打ち合わせなんだわ」


「す、スゴいですね、、」


本当は会えて嬉しいのに、ここで出会うんじゃなかったのに…、西先輩の顔を見れなくて俯いてしまった


「隣りに座っていい?」


頷くだけの俺


「コーチもさ、かなり悩んでいたんだ

普通なら理人をメンバーにしたけど、

コーチなりに全国に行きたかったんだと思う…」


「わかってます…

自分に実力がなかっただけですから…」


やっぱり、俺は西先輩の顔を見れなかった…



「西!降りるぞ」

先輩を呼ぶ声がした



「ごめん、理人、またな。」


慌てて先輩は席を立って降りて行った

何か、情けないな、俺…




気づいたら目の前にひろむちゃんが座っていた